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第二十四話 ノートと手帳

二十三話の流れで、サガワンが続けてお届けする。
SHREDDERと情報交換をした、サガワン。こひなたんを背負って念の国に入った。

念の国の帳面

念の国に入ったのはいいが、シノンは火の国に帰ったのか。念の国には長居の必要がないなと私は思った。こひなたんは軽いので私でもおぶっていられる。が、薔薇の香りはもう、ない。本当に寝入っているのかもしれない。
さて、誰かに話をしなければならないが、人がいない。以前通ったブロックGlassのような草原ではなく、どちらかと言うと、アメリカアリゾナの荒野という感じである。遠くに、大きな看板のようなものが見えてきた。なんだろうか。大きく「帳面」と書いてある。何かの店らしい。
「いらっしゃい。おお、珍しい客だな。エルフを背負った客なんて初めてだよ。何かあったのかい?」
「ああ、私も困っています。眠り込んだまま、もう半日も背負ってます」
「で、旅の人、ここへは何しに来た?」
「シノンという錬金術師を探しに」
「知らん名だな。で君は?」
「私はサガワン。そして背中がこひなたん。あなたは?」
「この店のオーナー、ローボクだ。帳面を売ってるんだよ」
「帳面って、あの、ノートのことですか?」(うちのおふくろがよく帳面って言ってたな)
「そうそう、ノウトとか呼ぶやつも居るが、帳面が正しいだろ。そうだろ?」
(やばいやつに会ったな、こりゃ)
「まあ、人それぞれではないかと。。。ところで、あなたは錬金術師さんを誰か知らないですか?」
「知らないな。帳面は錬金術師の範疇じゃないからな」
「え!?形態がこんなに似てるのに、錬金術師さんの守備範囲でないのですか?」
「ああ、そうだ。帳面は帳面だからな」
(うーん、私には違いがわからん)
「おまえ、違いがわからないとか思ってるだろ。俺はそういうの、すぐわかる」
(困ったおじさんだな(^_^;)
「そもそも、帳面とはな、帳簿とか、台帳と呼ばれたものが原型だ。ライターとか、エディターの魔法が使えることが帳面を使える前提だ。お前にできるのか?」
「私の世界にはペンがあるから、魔法なんて必要ないです」
「なんだ!俺がおかしいってのか?いい度胸だな。念の国で俺に逆らおうとするとはな」
(やっぱりヤバい人だ)
「この帳面談義で、俺は既に5人、念の国を追放しているが、この俺とやるのか?」
「また来ます!」
慌てて店を出た。ヤバい人だ。ほかを探そう。

なんだか、手帳とノート、ここでは帳面というようだが、違うものと認識されているんだな。まあ、ほぼ日手帳が出たときに、「手帳と思わないでほしい」とかいう言動があったとか、なかったとかいう話もあるしなあ。
それはそうと、なんとかしてシノンさんの行き先を探さないとな。本当に火の国に帰ったのかどうか。

こひなたんの目覚め

ん?ぐっとこひなたんが重くなったぞ。
「あら、もうおろしてくださってよろしくってよ」
「って、いつまで寝てたんだか(笑)」
「あの薔薇の香りはエルフには睡眠薬のように効くわね。こんなさいね」
「まあ、良かったよ、寝ててもらって」
「え?!なんて?」
「いや、こっちの話。ところで、念の国には入れたが、シノンの居場所はわからない」
「そう。誰かに聞かないとね」
(ピューとこひなたんが例の笛を鳴らす)
バサダーが集まってきた。誰も怪我してないけど、なんで呼んだんだろう。
「バサダーたち、シノンと呼ばれる人がこの辺りを通らなかった?」
とこひなたんが訊くと、一人のバサダーがこひなたんの耳に寄ってくる。
「あー、そう、火の国の方向に向かったのね。てことは、南西ね」
「バサダーってそんなこともできるの?」
「ええ、そこかしこにいるって言ったでしょう?ま、私がエルフの長であることもあるけどね」
ということで、我々は南西に向かうことがあっさり決まった。こひなたん、もっと早く起きてくれれば、私はさっきのローボクというヤバい人に絡まれなかったのに。。。

火の国へ

ということで、火の国へ向かう。
火の国は芸術の国と聞いている。手帳に何やら写真を貼ったり、小説を書いたり、イラストを書いたりするという。そこの錬金術師は一体、どんな人なんだろうか。

続き 第二十五話 デッドストックリバー


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