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鉛筆について

1枚目

 正直に言うと、私は鉛筆が大好きだ、などということはない。かといって、大嫌いで見たくもないということもない。では、関心がないのかというと、興味はあるのである。

 時折、「鉛筆、筆記具 最強説」などを見かけることがあるが、概ね、私は同意する。子どもから大人まで、幅広い世代に使われ、鉛筆で書かれた文字は永い間、保管できるというところも素晴らしい。ただひとつ、プラスティック消しゴムには気をつけなければならない運命は持っている。

 さて、もう五十を過ぎた私は鉛筆を使っているのか?と問われれば、「はい」と答えられる程には使っていないかも知れない。もちろん、机の上にあるペントレーもどきには、そこそこの値がする補助軸に納まった三菱鉛筆Uniが乗っている。そして、天敵であるプラスティック消しゴムも一緒に乗っている。

2枚目

 乗っているだけで使っていないのかというとそうでもない。なぜなら、時々、鉛筆削りで削っているから。実は、何かを少し確認したり、どこまで事が進んでいるかを☑のように記録したりしている。終えたつもりでも、実はあとで不具合が見つかったり、☑をつけた一覧表を後々、複写機で複写する際に☑を消したりできるからである。

 私にとって鉛筆と言えば、すぐ小日向京氏の「考える鉛筆」という書籍を思い出す。今でも書棚に入っていて、時折、開いて部分的に読み返す。「変態」という言葉は、こういう場合、ほめ言葉なわけだが、彼女に全く持ってふさわしい言葉である。

 よし、鉛筆を削り、あの木の香をかぎ、仕事に戻ることにしよう。

二〇二二年三月十六日


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