約束のネバーランドのサントラvol1解説

約束のネバーランド放送後の約ネバロスの方がまだ多いと思いますので、作曲家の観点から音楽を振り返ってみて、少しでも和らいでもらえればと思います。(まだみてない方には、多少ネタバレを含みます。ご了承くださいませ)

サントラはDVD特典で3巻発売の7月24日までそろわないので、まずは1巻についている曲(合計12曲)を解説したいと思います。タイムはアマゾンプライムでの動画の時間で表記してます。

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●1Introduction

この曲は1話の冒頭でも流れてますが、約束のネバーランドの冒頭にふさわしい感じのイメージで作りました。まだハウスの本当の姿に気づいてない子供たちにとってハウスが当たり前の存在だが、それでも少し異空間を匂わせるさじ加減で音楽を作ってます。細かい話ですが、ノイズ系の歪んだPADを小さい音でいれたりしました。これは、サントラでも是非ゆっくり聴いていただきたいですね。

●2爽やかな朝日のように

この曲は、アニメ約束のネバーランドで唯一の明るい曲です笑。1話の日常シーン(1話の2分56秒~)で流れてます。まだ、ハウスの正体がわからない段階なので普通に日常曲として用いるため、暗い要素や明るすぎる要素もなく中くらいの温度感で作りました。タイトルは、ジャズのスタンダード『朝日のようにさわやかに』をひっくり返して、『爽やかな朝日のように』となっております笑

●3鬼ごっこ

この曲は、鬼ごっこで追いかけたり、追いかけられたりする様をチェロとピアノで表現してます。(1話の7分46秒~)ハウスの中のサウンドとは違うサウンド感にしたくて、インドのタブラを混ぜたり、ハンドパンを使って今までにないサウンド感で新鮮さを出してみました。ただ、森の中で行う動きなので、自然を感じるサウンド感に仕上げるために生楽器中心になってます。そして、この曲では親友のパーカッショニストのZufar君にお願いして、マレーシアからハンドパンの演奏データーを送ってもらいました。

zufar君がリアレンジした動画です。

●4試験勉強

こちらは、試験をうけている時(1話の5分13秒~)に流れる音楽で、ペンやヘットフォンが、機械っぽさを連想させたので電子音を基調にピコピコさせました。音楽的にはブルース進行で曲を作ってみました。


●5冷徹なイザベラ

イザベラと子供たちの張り詰めた心理戦でかかってた曲です。(2話11分20秒~)不協和音で緊張感を出してますが、イザベラのママとしての威厳や品格を表すために、弦とハープをメインの楽器として当てはめてます。

●6Training For Escape

この曲は、鬼ごっこでの訓練するときにかかる曲です。(3話14分9秒~)元気のいい感じの曲なのでダンスミュージック基調として作りました。ただ、この曲も森の中で行う動作なので、アコーステック感を基調としてます。たくさんの子供たちが出てくるので、曲の中でも人数感を出したくてボーカリストの伊藤大輔さんにお願いして、1人20人役ぐらい声を重ねてもりもり歌ってもらいました。後は、風の動きを読んだり、足跡のトラップを作ったりするさまを音がいろんなところから聞こえるようにPanを極端に変えたりしてます。

●7Tight Tension

(1話17分50秒~)コニーが殺された後、グプナ(儀程)が一通り終わり、イザベラと鬼が出荷の話をしてるところで曲が流れました。シンセの音で不気味さを出すために色々と工夫をしてます。

●8イザベラの唄

この曲は、1話(19分52秒~)から流れ、10話、そして12話では畳み掛けるようにいいシーンで流れており、アニメ約束のネバーランド1期のキーとなる曲です。監督からは、1話から歌に仕掛けをしたいとのことで発注されてました。声優さんにも歌ってもらうので鼻歌で歌えるぐらいでのことでしたが、先に完成してたメインテーマの中にも入れたいと思い、その中でバランスが取れるメロディー、そしてなんといっても歌ってもらったサラオレインさんの声が生きるようなメロディーにしたかったので、このような音域が広い曲になりました。歌っていただいた声優さんたちには難しすぎて申し訳ない気持ちでいっぱいです苦笑、、個人的には世界各国の方々からメッセージもたくさんいただいて、とてもうれしかったですし、約ネバが世界に広がっていることを認識しました。それでグーグルでイザベラの唄を調べたら、世界中のヤクネバファンの方々がこの曲に興味を持ってくれているようで大変びっくりしてます!!

●9 Demon's Manifestation

鬼を発見したときの驚きを表す短い曲です!1話の17分40秒~から数秒流れました。

●10 エマの悲しみ

メインテーマのバラードバージョンです。GFハウスで起きる出来事での悲しみを表現しました。

●11 Dancing Krone

この曲は、そもそも発注はなかったのですが個人的にクローネのコミカルチックな動きに合わせて、electro swingのような曲が必要だろうなあと思い作りました。なんかJazzとかうまそうな感じですし(勝手な思い込みですがw)第3話(16分41秒~)で使ってもらえて満足ですし、ネバーラジオのオープニング曲としても認知されてた様でとても嬉しいです。

●12 63194(エマのテーマ)

この曲は、エマのテーマとして悲壮感、絶望感から立ち向かう姿を音にしてみました。弦のレクイエム的なサウンドから後半は激しい感じのバンドサウンドになってます。2話、8話、のいいシーンで流れました。


●まとめ

 約ネバアニメの音楽に関して全体的にいえることですが、流れる曲数は少なめですが、ここぞっ!!というところで映画音楽のように曲をいいシーンで長めに使ってもらってます。そもそもアニメやドラマの音楽は、映像作品ができる前に音楽を納品するので、実際音を合わせたりすると微妙に尺が合わなかったり、雰囲気が多少違ったりすることはあると思います。このヤクネバに関しては、漫画を僕自身大好きで読みまくったし、神戸監督が担当する前から僕の音楽性を理解してくれてたので、信頼してくださり自由に作らせていただきました。そして、僕が作った音楽に映像を合わせてくれるという作業もしていただけたり、ダビング作業(曲や台詞、効果音をどのシーンに当てはめていくかを最終的に決める作業)にもほぼ参加させていただいたので、僕的にも納得のいく仕上がりになりました。残りのサントラも発売されたら解説していく予定ですし、アニメ約束のネバーランド2期も2020年に続きますので、どうぞよろしくお願いいたします。



作曲家 小畑貴裕


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