田淵智也を、語らせて欲しい


田淵智也
たぶちともや
声に出して言いたい名前、田淵智也。

本日、彼の36歳のお誕生日。おめでとうございます。どうやら年男らしい。
そんな今日はUNISON SQUARE GARDENのベーシスト、田淵智也について書いてみようと思う。


去年は貴雄についての文を書いたので、今年は何となく田淵について文を書きたいとは思っていた。だがよく考えてみると私は田淵のことをあまりよく知らない。

いや、よく知っているという人の方が少ないかもしれない。

JAPANの2万字インタビューも読めていないし、たっちレディオも気が向いた時にしか聴いていない。
それでも機材車ラジオやファンクラブの会報誌「UNIMAG」や「USG RADIO」、「ユニゾンTV」だったり、雑誌のインタビュー、ブログなどを聴いたり読んだり見たりして何となく田淵ってこういう人、みたいなのはわかるがそこまで深く知らなくても田淵のことは一言で言い表せる。


田淵智也は、「天才」である。


私はずっとUNISON SQUARE GARDENというバンドについて名前は知っているけど曲はまともに聴いたことがなく、ライブで見る機会もなく、彼らが15周年を迎える年まで本当に詳しく知らなかったので、田淵がユニゾンのほぼ全ての曲を作詞作曲していることを知った時は正直驚いた。

ユニゾンを好きになって、まずとりあえず見る、Wikipedia。田淵智也だけ、個人のリンクがある。

え、田淵って、こんなに曲提供してるの?
そりゃもう、驚いた。
THE KEBABSについてはちょっと知っていたけれど、アニソンプロジェクト?あのLiSAちゃんにも曲を?しかも声優プロデュースまで?

作詞家・作曲家の田淵智也を語り出したらあまりにも幅が広すぎるし、THE KEBABSや他の活動についても書き始めたら大変なことになりそうなので、ここでは主にUNISON SQUARE GARDENの田淵について書いていくことにする。


多分、邦楽ロックというジャンルをよく聴くフェスに行くのが大好きな人は田淵がライブではちゃめちゃに動き回ることを知ってるんだろうなと思う。目を見開いて客席を見渡す姿も。

私はそれすら知らなかった。というか興味が無かった。広く浅く音楽を聴けるタイプではないので、ユニゾンの存在は知っていても斎藤くん止まり。Mステにシュガーソングとビターステップで出演した時も田淵の表情や動きが話題になっていたのは何となく覚えているが、そこで田淵について興味を持つことはなく。

ライブハウスで初めて見た時も斎藤くん側にいたので、斎藤くんしか見てない。まぁそれでユニゾンにハマったと言っても過言ではない。斎藤くんはカッコいいしイケメンだから、それは当たり前だ。(いや、曲が良くて彼らが本当に良いライブをしていたからです。)

しかしいざユニゾンを好きになってから買ったライブDVDを見てひっくり返った。


やたらめったら動き回るベーシストがいる。


しかも何か動きが今までに見てきたよく動き回る系バンドマンとはまた違う、異色な動き。ステージ上を走り回ったり、何か変なポーズを取ってみたり、足の上げ方が凄かったり。
しかもギタボの邪魔したりするし、はちゃめちゃな行動してるし、それなのにめちゃくちゃ良い表情でコーラスしてる。斎藤くん以上に気持ち込めてることもしばしば。あと客席を見る目線に優しさを感じる。もちろん目を見開いている時はちょっと恐怖を感じる時もあるけど、でもあの目線からは優しさを凄く感じる。


なんて面白いやつなんだ。


ライブでの田淵についてはまた後程触れるとして、まずは音楽に関わるところから書いていこうと思う。
ユニゾンの作詞作曲はほぼ全曲田淵が手掛けている。物好きからしたら当たり前のことだが、もしかしたら知らない人もいるかもしれないので強調する。あのよく動き回っている田淵がユニゾンのメインコンポーザーなのだ。
田淵はライブ中も動き回っているが、楽曲制作に関しても止まることなくずっと続けている印象がある。
多分、曲を作るのが好きなんだろう。

ユニゾンの曲に関しては以前「ユニゾンの曲にかけられた魔法」という文を書いていてそこでも歌詞については色々と触れているのだが、田淵の書く歌詞は本当に良い。本人曰くあんまり意味はないとか天邪鬼なことを言っている時もあるけれど、そんなことはない。


天才が書く「歌詞」は奥が深すぎる。


私は歌詞の深読みを始めると疲れてしまうので最近はどのバンドでも深く考えずに音楽を聴いているのだが、田淵の書く歌詞は何も考えなくても勝手に考えてしまうというか考えさせられてしまう。歌詞を読んで自然と涙が出ることもある。トンチンカンで意味不明な歌詞ももちろんあるし、言葉遊びが楽しいだけの歌詞もあるし、言いたいことが詰め込まれた歌詞も、優しく寄り添ってくれる歌詞もある。そしてどの曲も、悲しい雰囲気で終わらない。どこか光を感じる歌詞、それが田淵の書く歌詞の特徴のひとつだと思う。
だから聴いていて力をもらえるし、落ち込んだ時には元気をもらえるし、ライブでは笑顔になってしまうのだろう。

曲の中で出てくる言葉の数が多いのも田淵の歌詞の特徴のひとつだと思う。そして早口。これがもはやユニゾンのスタンダードになっているのだけど。1番と2番と、サビまで全然違う歌詞の曲も結構ある。
よく間違えずに歌えるよ、斎藤くん。
さすが、"斎藤に任せといて"(オトノバ中間試験)。

田淵の書く歌詞は本当に独特で、でもひとつの文章としてよく読んでみると難しい熟語や言葉が並んでいるけれど、凄くストレートな気持ちを遠回しに表現しているだけで、実はとても素直なのではないだろうか。
そんな言葉たちが音楽の上に乗った時にリズムとなって更に輝き出す、気がしている。

歌詞と共にいつも気になってしまうのがCDの「帯」に書いてある文字だ。ユニゾンのCDの帯にはそのシングルやアルバムを一言で表すような言葉が添えられている。
それを考えているのも田淵なんだろうなと思うのだが、この帯のメッセージが何とも良い。私のお気に入りはMODE MOOD MODEの「かくして万事は気分の仕業。」


そんな田淵が作る「曲」。歌詞だけではない。曲が、メロディーが、イントロやらアウトロやら間奏やら、全部良い。言い切る、全部良い。
田淵の書く、いかにもユニゾンの曲!というポップな曲が私は本当に好きだ。でも、3人の音だけで奏でられるロックな曲ももちろん大好きだ。
最近の曲も、インディーズ時代の曲も、全部良い。こんなにどの曲も好きだと思えるのはユニゾンくらいではないだろうか。それくらい、田淵の書く曲が好きだ。
最新アルバムである「Patrick Vegee」を初めて聴いた時「夏影テールライト」で自然と涙が溢れた。私がファンになってから、初めて発売されたアルバム。今までのアルバムとも全然違う色、そして異色な曲が集まっても1枚のアルバムにぴったりとハマるための仕掛け。15年以上バンドを続けていても、まだ新しい試みが出てくるのだ。最高にカッコいいアルバムは、今聴いても未だ音が新鮮に聴こえる。

曲に関しては展開が多いし、おまけのCメロやDメロ、さらにその先まである曲もある。よく1曲の中でここまで詰め込むことが出来るな、と思うのだがそれがクセになる。そんな忙しい曲もあれば、たまにあるシンプルな展開の曲にもグッと惹かれてしまう。全てはこのバランスの良さ。そこまで田淵は計算しているのだろうか。

そして、ユニゾンのバラードは世の中のバラードと言われる曲ほど、しんみりしない。もちろん切なくなる曲もあるのだが、優しくて温かい曲が多い。時折強めの言葉が出てくる曲もあるけど、それは自然と心に刺さるように出来ている。アルバムでも流れを大切にしている田淵はバラード曲をアルバムで1曲と決めているようだし、ライブでもバラードはあまり多くはやらないのだがここでしか見れない表情が見れたりするのでやはりバラード曲は重要だ。何より疲れていたり落ち込んだ時は特にこのバラード曲に癒される。

アニメのタイアップも多く、私の中でユニゾンはアニソンバンドだと思っていた時期もある。実際にいくつかアニメのオープニング映像を見たが、アニメとユニゾンの曲の相性はかなり良い。それは田淵がちゃんと作品を理解した上で「ロックバンドとして」曲を提供しているから。もちろんアニメに対する敬意は忘れずに、それでいて自分たちの信念は曲げない。それを両立させている田淵はやはり天才だと思う。
実際、曲を聴いてみればわかる。アニソンバンドではない。彼らは正真正銘のロックバンドなのだ。


そして、田淵と言えば「ベーシスト」。そして「日本で一番見切れるベーシスト」(斎藤宏介談)。もう、田淵がギターボーカルをやっている姿とか、ドラムやらピアノを弾いている姿は想像できない。田淵=ベース、である。ベースがめちゃくちゃ似合うベーシスト。ベースを弾くために生まれてきたと言っても過言ではないくらい、見た目がベーシスト。ベーシストの鏡だ(言い切る)。でもあまりベースへの思い入れは感じない。それがとても不思議なところ。

私はそれほどベースに詳しくないので田淵のテクニックがどうとかこうとかの話は出来ないのだが、ライブであれ程動き回っているのにちゃんと音楽として成り立っているのは単純に凄いと思う。(貴雄が言うにはかなり適当らしいが)
しかも結構見ていて難しそうなベースをサラッと弾いているように見える。それでいてコーラスパートも多い。ライブでしっかりとコーラスをこなすのは田淵のプライドかなと思う。
でも長時間弾いていると手が攣るリスクがあるらしい。かわいそう。

他のバンドに比べるとユニゾンの曲はベースソロが少ない気がする。田淵はベースで目立つ気はあまりないのだろうか。それでも印象的なベースのフレーズは沢山あるし、一瞬だけど曲の肝になる「ガリレオのショーケース」のあのベースの音をライブで鳴らす時、その場にいる殆どの人が田淵を見てしまうんだろう。
曲を聴きながら、後ろで鳴っているベースラインを追ってしまうことがよくある。そこまで目立ち過ぎずに曲をより華やかにしている田淵のベース。3ピースバンドだから音が少ない、でもそれを補うために昔はよりベースのフレーズを考えていた、というような発言を何かのインタビューで読んだ記憶がある。音の数が少ないからこそより聴こえてくるベースの音から感じられる拘り、田淵だからこそ作れる力強いけれど弾けるようなフレーズは間違いなく曲の要となる存在だ。


ユニゾンが1番大事にしているもの、メンバー全員が大好きなもの、それが3人で大きな音を出せる「ライブ」。田淵が1番イキイキとしている姿が見れるライブ。
初めてユニゾンを見たフェスでも、ライブハウスでも、斎藤くん側にいたので田淵のことは全く見ていないし記憶にない。でもそれから色んなライブ映像を見て、ステージ上での田淵の暴れっぷりには驚いた。

ライブでは基本Tシャツにパンツ、そして蛍光オレンジの靴紐をつけたブーツというスタイルだが、ツアーではグッズのTシャツを着ることが多く、首まわりをがっつり切っている。鎖骨まわりがセクシーだ。そして忘れてはいけないのが、田淵のトレードマークとも言える虹色のベースストラップ。
いくら端から端へ動いていても、コーラスにはダッシュで定位置に戻ってくる。田淵を照らすはずのスポットライトが誰もいないステージを照らしていることもしばしば。時にこちらから全く見えないところに隠れてしまったり、予想外の動きをしていることもよくある。貴雄と向き合ってニコニコとずっと弾いていたり、もちろん斎藤くんへのちょっかいも忘れない。それでいて、客席に向けての楽しいアピールもすごい。楽しんでいるか?と聞いているのかと思うほど客席を見て、指差して、うんうんと頷いている姿。ライブでしか見れない、貴重な「田淵智也」という唯一無二の生き物がそこにいる。そして彼は私の視線を奪っていく「視線泥棒」だ。気付いたら変な動きをしている田淵を目で追ってしまっている。変な動きだけではない、彼の全力で楽しんでいる時の笑顔、これがまた最高なのだ。

そして、目力が凄い。あの目が見開かれた時にもし目が合ってしまったらどうするだろう。やはり全力で目を見開いて見返すべきだろうか、などたまに心配をしてしまう。これは完全に余計な心配である。

動き回っている田淵はもちろん魅力的だが、たまにその場で首だけ少し振りながらガンガンベースを弾いている姿もいい。やはりベースという楽器がとてつもなく似合う。
そして、コーラスをしている時の表情がとても豊かである。ボーカルより気持ちを込めて歌っていると言われた、“LIVE (in the) HOUSE”の「春が来てぼくら」は本当にすごい。見てるこっちまで笑顔になってしまう、魔法のような表情。
あれだけ動き回っていてもコーラスの時は定位置に戻ってきて、完璧に歌う。田淵の声は斎藤くんの声と相性が良い。たまに間に合ってない時もあるが、それもまた一興。ユニゾンの考え抜かれたコーラスは、本当に素晴らしい。

ライブと言えば、2015年の日本武道館での田淵のMCを忘れてはいけない。この場所で話そうとしたことを、まだ話していない。15周年を迎えた2019年の大阪・舞洲でのプログラム15thでも話さずに終わっている。気になる。だがしかし物好きはずっとこのMCの存在を忘れないだろう。日本武道館公演はMCもまるっと含めてDVDになっているし、そのDVDを見る度に気になってしまう。もしかしたら、次の周年にまた日本武道館でライブをやることがあればその時に話してくれるのだろうか(なかったことにはしないで欲しい)。
日本武道館の田淵のMCを聞く度に、めちゃくちゃ捻くれているな、と思いつつ「君が好きなロックバンドは、他の誰が何と言おうと、絶対にかっこいいから自信持っていいよ。これも僕が保証します!」なんて言われたらもう大盛り上がり。田淵最高ー!となってしまう。本当にずるい。でも何回聞いてもとても良い言葉。

ちなみにこれまで参加したユニゾンのライブで、自分で取った指定席や指定ブロックのチケットはほぼ田淵側である。田淵を思う存分見ろ、という暗示なのだろうか。友達が取ってくれるとセンターか斎藤くん側のことが多い。さて次のライブはどの辺りの席が来るのだろうか。楽しみだ。


田淵智也のここが凄い、のひとつに「バンドのプロデュース力」がある。プロデュースというか、バンドをより楽しく続けていくためのアイデアのようなもの、それが凄い。
シングルやアルバムの構想だったりライブやツアーの構成などにかなり田淵も関わっていると思う。行きたいのに行けない人が続出したツアー"Normal"も、平日ではあるが来れる人がみんな来れるようにと大きなキャパで2days、急遽追加公演をやると決めてくれた。4月からは"Spring Spring Spring"のリバイバルツアーが控えている中、しかもこのご時世で追加公演を決めるというのは難しいことだったと思う。それでもライブに行きたくても行けなかった物好きたちが多すぎたことから、追加公演をやる!と決めてくれたこと。田淵だけが決めたことではないと思うが、こんなにも私たちは大事にしてもらっている。幸せ者じゃないか。普通のバンドなら、チケットが取れない?それなら諦めよう、で終わりである。あの2日間の追加公演は、多くの物好きが救われたと思っている。
それだけではない、このツアー"Normal"のKT Zepp Yokohama公演の映像化、そして発売。この世の中でライブに来れない人は絶対にいる。その人たちにもこの"Normal"という彼らのいつも通りのライブを出来るだけ早く見れるように、と多分過去最速での映像化。驚きのセットリスト、カッコいいライブ、このツアーが映像化されることが本当に嬉しい。

ライブに関しては"LIVE(on the)SEAT"のような全員着席ライブというのも新鮮だったが、振り返ると2019年8月のトリビュートライブや、カップリング曲しかやらないツアーなど、他のバンドではあまり観たことのないライブのスタイルをやってのけているのがユニゾンだ。ライブのアイデアが凄い。残念ながら、私はまだその一部しか体感していないのだが。

そして何より、ユニゾンのライブはセットリストが良い。セットリストに絶対の自信を持っている田淵は自らを「セットリストの天才」と呼んでいる。その通りだと思う理由をこれから書いていく。
ユニゾンのセットリストには最近の曲だけではなく、懐かしい曲もふんだんに盛り込まれて毎回ワクワクさせられる。特に"Normal"ツアーは最近ほとんど演奏されていなかったアルバム「JET CO.」の曲が多く、予想外の曲の連続で驚きが止まらなかった。
ファンは最近の曲だけではなく昔の曲もたくさん聴きたいワガママな生き物だ。田淵が考えるセットリストは、本当に新旧のバランスが良い。そしてライブ全体の流れの緩急の付け方が上手い。

田淵がブログに綴っていた文章。
"やりたい曲だって、曲の数だけある"
"やらなきゃいけない曲は可哀想なくらい有り余ってるのだ。"
その言葉が本当に嬉しい。昔の曲をたまにやる、ではなく満遍なくセットリストに入れる(全ての曲においてそれが実現できているか、と言えば実際そうではないのだが)というのがファンからしたらとてもありがたいことなのだ。

何となくだが、バンド大好きな田淵の感覚は、ファンが持つ感覚と似ている部分があるのかもしれない。いつからかその感覚を忘れてしまうバンドマンが多い中で、田淵はずっと1ファンの感覚を忘れずにいるような気がしてならない。だからこそ、物好きが好きそうなことをやってくれるのでないかと。
ワンマンだけではない。フェスでのセットリストも、売れた曲であったり有名な定番曲をやるバンドが多い中でユニゾンはしれっとアルバム曲をたくさん演奏したりしている。
それは初見の人にはちょっと理解されないかもしれないが、ファンからしたらここでこの曲聴けちゃうの?!とそのサプライズがとても嬉しくなったりするのである。


さて、ここで田淵とユニゾンのメンバーである斎藤くんと貴雄の関係性について少し触れておこうと思う。
田淵は、斎藤宏介とは高校と大学の同級生で、斎藤くんと呼んでいる。一緒にスノーボードに行ったこともあるらしい。鈴木貴雄とは小学校の同級生で鈴木くんと呼んでいる。サッカーを一緒にやっていた。何となくの話だが、田淵は人のことを呼び捨てにしそうなイメージがあったので初めてラジオを聴いた時にメンバーを「くん付け」で呼んでいることに少し驚いた。2人は「田淵」と呼び捨てなのに。でも何かそれが凄くいい。田淵は学生の頃からずっと「斎藤くん、鈴木くん」呼びなのだ。そう考えるとなんだかほっこりする。
自分の為にお金をあまり使わない田淵だが、斎藤くんと貴雄に誕生日プレゼントを買ったりしているらしい。こういうエピソードを聞くと更にほっこりする。でも3人の仲はバチバチに悪い。

ユニゾンの3人は、それこそ3人でどこかに出かけるとか、地方に行った時に一緒にごはんを食べるとか、そういうことをしない。でもバンドとして向いている方向、向かっている方向が一緒。3人とも色々とバラバラな感じがするが、だからまとまっている。同い年だからかラジオなどで話している雰囲気はとても良いし、めちゃくちゃ楽しそうだ。3人とも、ステージの上にいる時が1番楽しそうなのはもちろんのこと。バチバチに仲が悪いはずなのに。

田淵はアニメも好きである。他にも映画を映画館(の最前列)で観たり、ドキュメンタリーも好きらしいが、田淵と言えば所謂アニソン作家としても有名だ。ユニゾンの曲の中にも「勝手に主題歌シリーズ」というものがあってアニメを元に作られた曲が何曲かあるほどだ。
私は全く追えていないが、田淵が作ったアニメソングの数はかなり多い。バンド活動をしながらも、それだけのアニメに携われるのは本当に凄いことだ。田淵の1日の時間は24時間以上あるのではないかと思ってしまう。そして、アニメ自体に愛がなければ、あんなに沢山の曲を作れないだろう。

そして田淵は話し出したら止まらない。斎藤くんも言っていたが、おしゃべりモンスターだ。機材車ラジオでも話し出したら止まらないし、おひとり様ラジオの時は本当にひとりでベラベラと多分話すつもりもないことまで話して後で落ち込んでいる。たっちレディオでも相当喋っている。ちなみにブログの文章も長い(この文章も相当長くなってきたが、私はおしゃべりではない)。でも田淵は何に対しても真剣に喋っている。それはとても伝わってくる。その真剣さが面白い。話し方からは捻くれた性格が露わになっているのだが、それが田淵のキャラクターだ。

バンドマンとして活動しているのに目立ちたくないとか、前髪がずっと長かったりとか、荷物がいつも多いとか、美容室の予約が嫌いとか、屋根のないところでライブはしたくないとか、ちょっと厄介な性格の持ち主だが、それが田淵智也なのである。愛すべきキャラクターなのだ。こんなこと言ったら田淵のブラックリストに載ってしまいそうだが。斎藤くんも貴雄も、そんな田淵の厄介な性格を含めた才能を認めてずっと一緒に楽しくバンドを続けている。お互いを認め合う3人が出会ってくれて本当に良かった。
「101回目のプロローグ」で"ちゃんと幸せになる準備もしてるよ"と言っている。どうかずっと幸せでいて欲しい。


私たちのようなユニゾンを好きでいる人たちの総称を田淵は「物好き」と呼んでいる。そんな物好き=ファンとは近付きたくない、街中で見かけても絶対に声をかけないで欲しいと自ら発信している田淵には好感が持てる。
私もステージ上の人たちとは近い存在になってはいけないと思っている。バンドマンとファンの距離は常に一定の距離があった方がいい。ブログやらインタビューで決してファンに媚びたりしないし、田淵はそれをよく理解している。だからこそ、
"近づき過ぎないで ちょうどいい温度感であれ"(さわれない歌)
こんな歌詞が書けるのだろうと思う。それでも私たちが手を伸ばし続けるのは、絶対に裏切られないことを知っているから。

思ったよりもかなり長くなってしまった。私自身、これだけ田淵の魅力を知っていて、振り返ることができて良かった。ちょっと読み返したら重すぎて気持ち悪くなりそうである。そして世に放ってから絶対に本人には見つかりたくないような暑苦しい文章になってしまった(エゴサしないで欲しい)。

世間に見つかりたくないと言いながらも、何でこんな良い曲なのに売れないんだ?!と言っている田淵の矛盾。それはファンが抱く気持ちと似ている。好きになったバンドには売れて欲しいし大きくなって欲しいけど、いつまでも自分だけが知っている特別な存在であって欲しい、手に届かない程遠くへ行かないで欲しいという気持ち。本当は田淵には揺るがない自信があるのだ。それはユニゾンを見つけてしまった物好きなら当然のように知っていること。
田淵は天才というか、有り余る程の才能の持ち主だ。そしてその天才に対して私たちは絶対的な信頼がある。それは田淵が、いやユニゾンが予想は裏切っても期待は絶対に裏切らないからだ。まだユニゾンを好きになって2年経っていないのだが、その間の彼らの活動はどれも私をワクワクさせてくれた。そう、一瞬も飽きていない。ついて来なくていいと言われても、こんなに楽しいバンドから離れるわけがない。それにユニゾンの曲やライブにはめちゃくちゃ救われている。このコロナ禍でもロックバンドがずっと活動を止めずにいてくれることが何よりも嬉しいし、誇らしい。だから私は胸を張ってユニゾンが、田淵智也のことが、好きだと言える。

UNISON SQUARE GARDENはいいぞ。曲良い、ライブ楽しい。もしかしたら田淵を詳しく知らない人にも読んでもらっているかもしれないので是非ライブに来て田淵智也を観て欲しい。(折角なので宣伝する)

最後に、田淵智也はきっと私たちの幸せ公式の解き方を知っているのだろう。それはきっと、

「小さじ一杯のカラクリが生み出せるもの」なんだろうな。
(君の瞳に恋してない より)








そんな本日、リバイバルツアー第2弾、Revival Tour 「CIDER ROAD」の開催が発表された。公式Twitterのツイートを見た瞬間、嬉しくてワクワクする気持ちしかなかった。このご時世でも、ロックバンドは普通にライブをやる。それをずっと続けてくれるUNISON SQUARE GARDENに心から感謝する。そして今日はまさかまさかの田淵の誕生日。やってくれたな、田淵。またひとつ楽しみを増やしてくれてありがとう。
「だからこそ今 大事な約束をしよう」(シャンデリア・ワルツ)

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塩パン
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