ユニゾンが、全国ツアーをやる


私の好きなバンドが、最近有観客のライブをやった。しかもライブハウスで。椅子はあったしソーシャルディスタンスも保って。
ライブが始まったら、みんな立ち上がり腕も上げる。出せない声の代わりに拍手を送る。マスクをしたままのファンは誰一人として、暴れたり叫んだりすることはなかった。

そのライブは生配信されていたからその様子がわかったし、実際に現地でライブを観るチケット代はいつもの2倍以上だった。それでもチケットを申し込んで落選する人はたくさんいたし、ライブハウスが東京だったから最初から関東の人しか当たらないようになっていた、という説もあった。

その生配信ライブを観ていた関東に住むファンはとても悔しそうだったし、もともと行く気になれなかった私でさえも、客席が映る度にモヤモヤした気持ちになった。もちろんライブは楽しかった。現地にいるファンだけでなく、配信を見ているファンへの気遣いもたくさんあったからだ。

その時は、今年いっぱい、いやもしかしたら来年になっても、生で自分の好きなバンドのライブを観ることはこのように関東に住む人に限られるんだろうなと思った。

今は正直、住んでいる県から出ようとも思わないし、県内でも飲み会すら行く気になれないし、県外で行われているライブに行こうとも思わない。悔しいけれど、コロナに感染するのは嫌だし仕方ない。

あれから10日ほど経つが、その有観客ライブでクラスターが出た、という話は聞かない。いわゆるガイドラインに沿って徹底的にコロナ対策をしていただろうし、ファンもライブ前から当日、そしてライブ後も気を付けていたのだろう。
決してライブ会場がコロナ禍において危険な場所ではないのだ、と思いたい。

その時にももちろん、批判の声はたくさんあった。東京ではコロナの感染者が増え続けている時だったし、地方でもまた少しずつ感染者が出てきている状況だったのもあるだろう。そんな今、クラスターを出してしまうかもしれないリスクがある有観客のライブをやる必要が、果たしてあるのだろうか。

答えはわからない。
でも誰かが一歩前に進まないと、何も変わらない。そのライブは、バンドとライブとライブハウスの未来を少しだけ変える、貴重なライブになったのだ。

そして、また私の好きなバンドが未来を変えようとしている。

UNISON SQUARE GARDENが、全国ツアーをやる。

「USG 2020“LIVE (on the) SEAT”」
“ロックバンドは、座っても観られる。”


彼らはまた、新しい楽しみ方を提示してくれた。立ち上がってはいけない、ではなく最初から着席でロックバンドを楽しもう、というわけだ。状況は映画館と、さほど変わらない。
しかし全国を回ると言うことは、関東だけでライブをすることよりも、彼らにとってもずっとリスクが高い。


ファンは、好きなバンドのライブで感染者が出ることを恐れる。そして現地に足を運ぶことで自分が感染者になるかもしれないという不安も付きまとう。同居する家族がいる人、医療・介護従事者、接客業の人、持病を持っている人…他にもたくさん今回のライブへは参加出来ない、という人がいるだろう。今は以前とは違い、ライブへ気軽に行ける状況ではない。

Twitterでも、とにかく色々な想いが入り混じったタイムラインを見て、複雑な気持ちになった。実際、見ているのが辛くなり閉じてしまった。


絶対に忘れてはいけないのは、そのライブ会場が心から安心して楽しめる場所ではないということ。

それでも、安心を少しでも作ることは出来る。日々の生活で私たちがコロナに感染しないよう注意できることはたくさんある。全国を回る決断をしたUNISON SQUARE GARDENも、周りのスタッフも、ツアースタッフも、現地のスタッフも、きっと誰よりも注意と対策を徹底的に行うだろう。そうでなければ、ツアーをやろう、ということにはならなかったからだ。私たちも、何なら事前に検査を受けることもできる。

いくらバンド側が頑張っても、こちら側も同じような気持ちでライブに臨まなければ全く持って意味がない。それが今回のツアーだ。まさに共犯関係を結ぶことになる。彼らを守れるのは、私たちファンでもあるのだ。何かが起こったらそこでツアーは中止になるだろう。そうならないために私たちはガイドラインを守り、日々のコロナ対策をしっかりして、ライブに参加することが重要なのだ。ユニゾンに楽しくツアーを完走してもらうために、そして次の土地でライブを待っている物好きたちのために。

ありがたいことに今回、私の地元にユニゾンが来てくれる。お知らせを受け取った時に、ありがとうという感謝の気持ちが大きくなり、泣いてしまった。もう今年は生で彼らのライブを体感することは出来ないと思っていた。先日の生配信ライブを観てやはりライブに行きたいという気持ちが強くなった矢先、諦めていた「ライブに行く」ことが叶うかもしれないのだ。
キャパも半分になる、チケットが取れるかもわからない、でも彼らは全国各地で待つ物好きのために、ツアーをやると決断したのだ。近くまで来てくれる、こんなにありがたいことはない。それなら私もしっかりと対策をして、会いに行きたい。チケットはまだ取れていないけれど。

行くと決めたからには、これから先絶対にネガティブなことは言わない。

行くと決めた人、一緒に楽しもう。
行けないと決めた人、未来のライブを楽しもう。
この先、再び心から楽しめるライブを観れる日は必ずやって来る。



ガイドラインにも似たようなことが書いてあるのだが隣県や近県に行くのは問題ない。間違っても関東から地方に遠征するとかそういうのは無しでお願いしたい。本来なら、絶対に1人1公演にして欲しいくらいだ。もしかしたら、をよーく考えたら真の物好きなら1公演しか行けないのではないだろうか。

ツアーが無事に全公演終わって「やって良かった」と思いたい。
それはバンド側も、ファンも同じ。


やくそくは"一時間"だけ。

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