こんなにも美味なアルバム「Patrick Vegee」


2019年にUNISON SQUARE GARDENを好きになってから1年とちょっと経った。そして、待ちに待った彼らの「オリジナルフルアルバム」が遂に発売された。

音楽好きにとってはやはりアルバムの発売はライブの次に楽しみな活動である。多分。

本来なら7月15日に発売予定だったという「Patrick Vegee」、ちょっと遅れたが本日9月30日に無事発売された。おめでとう!
HMVで受注生産限定盤を予約していたのだがありがたいことに前日に届けてもらって一足お先に聴かせてもらった。

受注生産限定盤のパッケージの豪華さは本当に感動した。開ける前のワクワク、開けた後もドキドキ、こんなにも素晴らしくパッケージされたCDをこれから聴くという幸せな気持ちはアルバムだからこその特別な感情なのだろうか。

楽曲の一部を試聴して曲のタイトルを予想するカウントダウン試聴企画もあったのだが、フラゲ日の前日にやっとしっかり聴いて歌詞を見て予想してみた。そしてずっと読まずに閉じたままだった田淵のインタビューが載っている雑誌を読んでみて収録の曲順も考えていた。そこへ日付が変わった瞬間に“夏影テールライト”のMV公開である。
このMVがまたとても綺麗で、素敵で、きっとアルバムの中でもかなり良い位置に座っている曲なんだろうと予想していたがまさかこんな美しいMVが作られているとは思わなかった。MVは1回見て名残惜しい気持ちになったが、後はアルバムを聴いてからまた改めて見ることに決めた。

ボックスに印字された曲のタイトルを見て答え合わせをしてみたが、難易度★の楽曲しか当たっていなかった。まぁそんなもんだろう。ちょっとひねくれて考え過ぎたようだ。でも自分で予想するのは楽しいな、答え合わせも含めて。


きれいに収まったCDを取り出して、再生する時の緊張感。一度きりの時間。

私は語彙力も持ち合わせていないし、音楽についてのボキャブラリーが豊富な方でもないのでディスクレビュー的なのは好きじゃないし得意でもないのだけど、ちょっとだけ感想を書いておく。
ただ一回聴いただけでこの「Patrick Vegee」というアルバムが最高に好きで、どんどん書きたいことが溢れてきている。とても嬉しくて仕方ないのだ。


1  Hatch I need
今回はHatch=8、なのか。そして隠れたい=Hatchだったのか。重めのメロディー、斎藤くんの過激めな言葉の歌い方がいちいちカッコいい。ゴリゴリのベースから始まるのもいい。最近のユニゾンの傾向としてアルバムの1曲目はポップよりかはロック色の強い曲が選ばれている気がする。
2への完璧な繋ぎは“8マーメ…”?


2  マーメイドスキャンダラス
試聴して1番好きだった曲。アルバム2曲目という位置が絶妙なユニゾンらしい疾走感のある曲だけど、ちょっと切なくて泣きそうになるのはマイナーキーの所為だろうか。ドラムのドコドコが今までにない、凄い。“どうして?”の声が超良い。ちなみにこの曲のタイトルだけ当てた。通して聴いてからも今のところ、1番好き。


3  スロウカーヴは打てない(that made me crazy)
inspire案件。試聴企画で1番最初に解禁され、Twitterでも初めてthrowcurveという名前を見た。すぐに彼らについて調べ、「表現は自由(that made me mad)」という曲を見つけた時にはこれか!と思った。詳しくは知らないからあまり触れないが曲はユニゾンが得意とする(リズムが取りにくそうな)ポップな感じ。ジョーズと上手とかあちこち歌詞が訳分からないの、最高。


4  Catch up, latency
シングル曲へ歌詞で繋がっているこういう仕掛けがたまんない!この流れで聴いて改めて思う、めちゃ良い曲じゃんね。


5  摂食ビジランテ
待ってた、こういう曲!短い曲だけどゆっくりした曲調だからか短さを感じさせない。歌詞に意味はないらしいけど何か1番グチャっとしてるし、帯の文字を見ても実はこのアルバムの核になる曲なのでは?と思ってしまう。
あと、試聴で何となく「WINDOW開ける」を思い出した。そしたらセルフライナーノーツで田淵がさぁ…。


6  夏影テールライト
MVもイントロも「流星のスコール」を思い出させる。爽やかでとても良い曲。夏の歌だけど、今年の夏は夏らしいことが出来なかったな、なんてことを思い出して目頭が勝手に熱くなってしまう。ダーク路線な曲に挟まれてるけどそれが逆にこの曲を輝かせているみたい。楽器の音もだけどコーラスも凄く素敵で、作り込んでるのがわかる。ユニゾンだけでなく、今年発表された夏の歌って何かセンチメンタルでずるいけど好き。


7  Phantom Joke
今のユニゾンが最高にカッコいいという証明。何回聴いても痺れる。何回聴いてもとてつもなく凄い曲だよなって思う。


8  世界はファンシー
この曲がリードトラックで良かった。間違いなくライブで1番聴きたい曲。絶対楽しい。MVの印象が強すぎるのもあるし今までにない異色な曲だけどこのアルバムにはぴったりハマってる。そして聴くたびにカッコ良さがどんどん見えてくる。かなり好き。斎藤くん、貴雄、推してくれてありがとう。


9  弥生町ロンリープラネット
7月15日の配信ライブの披露以降、やっと聴けたという気持ちでいっぱい。勝手に田淵の主題歌シリーズという噂で漫画「椿町ロンリープラネット」を途中まで読んでみた。これは面白い。また違う目線で曲を楽しめる。冬の終わりから春が来るという歌詞、次に繋げるという意味もあるけど明るい未来が想像できるのがいい。実はドラムを聴くのが結構楽しい曲。


10  春が来てぼくら
“そしてぼくらの春が来る”歌詞繋がりの中でこの繋がりが1番泣ける。それはこの曲のストリングスが素晴らしいというのもひとつの理由だし、前の曲との雰囲気も近いものがあるからかもしれない。7月15日の配信ライブのエンディングで流れていたインスト音源、とても良かった。それから更に大好きになった曲。


11  Simple Simple Anecdote
アコギの音が珍しくてとても好きだし曲調も好きなんだけど、どうしても最初の歌詞が何か寂しい。特に何も考えてないと田淵は言っているけど歌詞のメッセージ性は強い気がする。ユニゾンのこういうアップテンポな明るい曲、辛い時に聴きたくなるんだよな。最初の歌詞が寂しいと言ったけど、最後の“僕の言葉がまた生まれる”はとても好き。あぁ良かった、って。


12  101回目のプロローグ
歌詞はストレートに受け取ろう。斎藤くんのアカペラもあったり、展開は本当に組曲のようでドラマティックな曲。泣ける。
“本当の気持ちを話すのは 4年ぐらいは後にするよ”
この“本当の気持ち”は武道館から5年後のプログラム15thで語られることのなかった田淵の言葉だと勝手に思っている。結成16年目でこの曲を出そうと決めていたとか、もう、参りましたという感じ。
20周年でその“本当の気持ち”は話してくれるのだろうか。何回か聴くとこの曲が1番好きって言い出すかもしれない。
“魔法が解けるその日まで”という歌詞で締め括られているのだが、出来ればずっと魔法が解けなければいい、なんて思ってしまう。解ける予定はないんだけど。

曲調も雰囲気もバラバラだったシングル曲がピタリとパズルのピースのようにはまっている。歌詞でそっと曲が繋がっていることがこんなにも嬉しく、胸が躍るとは。もともとシングル曲は拘りも強いからキラリと光っているのだけど、歌詞が繋がることによって更にドラマが生まれていて新たな輝きを放っている。
1枚のアルバムとしての完成度の高さは、既出のアルバムと比べても今までにないレベルだと思う。

まだこれからたくさん聴いていれば新たな発見が出てくるのだろうし、この曲たちがライブで披露される日を楽しみに待ちたいと思う。私たちのワクワク、決して解けない魔法はまだ続いていく。


この世の中でいつも通りの新しいアルバムを届けてくれたUNISON SQUARE GARDEN。こんな素晴らしいアルバムをありがとう。やはり新曲を聴ける喜びはとても大きいのだが、こちらの予想をはるかに上回る作品をいつも作り出してしまうんだな、あなたたちは。


私がユニゾンを好きになってから初めて発売されたオリジナルフルアルバム「Patrick Vegee」。
食べ残すことなく美味しくいただきました。

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