どうしようもなく好きになったアルバム、「Ninth Peel」
UNISON SQUARE GARDENの9枚目となるアルバム「Ninth Peel」の発売が発表された1月末頃から4月12日の発売日までもの凄く長く感じた。
あまりにも豪華なパッケージの完全生産限定盤、受け取った時はその大きさに驚いた。今回ジャケットに描かれた動物はアライグマ。皮が9の字を残して剥かれたリンゴ。今までにないくらい、9を推しているアルバム。
大きな箱を開けて、CDを取り出すとリンゴの色をしている。小さなことだけれどこだわりを感じる。
ここ数枚のアルバムとは違う作り方をしていると田淵が雑誌などのインタビューで語っていた。そういう意味でも、どんなアルバムになったのかがとても気になって、ワクワクしながらCDを再生した。
相変わらずディスクレビューは苦手だし考察とかは全然ないけれど、この「Ninth Peel」というアルバムを何回か聴いて、自分が感じたことを書いておく。
1 スペースシャトル・ララバイ
ここ最近のアルバムにはなかった、ユニゾンらしさ全開のポップな1曲目、とても良い。歌詞を見てたら何だか泣けちゃうくらい良い曲。ララバイは子守唄という意味だけど曲との関係性は今の所わからない。
“小さくなってくスペースシャトル”で歌声が少し小さくなる所が凄く好き。何回か聴いて今はこの曲が1番好き。
今回のアルバムはどこに9枚目の要素が隠されているのだろうか、と少し気になってスペースシャトルについて検索した。すると「スペースシャトルが初めて打ち上げられたのは1981年の4月12日」という情報を知る。これは偶然なのか必然なのか…。
2 恋する惑星
このアルバムのリード曲、絶対ライブで楽しい。最初聴いた時は華やかなホーン系の音で「君の瞳に恋してない」に近いかな、と思ったけれど全然違った。惑星だし9枚目だし第九惑星が絡んでいるのかと思ったけどこれはちょっとわからない。
ドラムのリズムがとても好きだし、あの低音で響く打楽器が(クイズにもなっているので憶測で)ぴったりだし更に華を添えていて最高。凄く関係ないけど私が吹奏楽部だったらこの曲演奏会でやりたい!って言う。香港映画のタイトルとは関係なさそう。
3 ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ
似たようなタイトルの小説(映画)があるのでもしかしたら何か関係があるのかも。これもライブで絶対楽しいしサビで開けてワクワクする感じ、かなり好き。ベーター=エレってわざわざ何故この表現にしているのか。ねずみとアヒル、裏側見れないのはあの夢の国の話か。この意味不明さが大好き。そしてギターソロが最強。
サビ終わりのディレイとラストの“制御不能だ“がかなり効いてる。
4 カオスが極まる
アルバムを通して3→4の繋ぎが1番好きかもしれない。このアルバム、この曲のような激しい強さのある曲が他にない。だからより際立っているというか、9枚目はとにかくアニメの主題歌になったシングル2曲の存在感が強すぎる。アルバムを順に再生するとカッコよくてびっくりする。何回聴いてもドラムがやっぱり凄いしドラマチックだ。
5 City peel
アルバムタイトルにも入っている「peel」がタイトルに入っているので1番気になっていた曲。第一印象はカップリングみたいな曲だなと思ってしまったけど控えめながらもピアノも入っていたり彩度は低いけど鮮やかな曲。
日々の生活の中にありそうな紅茶や焦げたカラメルの香りがしてきそうな歌詞が優しくて、様々な風景や色彩が浮かんできてとても良い。
心地良いギターソロも良いけどサビの裏のベースが好き。穏やかでシティポップな大人ユニゾン、新しい。
6 Nihil Pip Viper
シングル2曲は強いけどこの並びで突然この曲が流れるとこれがユニゾンだ、という感じで何故か安心する。やはり早口で意味不明な曲が好きなのかもしれない。次にライブで聴く時も是非セッション付きでドラマティックに聴かせて欲しい。
7 Numbness like a ginger
とにかくいい曲。アニメのブルーロックを見ていたのでどうしても登場人物を重ねてしまうけど、誰しもが一度は経験した挫折とかそういうのと重ねて聴けるような気がするし誰もが何となく共感出来る歌詞なんじゃないかなと思う。
“痛いの?違うよ、喉が渇いただけじゃないか”という歌詞がとても好き。「City peel」と雰囲気が似ている気もするけれど歌詞やジャジーな感じとかギターソロの感じも違うしやはり別物なんだなと思う。今までと違うアルバムの作り方をした結果こうなったのかもしれないが、それもまた良し。
“命はある”という歌詞がどうしても次の曲に繋がっているような気がしてしまう。
8 もう君に会えない
DRIP TOKYOとYoutubeでの特番でアコースティックで披露された曲なので、もしかしてライブでやる気ないのではとちょっと心配している(やって下さい)。
何回聴いても鼻の奥がつーんとしてしまう。
“言葉にしだしたら どうせラベル貼られて
他のあれこれと同じにされるよな けどそろそろいいよな”
宛先がはっきりとわかる曲だけど、曲にすれば一生残ることもわかって作られた曲なのだと思う。逃げずに向き合った真っ直ぐな歌詞、そのまま曲にすることで気持ちを昇華することは難しいだろうけれど、それでも残したかったという気持ちが伝わってくる。
メロディーが美しすぎて逆に心に突き刺さるし、全体的に歌が超良いんだけど、要所要所でのギターとドラムが力強くなるのが感情を表しているようでぐっとくる。
しんみりはしないけど、こんなに悲しい気持ちを最後まで突きつけられるのは初めてかもしれない。
“もう君に会えない”の“会えない”の美しく消えゆく感じの歌い方が沁みる。
9 アンチ・トレンディ・クラブ
今までになかったユニゾン色を1番感じる曲。そしてこの曲も早口だし手が忙しそうな難解な曲。ここでもよくわからない四字熟語が出てくるし全体的に口が悪い、そんな歌詞はライブのことをなぞっているような気がする。
ライブだと3人の声がガツンと響いてきそう。
9曲目だから何か仕掛けがあるかもしれないと思って歌詞をしっかり見ると「美しいこそがトレンディ」が9回。でもそれは彼らの正義じゃないんだろう。
10 kaleido proud fiesta
ラストの1曲前、この安心感にほっとする。力強く道を拓いてくれる希望の歌。またきれい過ぎて忘れられない景色をライブで見せて欲しい。
やっぱり大好き。
11 フレーズボトル・バイバイ
ライブのラストに相応しい曲だなという印象だけど、本編の終わりというよりかはアンコールの最後にやって欲しい、みたいな感じ。
イントロは「TOUR 2022 kaleido proud fiesta」から付け加えられている「10% roll,10% romance」前のセッションにどことなく似ている。大事なことが難しく書いてあるような歌詞の中の“お前誰だよ”が何か好き。
“またいつか会えたらいいから Hello, 今夜も楽しかったね"
これがライブで聴きたいし、
“忘れられない今日になった!”
で終わるライブは最高なんだろうなと思う。
そして繰り返せば1曲目の
“忘れたくても忘れない”へ繋がる。
まるで、繋がっている皮のような。
それはちょっと考え過ぎか。
CDを通して聴いて思ったこと。
9枚目も、めちゃくちゃ好き!
1回聴いただけでこんなにも惹かれてしまう、そんなユニゾンの引力が凄い。前作とも全然違うし、新しい一面も沢山見え隠れしている。
今まであまり感じなかったけれど、アルバム曲の中では歌詞の譜割りがなんだか独特な曲があるように思う。歌詞は相変わらず突き抜けて変わっているなと思うけれど、これから沢山聴いて、ライブで観て感じて更にNinth Peelというアルバムを楽しみたい。
また一皮剥けた気がするUNISON SQUARE GARDENのアルバム「Ninth Peel」。今を歌った、ユニゾンの間違いなく最新のアルバム。同じ時代に生まれて良かった。
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