あの日あの時あの場所で。。。
そりゃないだろ!
「京都映画村」の巻
布団を被って、
そのまま消えてしまいたい経験も、
時間が経てば、笑い話として話せるようになるさ、
な〜んてね。
学生時代に京都の映画村に行った時。
さて、あの日、
爪で喉をかきむしり、
傷口に塗りたくったメンソリで目をこすり、はたと涙し、
空を見上げて、
俺をミサイルで空高く打ち上げてくれ〜
神よ、そんなバカなボクちゃんを、しっかと抱き締め、絞め殺してくれ〜
な、出来事をここに曝け出します。
部活の用事で京都にきていた時のこと。
用事が終わって、せっかくだからと、友人と二人で、映画村に行くことになった。
映画村に入って、エントランスを通過する時、体が異変を告げた。
猛烈な便意が襲いかかってきたのだ。
かつて戦国時代の勇者たちも、
この便意という猛獣に闘いを挑み、
無残に野糞と散った。
敵地に乗り込んだボクは、大将の姿を探した。
敵地、というか、エントランスのお土産売り場には、
若くて可愛い女性店員が二人、慌てふためくボクを見て、目を見開いて、どうかしましたか?
と問いかけてきた。
学生時代、若かった。
あの〜トイレはどこですか?
とは訊けなかった。
トイレと言っても、
大の方、
その疚しさと羞恥心で、
ボクは慌てて目をそらし、
キョロキョロと挙動不審で職質確定な怪しい奴、
になりきっていた。
そして、発見した。
女性店員の目の前、あのトイレマークを見つけたのだ。
ボクは、別にトイレなんか行きたくありませ〜ん、
なポーズを装って、
ゆっくりと便意に堪え、
お尻に手を当てなどして犯行動機がばれないように、最新の注意を払いつつ、
そのトイレに近づいていった。
そして、見事、トイレマークの下までたどり着いた時、
トイレのドアを蹴飛ばして中へと一目散、すぐさま個室御用達をしていた。
至福のときが訪れ……
生き返った気分を満喫し、
個室を退室後、手を洗っていたとき、
不審者が入ってきた。
なんで、ここに?
不審者と目があった。
ボクは問い詰めたりしない。
今だけは、寛大な心の持ち主なのだ。
笑って許した。
トイレを出たところで、友人が心配そうに待っていた。
「大丈夫か?」
「ああ、もう平気。スッキリした」
「いや、そうじゃなくて」
「えっ?」
「……お前の入ってたの、女子トイレだし」
……
先程トイレで出くわした女性の不審者は……(。ŏ﹏ŏ)
われは不審者。
希代の小心者←(>▽<)ノ
そして、
ボクは、
女性店員の蔑むような視線で、
十字架に貼り付けられていた。
今だ古傷は癒えず、
喉を爪でかきむしり、
傷口にメンソリを……その指で目を擦り、はたと涙する。