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ただのエンジニアがR-1グランプリに参加したら1回戦突破してしまった話

はいどうも!セキュリティ芸人のアスースン・オンラインです!

ごく普通のエンジニア※が、R-1グランプリ2023に参加したら、1回戦を通過してしまい、有給を取得して2回戦に出場してきたときの話をしようと思います。
(※自分は普通だと思っているが、R-1に出るアマチュアは変な人しかいないらしい)

書こうと思っていたら1年経ってしまい、R-1グランプリ2024が始まってしまったので、出場前に振り返りがてら書き記しておきます。

R-1グランプリについて

審査基準:とにかく面白いピン芸
1人でやるネタでおもしろい人を決める大会です。
Rは落語の略です。

M-1は漫才、キングオブコントはコントの大会ですが、それらの大会は1組2人以上となっています。

R-1優勝まで、5回の戦いがあります。

1回戦(約3500人)→2回戦(約600人)→準々決勝(約120人)→準決勝(30人)→敗者復活(1人)→決勝(8人)

2023年でアマチュアで準々決勝に進出したのは、5人だけでした。
アマチュアといっても、学生お笑いをしている人たちも含まれるので、完全に初心者とは限りません。

歴代でアマチュアで準決勝に行ってるのは、粗品濱田祐太郎だけです。
当時アマチュアで、その後2人とも優勝してます。

エントリーしたきっかけ

2022年は自身の方向性を探るため、いろんなことに挑戦しようと目標を立てていました。

  • アニメ作品を作って公開

  • 作曲をして公開

  • R-1グランプリ1回戦敗退

この中で、「R-1グランプリ1回戦敗退」は1番ハードルが低い目標でした。
出場するだけで達成できます!

なぜこのような目標を立てたかというと、社会人になってから、応募してないなって思ったんです。
学生のときはセキュリティ・キャンプとかSecHack365とか未踏とかいろいろと応募していましたが、最近全然やっていませんでした。
(※未踏はラストイヤーで2回戦敗退してます)

R-1グランプリの優勝者には、自分がクリエイターとして尊敬している粗品さんや野田クリスタルさんがいます。粗品さんはボカロPとして曲を作っているし、野田クリスタルさんは自分が作ったゲームを実況したネタで優勝しています。
その憧れもあり、おもしろいエンジニアになりたいと思っていたので、応募するならこの大会かな!と決めていました。

準備

ネタを決める

1回戦の日付が2023年の1月なので、2022年の1年間ずっと頭の片隅でネタを考えていました。

純粋なお笑いでは勝負でいないだろうとわかっていたので、エンジニアらしさを活かして、自分の作ったものをネタにするとか、ネタのために何か作ろうとかは考えていました。

でも1年経ってもネタは思いつきませんでした。ネタのスタイルが見つからないままエントリー期間の12月になってしまいました。

ネタも決まっていないまま書いたエントリー用紙

ただ、ネタができなかったことはエントリーしない理由にはなりません!そういう考えだといつまで経ってもエントリーできないからです。出ざるをえない状況に追い込むことで、無理やりネタを作り出します。
(42km走れることがわかってからマラソンに応募する人なんていなくて、マラソンに応募したから42km走る準備をするのと同じマインド)

過去にやったことあるネタっぽい発表をネタに仕上げることにしました。
エンジニアのLTでセキュリティのフリップ風のネタをやったことがあったので、それを一般ウケする方向に持っていきます。

フリップを作る

テレビで放送されている決勝では、モニターを使ったネタがありますが、1回戦にモニターの準備はありません。
後日見学してわかったことですが、2023年に優勝した田津原理音さんは、2回戦は決勝とは別のフリップネタをやっていました。

電源もない中でモニターの持参は厳しいので、フリップにすることにしました。これまでスライドで作っていたセキュリティネタをフリップに落とし込みます。

フリップの作り方は以下の動画を参考にしました。
この動画を初めてみた当時(2019年)は、誰向けの動画だよ!っていう面白さで見ていましたが、まさか自分のための動画だとは……!

  • ペン:黒は墨汁、カラーはクレヨンで描くのがオススメ

  • 画用紙:R画用紙でいい。サイズは最低でも四つ切り、準決勝などの広い会場では半切。

  • フリップ台:イーゼル(オススメ)か譜面台

この教えに従って、ダイソーで四つ切りの画用紙を買い、Keynoteで作ったスライドを2枚に分割して、セブンイレブンのネットプリントでA3サイズでカラーコピーしました。

作成したフリップ

練習

三脚で撮影して、時間と立ち振る舞いを確認しながら練習していました。
練習してギリ2分に収まるくらいでした。

特に誰にも見せずに挑みました。

1回戦観戦(下見)

1回戦は12月末〜1月上旬くらいまで開催されています。

あまりにも不安要素が大きすぎるので、前日くらいに1回戦を観戦することにしました。

開始時にMCが大会のルールを説明してくれるので、下見に来て本当に良かったと思いました。(何秒経過で強制終了だか不明だった)

それぞれのネタにメモをとりながら観戦することで、あとでどういうネタが合格で、どういうネタが不合格だったのかを確認することができます。

見学して得られたことは以下です。

  • 2分でアラームが鳴り、2分15秒で強制終了

  • 声がでかい方がいい(大きいと勢いで笑ってしまう)

  • 時間が過ぎても合格はできる

  • モニターを持参している人もいた

1回戦

受付で「板付きですか?飛び出しですか?」と聞かれ、初舞台の自分は「すみません、どっちがなんですか?」と聞き返し「板付きがそのままはじめて、飛び出しがはいどうも〜と入ってくるやつです」と教えていただきました。

他の芸人さんたちは、みんなフリップをケース(画材ケース)に入れて持ってきていることに驚きました。
大きな紙袋にフリップを入れて運んだ僕「そんな便利なものがあるのか!!!!」
衣装も家で着替えて来ないもんなんだなあと知りました。

控え室で待機しているときに、近くの人と少しお話しできました。
現役高校生で親に塾行くって言って1回戦に来てる人がいました。
これぞアマチュアですよね〜〜〜〜!!!!アマチュアでR-1出るやつにまともな奴いないですから!!!

この日のお客さんは、かたかったそうです。舞台裏で全然笑いが聞こえて来ませんでした。

結果

嘘だろ?初舞台のアマチュアが通過すんのかよ……。
自分が誰よりも驚いていました。

1月9日(東京)の1回戦の結果

冒頭に「普段現役のエンジニアをやっていて」と言ったので、エンジニアだというバイアスのおかげだと思います。

「R-1グランプリ2回戦に出場するため有給休暇を取得します」と上司に連絡しました。

2回戦

準備

2回戦は、1月20日だったので、準備期間は10日くらいでした。

2回戦のネタ時間は2分のままなので、ネタは変えずに挑みました。
会場のキャパが300人くらいになるので、フリップの絵で少し小さいと思う部分を大きく見えやすくなるように修正しました。

当日

お笑い好き僕「まさかよしもとの舞台に立てる日が来るとは……」

2回戦会場(東京)

1回戦を観戦していた時にとってもおもしろいネタをされていたネギゴリラ細野さんが、順番前後でした!少しお話しできて嬉しかったです!

1回戦に比較して、2回戦の会場は3倍もの人が入るので、「1回戦よりももっとウケるんだろうな!楽しみ!」と思っていました。

しかし、この日のお客さんもかたかったです。座席もスカスカでした。
笑い声は僕の元に一切聞こえて来ませんでした……。

1つ目のボケのあまりのウケなさに動揺して、噛み倒しました。

結果

敗退です。
こんなにも有名な芸人さんたちと同じ日に同じ舞台に立てただけで幸せでした。

1月20日(東京)の2回戦の結果

その後

アウトプットが加速した

事務所に所属するのか聞かれることがあります。もちろん2回戦敗退レベルじゃそんなお声は掛からないのですが、仮にもっと進出して事務所に所属する事態を想像してみました。

もしも今の自分が芸人として事務所に所属した場合、まずは、自分が芸人として何ができるのかを示していくことになると思いました。
他の芸人さんと同様にYouTubeで自分ができることを発信していくと思います。

それって事務所に所属してなくてもできるなって思いました。
つまり、今からできるので、やっちゃおう!

ということで、ネタの動画とかをYouTubeで積極的に発信していくようになりました。R-1のネタもお家で撮影して投稿しました。

セキュリティのイベントで、一般人には伝わらないネタをやらせていただいたりしました。

その後もエンジニアお笑いネタ動画を上げ続けて、2023年の1年でチャンネル登録者は2000人から2万人にまで拡大しました。

感想

客観的におもしろいことが評価されるというのはかなり嬉しいです。
自分のネタの動画に「おもしろくない」とコメントされたとしても、作家さんには評価されているので、何も感じなくなりました

この先の人生で、あの2回戦ほど滑る経験はなかなかないと思います。
どんな場所に登壇しても、緊張しにくくなりました

強靭なメンタルをありがとう!

今後も趣味でセキュリティとお笑いをやっているアスースン・オンラインをよろしくお願いいたします!

セキュリティ芸人
アスースン・オンライン

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