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2024.11.27~11.30神名阪ツアー Report【布】

明日の叙景、ボーカルの布です。
今回は11月下旬に行った3公演について書いていきます。
それぞれが独立したイベントでありながら、奇しくも日程が重なったため、偶発的な神名阪ツアーとなりました。
「神」が示すのは神奈川なのか神戸なのかは記事を読んでからのお楽しみということで、よろしくお願いします。


Solo Concert “Island in Full” -extra-

1本目は名古屋での初ワンマン。
この日は2nd Albumアイランドを曲順通りに演奏して、完全再現するという貴重な一日になりました。

DAYTRIP入場〜。

ライブレポート

セットリスト
入場SE:A Flower Is Not A Flower
1.臨界
2.キメラ
MC
3.見つめていたい
4.土踏まず
5.歌姫とそこにあれ
6.美しい名前
MC
7.忘却過ぎし
8.甘き渦の微笑
9.子守唄は潮騒
10.ビオトープの底から
11.遠雷と君

なんといっても目玉はこれまでラストに演奏することが鉄板となっていた「キメラ」が2曲目になっていることでしょう。
完全再現ライブ以外でこれをやったらさぞ皆さん「キメラ!?こんな序盤で?!」と思うことでしょう。

今回やってみて思いました……
意外とイケるな、と。
問答無用でお客さんも演者もライブを楽しむモードに移れるので、その後のライブ運びにお互い手探りにならずに済むかなと感じます。

あとは終盤の「甘き渦の微笑」「子守唄は潮騒」「ビオトープの底から」「遠雷と君」の並びはアルバムを制作する上でこだわったので、これまでにないほどのコンセントレーションが生まれました。

さて、平日にも関わらず名古屋をはじめ日本各地、そして海外から観に来てくださった皆様、最高にホットなフロアをありがとうございます!

また鶴舞DAYTRIPスタッフの皆さんも優しく、安心して利用できました。
照明も要望通りで素晴らしかったです。本当にありがとうございます。

今回来られなかった方々にも観てもらえるように、再び名古屋でライブができるよう頑張りますね。

完全再現ライブについて

直近で完全再現ライブを観たのはDOWNLOAD FESTIVAL JAPAN 2022のAt the Gates(Slaughter of the Soul完全再現)です。
客目線で言えば「あの曲が確実に聴けるな」という安心感がありつつ、次に何をやるのか分かってしまい、ワクワクがないというデメリットがあるとその時は感じました。
もう一点、ライブが少々メタ的になりますね。
そういった点から、やはり完全再現というカードはここぞというときに切るべきでしょう。

ノーコンテキスト見慣れぬ自販機。

Namba Culuture Terminal -1st Anniversary-

ツアー2本目は大阪。
Yogibo META VALLEY(メタ・ヴァリィ)とYogibo HOLY MOUNTAIN(ホーリー・マウンテン)の一周年を記念して開催されるNamba Culture Termial 2024 -1st Anniversary-に出演しました。

メタ・ヴァリィ入場〜。

ライブハウスは2種類必要だ

ライブレポートの前に一つだけ。
ライブハウス(クラブも含む)には2種類必要だと思っておりまして、一つは入るのに勇気がいる、悪そうな奴らの巣窟じみた危険な香りのする空間。決してマスに迎合しないアンダーグラウンドの拠り所たる場所です。
そして、もう一つは音楽文化ひいてはライブハウスを身近なものとするための開けた場所です。
この2会場は自分が思う後者の最たる例でして、ライブハウスという枠にとらわれず、カルチャーを保護し、発信する場所として様々な取り組みを行い、複合的な施設として存在しております。

お洒落な外観と内装に加え、一周年を記念したアーティスティックなポスターを眺めているだけでアートを体験できるのが魅力ですね。

公式ポスター

エントランスではバルセロナ料理のビキニサンドが注文できます。
食べ応えがあり、野菜も取れるため、仕事終わりにライブを観に行きがてら夕食も済ませられるので完璧ではないでしょうか?
ビキニサンド目当てで来たお客さんが、ふらっと気まぐれにライブを観るなんてこともあるかもしれない。
もっと美味しいご飯を食べられるライブハウスが増えてほしいぞ。

ビキニサンドと
パイナップルジュース

また、MERCHCAMPというグッズ委託サイトも運営しております。
リスナーへとまだ見ぬアーティストのグッズを提案するフェス型通販サイトです。
巨大資本によるプラットフォームだけに頼らず、自分たちで販路を広げていくという取り組みは見習わなくてはいけませんね。
商品登録から発送までやってくれるので、通販ダルいと思っちゃう、ものぐさなバンドマンには超おススメ。
明日の叙景も出品中↓

MERCHCAMPの存在意義は物販の販売ではなく
ファンの皆様が新たなアーティストとの出会いを
楽しんでいただけるような場を提供すること
だと考えております。

イメージして頂きやすいように
興行のビジネスモデルに置き換えると、
既存の公式ストアは「単独公演」に、
MERCHCAMPの役割は「フェス」の役割に
位置づけられます。

MERCHCAMP公式サイトより

ライブ当日の新発見は、今回のアニバーサリープロジェクトが大阪日本橋を拠点に発行されているフリーペーパー「ぽんタブ」で大々的に取り上げられていたことでした。
すでにライブハウスに出入りしている方たちに向けてのアピールだけではなく、地域社会にライブハウス文化を根付かせるという視点が大切。
中の2面にはライブハウスについての詳しい記事も掲載されていました。
ちなみに、今回のイベントの来場者に配られるチケットパスは地元のお店でクーポンとして使えるそうです。
地域密着だ……。

ぼんタブ

バンド演奏を鑑賞するということが、もっと身近な文化になるための工夫をしてくれているYogibo META VALLEYとYogibo HOLY MOUNTAINに改めて感謝をこめて。
プレイヤーである自分たちも頑張るとしましょう。

ライブレポート(という名の出演バンド紹介)

せっかくですので共演したバンドのライブの様子だけではなく、端的にどんなバンドかも書いていこうと思います。

【雲雀】
トップバッターは京都のポストブラックメタルバンド雲雀。
ポストブラックメタルは大まかに都市派と自然派の2つに分けられると個人的には考えております。
バンドの表現として前者は人の営みに視点があたり、散文的な言葉や人間味あるタッチ、その他ロックやポップス寄りのアプローチがハマりやすい印象です。
それに対して後者は人間よりも神羅万象であったり抽象的概念を扱い、広大なスケールの表現が映えると感じます。
大雑把ですが、デプレッシブブラックメタル寄りのポスブラが都市派で、アトモスフェリックブラックメタル寄りのポスブラが自然派みたいに解釈することも可能かもしれません。
もっとも、世の中には多種多様なポストブラックメタルの形があるので、こんな簡単には括れないでしょう。
ただ、あまりにも世の中にはいろんな表現があるので、自分にとって分かりやすい形でポイントを抑えておくのは悪いことではないとも思います。

雲雀は前者だと思いますね。人の息遣いがよく感じられます。
メロディや歌、MVでの表現は勿論のこと、もっとも都市派だと思わせる要素はドラムですね。
なんとなく人を意識させるフレージングが多い気がします。
ちなみに、よくA Light In The DarkとかGermとかと合わせて聴いていることが多いです。

ライブでは激情ハードコアバンドがよくやる、ランプを床に置いて照明に動きを持たせない手法でした。
ただ、橙色ではなく白色の照明なので、ブラックメタルの冷たさと街での生活における寂しさが表現されていたなと感じました。
もう一つ、Ryotaponさんのシャウトをようやく生で聴けましたが、やっぱり素晴らしいですね。肌になじみます。

うっかり自分のポスブラ論を語ってしまい文章が長くなってしまった……。

【OLPHEUS】
2番手のOLPHEUSは歌心のある叙情ハードコアです。
情熱的でいなたい日本語シャウトとすっきりしたクリーンボイス、そしてストレートな演奏。
青春が戻ってくる。
ライブでは怒りや不満などのネガティブな雰囲気はほとんど感じられず、寂しさをエッセンスに、ポジティブなエネルギーで満ち溢れていました。
郷愁の念を抱かせてくれるハンサムなバンドだと思います。
関西がルーツですが活動拠点は東京とのことなので、関東圏にお住いの方は一度覗いてみてはいかがでしょうか?
最新のMVを見るとGusanosにも似た懐かしさを覚え、イグサの香りがこちらまで届いてきそうです。

【Vision of Fatima】
説明は不要でしょう(しなさい)
大学生の頃からよくライブ観てました。
そしてこの日はメイクしているときに始まっちゃったから、顔半分だけメイクしてから観に行った。

国内カオティックハードコアの中においても特に異質であると感じさせるのは、なぜか狭い会場よりも広い会場で観た方がぶち上るという点ではないでしょうか。META VALLEYの大きなステージでとても映えていました。
勿論小さい会場で観てもかっこいいですけどね。
決してキャッチ―ではなく、かなり気持ち悪い音楽性をしているのに、なぜかメインストリームにつま先一つ食い込んでいるような歪さはどこから来るのか。
やはりメンバーのルーツにあるConvergeの影が彼らをそうさせているのかもしれませんね。
あとボーカルの星 拳五さんかっこいい。
ブレス音と笑声が猟奇的で大好物。

【OGAHM】
オルタナティブポストスラッジ、OGAHM。
下北沢ERAで観てみたい。
吹けば飛んでしまいそうな照明の中、打ち下ろすように奏でられる音の重厚さもさることながら、メンバーの超然とした佇まいも曲の説得力を増してくれます。
ヘヴィネスの中にも哀愁が滲み、どこか優しさすら感じられます。従来のスラッジと比べるとキャッチ―なのが一つの要因でしょうか?
ファティマの激情まみれのパフォーマンスとはまた異なる、ネガティブな感情の置き所を教えてくれるようなライブでした。
heaven in her armsとかjukiのように、心の闇を整理整頓させてくれるバンドです。
yogiboに吸収されながら聴くのもいいかもしれない。

【明日の叙景】
トリを務めさせていただきました。
HOLY MOUNTAINと同様にMETA VALLEYのステージも使いやすく、テンション上がります。
そして、今年4月のワンマンに引き続き照明を担当してくださった、HOLY MOUNTAINとMETA VALLEYの、にしださんありがとうございます。
今回もパーフェクトでした……。

著者近影
Photo by 宙希
Photo by 宙希

キメラでは客席に降りて、等力(Gt)のギターソロを初めて客席側から観ました。
楽しいね。

と、そんな感じで今年三度目の大阪公演、堪能しました。
またライブしに行きますのでよろしくお願いします!

セットリスト
入場SE:A Flower Is Not A Flower
1.土踏まず
2.私はもう祈らない
MC
3.コバルトの降る街で
4.歌姫とそこにあれ
MC
5.ビオトープの底から
6.遠雷と君
7.キメラ

ちなみに今回の名阪は関(Ba)はお休みのため、lantanaquamaraのKensukeさんにサポートしてもらいました。

吸い込まれちゃった。

【SheeSawHarm】
最後に今回キャンセルになってしまったSheeSawHarmを紹介。
哀切で溢れる歌詞と音楽的に幅広い表現が魅力的なスクリーモでありつつ、ロックでもあり、そこはかとなくV系も感じるバンドです。
なんか超身近にそんなバンドが他にもいたな……。
ドラスティックかつドラマチックなバンドが好みな方は是非チェックを!

MIXED HELL 2024

偶発的、神名阪ツアー、ラストは“世の中をヘッドバンギングさせる本”『ヘドバン』による、新たなメタルフェスMIXED HELL 2024でした。

「こんなのメタルじゃない」

メタルという音楽は様式美を重んじ、ときには排他的エネルギーに満ち溢れることもある気難しい音楽といえるかもしれません。
それと同時に、一つ思うのが「メタルのようなマイナーな音楽にたどり着く人が他の音楽を通っていないはずはない」「メタラーって他のジャンルの音楽にも詳しい人が多いよね」ということです。
少なくともポップスやロックを通らずメタルしか聴かないって人は……かなり少ないのではないでしょうか?
そして、それはリスナーだけではなくプレイヤー側にも当てはまっているので、メタルを演奏する側のバックボーンが広ければ広いほど、アウトプットもまた多様性に富んだものになるのは当然では?と思うのです。
そうなると既存のメタルの枠にとらわれないアーティストが増えるのはもっともですし、蓋を開けてみたらメタルって排他的な面もあるけど、それと同じくらい大らかで自由な音楽でもあるような気がしてきます。
ちょっとメタラーをひいきしすぎかな?(笑)

そもそもメタルの歴史を紐解くと弁証法のごとく、新しい世代が色々なところから引っ張って来たモチーフを用いて、新たな表現(魔改造ともいう)を生み「こんなのメタルじゃない」を繰り返して発展してきたように思います。
そんな僕の思いに呼応するように生まれたのがMIXED HELLなのでしょうね(違う)

むしろ「こんなのメタルじゃない」という声がなくなったとき、メタルは死ぬのかもしれません。

ライブレポート

第一回目にして(すでに次回があることを確信している人)尖り、それでいて納得できるラインナップだったと思います。
思い思いの形でメタルを解釈し、「自分は自分である」というテーゼを掲げたミュージシャンがこうやって並ぶと壮観です。

photo by オカベメイ

セットリスト
入場SE:A Flower Is Not A Flower
1.土踏まず
2.歌姫とそこにあれ
3.コバルトの降る街で
4.遠雷と君
5.キメラ

初手で電気系統のトラブルに見舞われましたが、お客さんたちの眼差しに後押しされて、どうにか踏ん張れました。
ありがとうございます!

沢山動いて、沢山煽って遊びつくしましたが、割と印象深いのが「コバルトの降る街で」でウォールオブデスをやり損なってしまったのか、ぽっかりとフロアが空いていたことですね。
「おい、これどうすんだよ」という空気が流れる中、一人のお客さんがツーステップを始めたので僕も便乗して「ツーステ」って煽っちゃいました。
BPM的には大きくリズムを取ってステップ踏めば丁度いいかな?
こういうオーディエンス側とプレイヤー側での相互のやり取りといいますか、その場で起きたことによってパフォーマンスが変わるのはライブの醍醐味です。

あと、照明きっちり合わせてくれていてすごかったなぁ。
今回の神名阪ツアーは3公演とも違う照明スタッフさんでしたが、皆さん最高でした。

ライブを終えた後はKANDARIVASドラムスのKyosukeさんと数年ぶりの再会を果たしたり、kokeshiチームといつも通りまったりしていました。

photo by オカベメイ

出演者みんなパフォーマンスもキャラクター性も強くてすごいなぁと思いつつ、JILUKAと花冷え。によるコミュニケーションのライブ運びは特に勉強になりました。
本当に歌の合間合間に細かく煽りを入れて、お客さんのボルテージを含めた時間と空間の作り方を意識しているので、心底ライブのプロだなと感じます。

僕の中の排他的な本能はいつも「MCなんてするな」「フロアを巻き込むな」「こんなの布大樹じゃない」とのたまっているんですけどね。
これからも新しいことに挑戦します。

あとがきにかえて

さて今年はこれでライブ納め……になるのかなぁ?

来年は北海道ワンマンツアーに吉祥寺CLUB SEATA企画、そして3月には東京で久しぶりにワンマンライブ(コバルトの8cmCDがもらえるよ)を行います。
おそらくそれ以外にも沢山ライブをやりますので、遊びにきてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!

Header Photo by オカベメイ

ライブ情報

2024.12.28-29(土日)台湾 新莊新月廣場
Breaking Mud Fest
https://linktr.ee/shua1995

2024.12.31(火)渋谷CLUB QUATTRO / TAKE OFF 7
LIVE DI:GA JUDGEMENT 2024
with irienchy / osage / カラノア / クジラ夜の街 / stico / 3markets[ ] / toddle / Nolzy / フレンズ / リュックと添い寝ごはん / and more...
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/0211080001-P0030043P021001?P1=1221
ローチケ
https://l-tike.com/order/?gLcode=75496
チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2445827&rlsCd=001

2025.1.12(日)旭川 MOSQUITO
2025.1.13(月祝)札幌 KLUB COUNTER ACTION
Solo Concert in Hokkaido
Guest Act: si,irene
Livepocket
https://t.livepocket.jp/t/i2e-j
Zaiko
https://vinyljunkie.zaiko.io/item/368167

2025.1.24(金)吉祥寺CLUB SEATA
CLUB SEATA 15th Anniversary Aftermath
with 地獄カルテット / SAISEIGA
Livepocket
https://t.livepocket.jp/e/7k8wp
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/4226890001-P0030001

2025.3.12(水)渋谷CLUB QUATTRO
Solo Concert "海を渡る翼"
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/3843550001-P0030004?P6=127&P1=0402&P59=1
ローチケ
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=712702
チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2445799&rlsCd=001
※学割チケット有り
※一般チケットの入場者全員に「コバルトの降る街で」8cmCD(非売品)をプレゼント

「コバルトの降る街で」8cmCDイメージ画像

2025.4.27(日)渋谷WWWX / CYCLONE / GARRET
SHIBUYA METAL KAI FEST 2025
livepocket
https://t.livepocket.jp/e/metalkai2025

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