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2024.8.18 RAY presents 「Destroy the Wall」Report【布】

明日の叙景、ボーカルの布です。
先日、出演したRAY presents 「Destroy the Wall」のライブレポートを書いていきます。


アイドルとバンドの壁を壊す

ライブハウスといえばバンドや弾き語り。
そんなイメージも今は遠く、ライブハウスはアイドルのライブが大きな盛り上がりを見せていますね。
アイドルとバンドの共演は珍しくもなく、アイドルが積極的にバックバンドを連れてライブすることもスタンダードとなりました。
また、おもしろいことに音楽スタジオにダンススタジオが併設されることが年々増えているように感じますし、活気づいている気もします。

現在のライブハウスシーン、ひいては音楽シーンやエンターテイメントの現場を肌で感じながら、改めて「壁」というものを掘り下げるのも意義があるかもしれないと感じる今日この頃。
なんなら「バンドとバンドの壁は結構分厚い」と思うこともある……。

Photo by Emily Inoue

いずれにせよ、上記のような小難しいことを一撃で粉砕するエネルギーがこの「アイドルとバンドの壁を壊す」という率直で痛快なスローガンにはありました。
イベントを通じて「壁なんてあったら壊すし、なんなら利用した上で楽しむぜ」的な無邪気さと強かさを体感できましたね。
異種格闘技のようなラインナップでありながら、最初から最後まで大盛り上がり。
プレイヤーとしても発見の多いイベントになりました。

【イベント特設サイト】
いろんな情報があるよ↓↓

ライブレポート

はじめに

お盆最終日。
幕張ではサマソニが開催中。
そんな一日に、RAYへ楽曲提供したバンドが集まるという稀有なイベントが開催されました。

会場は渋谷クラブクアトロ。
出演するのは二度目。
客として初めて行ったのはConvergeとOld Man Gloomの来日公演でした。

downy

1組目はdowny。
ポストロック、エクスペリメンタルという文脈において偉大なる先人にあたるバンドです。

実験的な音楽と言われると奇抜で飛び道具的なイメージを持たれがちですが、downyの奏でる音はノイズも含めて柔和で、音の隙間の埋め方に気取りがなく、生の質感が伝わってくるオーガニックなものでした。
そして青木ロビンさんの色気ある歌声は病みつきになります。

アートとしてエンタメとは明確に線を引いている。
そのようなイメージをかつて僕は抱いておりました。
ただ、なだらかな丘を足を引きずりながら登ってゆくようなセットリストはたとえポジティブなエネルギーに満ちていなくとも、お客さんとコミュニケーションを取る用意があることを雄弁に語っていたように思えました。
オーディエンスの過不足ない拍手も相まって、心地よい理性と自然なままの感情が重なり合ったようなライブでした。

これは余談ですが、おなじみのVJ演出のため、天井を埋め尽くすライトたちが沈黙するのを見ていると、恨めしそうにステージを見下ろしているようにも感じられます。
クアトロのビッシリとした照明かっこいい。

明日の叙景

2組目、自分たちの出番です。
普段からサポートしてくれているGenさんが不在のため、数年ぶりの4人編成でのライブとなりました。
楽屋でGenさんの口癖を繰り返すメンバー、ステージの広さ(下手側のみ)に戸惑うリハ、早くもGenロスに喘ぐ明日の叙景。
そんな状態で果たしてライブはどうなるのか。

Photo by Emily Inoue

今回のセットリストはこちら!

SE. A Flower Is Not A Flower
1. 見つめていたい
2. 土踏まず
3. 歌姫とそこにあれ
4. コバルトの降る街で(今週リリース!!)
5. 青い果実
6. 子守唄は潮騒
7. 遠雷と君
8. キメラ

今回はひたすらブライトでキャッチ―なセットリストにしてみました。
夏フェスに出るなら……みたいに考えて作ったのですが、ライブ中のお客さんの反応が多くて嬉しい限りです。

Photo by Emily Inoue

実は入場時のお客さんの拍手の数や一人ひとりの鳴り方を参考にして「今日はしっとり行った方がいいな」「今日はバカになっていい日だな」と判断しております。
今回は勿論「……よし。バカでいい日だな」と入場時に分かりました。
本当にありがとうございます。(しっとりの日も好きですよ)
日本で初めてバックビートを煽って、リアクションもいただけて大満足。

ドラマチックで素敵な写真を撮ってくれる方が多かったですね。さすがアイドル現場といったところでしょうか。
立派なカメラを携えている人が多く「あ、カメラだ」「こっちにもある」「あっ、こっちにも」となりながら歌いました。
ちょっと中国ツアーを思い出した。

ちなみにMCで「来週新曲リリースします」と言いましたが、グレゴリオ暦で判断している人にとっては日曜日が週の始まりだから「今週リリースします」と言うべきなんですよね。
一方、国際規格を採用すると月曜日からが週はじめなので間違いではなくなります。
……なんの弁明だ?

MO'SOME TONEBENDER

3組目はMO'SOME TONEBENDERです。
ライブを観るのは実は初めて。
多作であり、ロックンロールだけではなく、オルタナやストーナーの香りのする曲までさまざま。全作品聴き切れていない……。

初めてのライブなので普段のセットリストがどうなのか分からないのですが、今回は瑞々しい光に溢れ、観ていて力をもらえるセットでした。

演奏力は勿論のこと、ミニマルな編成なだけあって音域の被りも少ないのか、全パート余すところなく聴ける感覚がとても心地よかったです。
言葉も澄んで届いてきますし、バスドラのアタックの飾らない感じといいますかピュアなところが耳に残っています。
本当に一打一打を受けるごとに心が洗われる。

「Have you ever seen the Stars?」の歌詞が沁みて仕方ない。
これはロックスターですわ。
「何やってんだ」という1フレーズがいまだに強く優しく響いてくる。

ちなみに、ベースの武井靖典さんのガイコツマイクを見て「あれ欲しい!」ってなりました。
武骨さも妖艶さも演出できるんですよね。
いつかあんなマイクが似合う人になりたい。

この後のRAYとのコラボはお祭りとして最高潮でしたね。
フェス飯を目と耳で味わっているようなコテコテ感。
RAYのメンバーがリングコールで登場して、とことんエンタメをしたかと思えば、演奏が始まればユーモアもちらつかせつつ、しっかりと締めておりました。

RAY

トリは勿論、主催たるRAYです。
ダイナミックなダンスと、スピーカーから放たれるローのインパクトがとてもマッチしていました。
あまりアイドルのライブを観る機会がないので素人目線なのですが、いつも感心するのがダンス中にマイクの向きや距離が微妙に変わったりするのに、声を綺麗に入れられる点です。
踊りながらもその都度、マイクと口元の位置を調整しているのでしょうね。特殊なテクニックだなぁとひしひし感じます。

入場SEから「星に願いを」が一曲目。
「これ作ったのうちの子なんですよ~」ってドヤ顔した。

新しいアルバムの中で一番好きな「読書日記」をやってもらえたのでグッド。
歌詞も素晴らしいですし、久しく感じていなかった変拍子の良さをじっくりと伝えてくれます。

そして「バタフライエフェクト」で夏をふんだんに摂取できたので「よし、夏。お前もう帰っていいぞ」ってなりました。
でも、きっと長居するんでしょうね。

あとがきにかえて

「アイドルとバンドの壁」について私見を述べようかと思っていたのですが、想像以上にまとめるのが大変だったので全カットしました(笑)
いずれにせよ、明日の叙景はこれまでとスタンスは変わらず、どこにでも出没するような横断的なバンドでいたいなと思っています。
なんならバンドは自分たちだけで他の出演者は全てアイドルってイベントに出演したこともありますしね。

Photo by Emily Inoue

さて、新曲「コバルトの降る街で」の解禁はもう間近。
乞うご期待!

ライブ情報

2024.9.29 (日) 東京Veats Shibuya
2024.10.6 (日) 大阪バナナホール

Imperial Circus Dead Decadence×明日の叙景 2MAN SHOW
『神産む嵌合体と詩葬の彼岸』
チケットフロッグ
https://ticket-frog.com/e/icdd_2409-10
イープラス
https://eplus.jp/sf/word/0000116379
ローチケ
https://l-tike.com/search/?lcd=74086

2024.11.28(木)大阪Yogibo META VALLEY
Namba Culture Terminal 2024 -1st Anniversary-
-act- OGAHM / OLPHEUS / SheeSawHarm / VISION OF FATIMA / 雲雀 / 明日の叙景
https://eplus.jp/sf/word/0000159672

(東京のバンドだけど大阪公演の方が多い……だと?)

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