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2024.09.29 / 10.06 Imperial Circus Dead Decadence×明日の叙景 2MAN SHOW『神産む嵌合体と詩葬の彼岸』Report【布】

明日の叙景、ボーカルの布です。
先日、東京と大阪で行われたImperial Circus Dead Decadenceとの2マンライブについて書いていきます。


はじめに

Imperial Circus Dead Decadence(以下ICDD)と出会ってから、10年近くの月日が流れたでしょうか?
タールのこびりついた大学のサークルの会室にて「サンホラとDirを足して2で割ったようなヤバいのがいる」という同期の説明とともにスピーカーから流されたのが『狂​お​し​く​咲​い​た​凄​惨​な​骸​は​奏​で​、​愛​お​し​く​裂​い​た​少​女​は​聖​餐​の​詞​を​謳​う​。』でした。

Sound Horizon? Dir en grey? JAM Project? THE HAUNTED? Emperor?
などなどモチーフの濁流と言いますか、ここまで欲張りセットのような音楽を一つの作品に落とし込めるものだろうかと当時は戦慄しました。
情報量の多い楽器隊にまったく引けを取らない、強固なエゴを持つボーカルたちにも自然と頭が下がったものです。

記事を書きながら聴き直しているのですが、初期の作品は子供のおもちゃ箱のような魅力で溢れているように思います。好きなものをかき集めたような感じといいますか。
デプレッシブブラックメタルとV系、どちらも好きなら間違いなく刺さる「語継がれる悲哀」を聴くと自分も「自己に対する無関心が生んだ他人への共感」でこういう表現やったなぁ……としみじみする。

ICDDとの個人的なファーストコンタクトは2023年、Sable Hills主催の「FRONTLINE FESTIVAL 2023」でした。
ベースの本石さんが楽屋で挨拶してくれて「認知してくれているんだ……」と驚いたのはいい思い出です。
といっても、その日に仲良くなって今回の2マンにつながったなんてことはなく、その日はそれ以外に交流はなかったのですけどね。
だって緊張してたんだもん。
ちなみに、ICDDのドラムの修平さんとうちの等力(Gt)はもとから交流がありました。

Day1 東京Veats Shibuya

東京の会場は演者としても客としても行ったことがないVeats。
周りからは「いい会場だよ」と評判は届いており、そのステージに立てるのが楽しみでした。

Photo by Jun Tsuneda

ライブ当日「せっかく隣にMEGAドンキがあるんだし、リハ前にカラコンコーナー行こうかな」と思っていたのですが雨+人の多さにやられ、ちょっと覗いてすぐ撤退。
冷静に考えるとライブ前にドンキ行くとか、遊園地で遊んでからライブするようなものですね。
楽しいけど買い物するだけでHP削られる。それが激安ジャングル、ドン・キホーテ。

雑然とした店舗を目にした反動もあり、Veatsの落ち着いた雰囲気には一安心。

多くのライブハウスが持つ、どこか危険な香りを伴うサグい佇まいは、日常では味わいがたい刺激を受けるのにうってつけです。
それに対してVeatsのシンプルかつクリーンな内装は音楽を混じり気なく楽しむのに丁度よいとも感じました。
ライブハウスというよりもコンサートホールと形容する方が個人的にはしっくりきます。

明日の叙景

Photo by Jun Tsuneda

この日からは僕もイヤモニを導入。そして、ついにステージ上から転がしモニターが消えた。
いやはや、新しいことに挑戦するのはいくつになってもスリリングですね。
セットリストはこちら↓↓

-Setlist-
SE. A Flower Is Not A Flower
1. 土踏まず
2. 私はもう祈らない
3. 歌姫とそこにあれ
4. コバルトの降る街で
5. 修羅
6. Bass solo~甘き渦の微笑
7. 子守唄は潮騒
8.ツェッペリン(新曲!)
9. 遠雷と君
10. キメラ

セットリストで大事にしたこととしては「解放感と重厚感」です。
ICDDとの2マンなので、演奏する側にとっても、聴く側にとってもシビアなセットリストで攻めたいなと思いましたが、いかがでしたか?

Photo by Jun Tsuneda

新曲「ツェッペリン」もお披露目。
これまでになかった新しいリズムに挑戦しました。
今後もライブで演奏するかもしれないので、観れた人はラッキーですよ。

Photo by Jun Tsuneda
Photo by Jun Tsuneda

しかしVeatsは音響も照明もハイクオリティですね。
とても快適でやりやすかったです。
早めに客目線でも会場のポテンシャルを感じたい。

Imperial Circus Dead Decadance

ICDDのライブを観ている回数が一番多いのは関(Ba)、次点で僕でしょうか。
会場全体が一斉にヘドバンし、拳を突き上げる「いかにも……っ!」なライブでしたね。
ただ、暴れ方や歓声の上がり方にはどこか理性が感じられ、演者、観客、会場と三位一体で作られる、まとまりのある時間と空間でした。

僕たちはリハの段階でネタバレを喰らっていたのですが、やってくれましたね。超ド級のカバー、LUNA SEA「Dejavu」

レトロでモダンってICDDにとっても、明日の叙景にとっても無視できない要素ではないでしょうか?
でも、そのスタンスを明瞭に主張したバンドと言えばやっぱりメリーかな?メリーはもうちょいレトロ寄りな気もしますが。

全体的にエンターテイメントと実験の二つの要素が折り重なったセットリストでしたね。
アンコールで演奏された新曲もすごかった。
最高に情緒と哀愁が溢れる、こってりジャパニメーションなメロディを堪能できます。
今回、遊びに来られなかった人も一緒に音源化を楽しみにしましょう!

Photo by Jun Tsuneda

ICDDと明日の叙景は「近いようで遠く、遠いようで近い」バンドです。
互いに物語と現実を描くことを重視している点では同じなのですが、モチーフやパフォーマンスは大きく異なります。
ICDDの方がファンタジーをベースに「生きる」という等身大のメッセージを表現しているのに対して、明日の叙景は日常における葛藤にファンタジーのエッセンスを加えるタイプ。
でも、いざライブとなるとICDDの方が第四の壁が薄くて、人間味に溢れます。
それに対して明日の叙景はフロアに対して一歩引いておりますね。

Photo by Jun Tsuneda

そんな対極に位置するような2バンドの共演により、プレイヤーもオーディエンスも価値観をアップデートできたのではないでしょうか。

Day2 大阪バナナホール

4月のワンマンぶりの大阪です!
ICDDとの共演第2ラウンドは歓楽街、梅田にある風情あるライブハウス、バナナホール。
木材を基調とした内装と今にもドンキーコングが出てきそうな樽が印象的です。
名物のバナナジュースを飲み損ねたのは一生の不覚。
でも、店長さんが黄色いニット帽被ってたのがグッドだった。

明日の叙景

えー、煽った。
とにかく煽った、動いた、そしてマイクホルダーが外れたことでスタンドが飛んでいった。ステージ上でビヨンビヨン揺れて静止した。倒れなかったのは偉いぞマイクスタンド。

Photo by 渋谷宙希
Photo by 渋谷宙希

ここまでアクティブでオープンなライブをしたのは初めてかもしれません。
東京公演の静謐で内向的なライブなど知るかとばかりに、とりあえず動けるだけ動いたって感じでした。
いや、もしかしたら普通のバンドっていつもライブしてるとき、こんな感じなのかな?
すごい。
セットリストはこちら↓↓

-Setlist-
SE. A Flower Is Not A Flower
1. 土踏まず
2. 私はもう祈らない
3. コバルトの降る街で
4. 歌姫とそこにあれ
5. ビオトープの底から
6. ツェッペリン(新曲!)
7. Bass solo~甘き渦の微笑
8.子守唄は潮騒
9. 遠雷と君
10. キメラ

実は東京公演の直後「ちょっと内向的すぎね?」とのことでメンバーとスタッフ含めた緊急ミーティングを行い、大阪公演のセットリストを変更しました。

Photo by 渋谷宙希

なお、東京公演の内容が想定の範囲内であり、満足していた僕だけこの変更にはプンプンというね(笑)

「『修羅』から『甘き渦の微笑』の流れは拷問パートでしょ。演者にとってもお客さんにとっても」というメンバーの弁に対して僕は「拷問パート欲しくね?」と開き直る始末。
上手く息ができなくてしんどいライブとか最高じゃないですか。

Photo by 渋谷宙希
Photo by 渋谷宙希

とはいえ、大阪でのライブ運びが新機軸だったのは事実。
お客さんのバイタリティに助けられながら、エンターテイメントとして一つの道筋を得たライブとなりました。

Imperial Circus Dead Decadance

僕らだけじゃなくてICDDでもお客さんのノリは東京とは異なりましたね。
お客さんがメンバーに向かって「かかってこいやー!!」なんて言うライブ、生では一度も経験したことない……。大日本異端芸者かな?

また、ICDDのメンバーの人間力とフロアをわくわくさせる力には脱帽しました。
初期のレア曲「ヘルマフロメイデアの肋骨」を披露して、しっかりプレミア感を出すのも流石。
凄まじい熱量を持って、ライブはあっという間に終わりました。

今回のイベントではコラボこそありませんでしたが、間違いなく明日の叙景はICDDとそのファンの方々の力を借り、これまでになかった一面を覗かせられたと思います。

バンドってワンマンと対バンでは見せる顔が違うんですよね。
お客さんだけじゃなく、演者自身も知らなかったバンドのポテンシャルが発揮されるのは対バンの魅力かもしれません。

あとがきにかえて

ホテルから打ち上げ会場へと向かう間、徒歩3分くらいの道のりだったのに路上で酔い潰れている人を3人も見かけた。
これが梅田か。歌舞伎町よりも歌舞伎ている。
近頃めっきり夜は冷え込むのでお酒はほどほどに。

打ち上げには「はじめましてかな」のVesper the Aerialと「ひさしぶりだね」のDEVILOOFも参加しており、濃ゆいメタルトークが繰り広げられました。

リブユウキさんに「どうしてもICDDにはサンホラとDirを足して2で割ったって表現がしっくりきちゃって。でも今のICDDはモチーフが明確でない独自の要素が増えてきているから、あまりそう評されたくないのかな?と思うんですけど、どうです?」と聞いたら「サンホラとDirを足して2で割ったようなバンドが他に存在しなくて、それがやりたいことなら『それが自分にしかできない音楽』だと思う」と言ってもらえて胸のつっかえが取れました。

実際ICDDは同人音楽の文脈にあるので、オマージュやサンプリングに対してもフラットなのでしょう。
明日の叙景もまた、いろんな音楽から影響を受けており「これかっこいいからやっちゃおう」みたいなことが多い。

ただ、パクリ問題は無視できませんし、そう簡単にオールオッケーとは言えないのも事実です。
どこからが良くて、どこからがダメかを判断するのは難しいですね。

一つ心に留めておくべきこととしては、多くの創作は色んなところから影響を受けており、完全なるオリジナルは存在しないということだと思います。
「作品という成果を自分だけの手柄にしない」と捉えることは大事。自分の力だけで大きくなれたわけじゃないんですよね。
勿論「俺って天才かも?」なんて思うことも、たまにはいいかもしれません。

理想を追いかけられるのは先人たちの表現があるから。また、そのための環境が整っているから。
そして、先人たちの作品だけでは「痒いところに手が届かない」と思った時、創作は始まります。
多分。
まさに「無いなら作る。居ないならなる」by BOSS(THA BLUE HERB)ですね。

結構長くなった。
それでは、秋めいてきたのでお互い健康には気をつけていきましょー。

「追伸」
これから毎週水曜日20時にnoteで記事を公開していきます。
次回公開日は10/23(水)です。お楽しみに!

ライブ情報

2024.11.3(日)Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / 7th floor
BiKN shibuya 2024 

【国内向けチケット】
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2429459

【Oversea】
https://ticket.pia.jp/piasp/inbound/biknshibuya24eng.jsp

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2024.11.27(水)名古屋鶴舞DAYTRIP

Solo Concert “Island in Full” -extra-

LivePocket
https://t.livepocket.jp/e/daytrip_241127

zaiko
https://vinyljunkie.zaiko.io/item/366577

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2024.11.28(木)大阪Yogibo META VALLEY
Namba Culture Terminal 2024 -1st Anniversary-

イープラス
https://eplus.jp/sf/word/0000159672

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2024.11.30(土)川崎 CLUB CITTA'
MIXED HELL 2024

イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/4187970001-P0030001?P6=001&P1=0402&P59=1

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