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【乳がん 治療の記録】#06 しこりの自覚からラジオ波選択まで その3

夫はラジオ波一択!

夫に話すと案の定、興味津々。
なにしろ、義母の肝臓がんの再発の際、自分で調べて探し当てた治療法だったから。
抗がん剤も効かず、これ以上切るのも体力的に無理という状態の中、体に負担の少ないこの手術を知り、主治医にかけあって転院までして受けさせたのでした。
その後義母は寛解、別の原因で亡くなるまでの数年間、元気に一人暮らしができるまでに回復したのです。

「ラジオ波の方が体に負担が少ないに決まってるじゃん!」

夫は一夜にして乳がんについて調べ上げ、私より詳しくなっており、ラジオ波しかないという。

腫瘍は14mmといえど、切除となったら、7cmほど切開し、腫瘍の周りを二まわりくらい大きく取り出します。

「そんなに大きな組織を取り出したら、ダメージが大きいに決まってる。
体弱いんだから、絶対ラジオ波の方がいい。」
とラジオ波一択。

やけどの可能性が高いし、温度が上がらなかったら結局切除になるし、3ヶ月後の針検診で焼き残しがあったらやっぱり結局切除になるんだし・・・

「そんなの確率の問題じゃん。切除したって5%は取り残しの可能性あるんでしょ? やけどは、皮膚に近い場合、腫瘍との間にブドウ糖注入してからやるって書いてあるから大丈夫だよ!」

そうかもしれないけど、なにより異物が自分の中に残るのが怖い。
ずっとひきつれの痛みが残ったりしたらいやだ。

「そんなの老廃物として体に吸収されるよ。」

ほんとかよ!?

全摘しかない多くの乳がん患者さんがいる中で、切除かラジオ波かを迷ってるなんて、ほんと何ほざいてるんだ、て感じなのですが、本人にとっては深刻な問題で。
あんまり強く推されるので、ラジオ波に傾きかけたものの、異物が体の中で圧迫するのを想像すると、やっぱり取り除きたくて、結局結論を出せないまま次の診察を迎えたのでした。

病院初の乳がんラジオ波患者!

一週間後、夫も同席での外来。

「私が条件にあてはまるならラジオ波でやってみようと思っています。」

ああ、言ってしまった。
主治医は驚きもせず、そうですか、と。

「あの、焼いた後の組織は、何年かかけて小さくなったりしますか?」
「しません!」

え!?
後ろにいる夫を振り返るが無表情。

「ただ、3ヶ月後の針生検で組織取ると、少し緩和されるかな」

ああ・・・たいして小さくならないのか。
「その組織がまわりの神経を圧迫するとかありますか?」

「それはない!それはないんですけど、しこりは気になる人は気にするですよね。やっぱり膨らむから。腫瘍そのものは壊死してもまわりの組織が膨張するので。」

ネットで調べたところによると、ラジオ波は針の熱中心から直径3cmの範囲が焼けるそうです。
つまり、ピンポン玉みたいのが体の中にできるのです。
切除すると逆にへこむので、そこが大きな違いですね。

「で、ラジオ波は、当院では最初の症例になるんですよ。」

ええ!そうなんですか!?先生にとって初めて、じゃなくて?

2024年10月現在、一番多く実施している病院でも保険診療としてやったのはまだ4〜5人という。

「初めての症例なので、臨床試験の段階から数多くやってる先生にご指導いただきながら、安全に行えるように手術室の準備をするので、手術の日程はちょっと調整させてください。」

なんだか大ごとに。

「ラジオ波で手術されるのは、その先生なんですか?」
夫が聞く。
「いや、私がやります」
と主治医。

え!?

「そう、それも含めて、初めてなんて勘弁してよ、ということであれば、普通の手術の方がいいと思います(笑)」

夫を振り返るが無表情。

「それでも、傷がつかない治療をしたい、という強いモチベーションがあればぜひ受けてください!」

と締め括られ、手術日は後日連絡を受けることになり、診察室を出ました。
傷はついてもいいんだけどなあ・・・

「病院で初めてだって。どう思う?」
始終無表情だった夫に聞いてみると、
「やるでしょ!」

まじか。
結局、夫のぶれない選択に押される形で、ラジオ波を選択したのですが、病院初の乳がんラジオ波患者、というのが決め手になったかと思います。

初めてなら病院は気合いを入れて準備してくれるのではないか。
これから増えていくであろう手術の先頭に立てるのは、名誉なんじゃないか。
ラジオ波の体験を発信してる人が見当たらなかったから、ここで私が体張って発信したら、これからの人に役に立てるのではないか。
そんなことが私を納得させたと思います。

昨年の健診のあとすぐの時点で病院に行っていたら、まだ保険診療でなかったこの手術法は選ぶことはできませんでした。
それも運命なんじゃないかと。
亡き義母にも背中を押された気がして・・・。

なんだか大袈裟ですが、そんな言い訳を自分にたくさんして、2024年11月18日、ラジオ波焼灼療法にて乳がん手術に臨みました。

次は手術のこと、書いてみます。