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クリスティーン/スティーブン・キング

スティーブンキングの著書、クリスティーンを読み終えた!

いや、面白かったですー‼️
映画では車(クリスティーン)自体に意思がある、という設定だけど、
原作はこの車に最初に乗っていたルベイという男の怨念が、車に取り憑いている。ここが根本的に違う。

この本を読むと、アメリカのティーンエイジャーが社会の中でどんな位置にいるのか、よくわかる。
大人からは子供だとバカにされまともに扱われず、学校で気弱な者は目をつけられて徹底的に虐められる。
ルベイという老人が売りに出していた車「クリスティーン」に一目惚れしたアーニーは、学校では虐めに遭い、家では毒親に徹底的に管理され、見てくれもイマイチな気弱な青年である。
それが、クリスティーンを手に入れたことから次第にルベイに人格をのっとられ、別人になってゆく。(ルベイはアーニーに車を売ってからほどなくして亡くなる)。

恐るべきはルベイの、常に不満と怒りを内部に抱え、口汚くて凶暴で残酷、そして執念深い性質である。
ルベイもアーニーも、「社会不適合者」であり、そのくすぶった唯一の捌け口が車「クリスティーン」であった。
だがアーニーにはデニスという良き友人がいて、素敵なガールフレンド(リー)もできる。
リーはアーニーの魅力をちゃんと分かっていて心から好きなのだが、クリスティーンに心を奪われ(正確にはルベイに乗っ取られ)るアーニーに次第に距離を置くようになる。ところが彼女にルベイが異常に執着し出す。
デニスはもとよりリーのことが好きだったのだが、アーニーの手前身を引いていた。が、クリスティーンに執着し、次第に変貌してゆくアーニーに危険を感じ、同様に危惧を抱いていたリーと後半ではアーニーに隠れて親密になってゆく。

健全なデニスはどんどん変貌してゆく幼馴染のアーニーを失いたくない思いと、彼の恋人を奪っている後ろめたさに苦しみながら、友人や大事な人達を守るためにはクリスティーンを破壊するしかないと、ようやくギプスの取れた足を引き摺って挑む。

物凄い激闘の末、完膚なきまで木っ端微塵に破壊されたクリスティーン。
ようやくそれで一件落着か、と思いきや、
悪夢はまだ続く。
さすがキング、簡単には終わらせない。

「彼の飽くことを知らぬ目的意識。
 彼の已むことなき怨念。」

これで物語は締めくくられる。
指先が冷たくなるような終わりである。

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