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スティーブン・キング短編シリーズ8つの悪夢Ⅱ
前回↓に引き続き。
4、ハワードに何が起こったか
ドキュメンタリー監督である兄が、弟を殺した理由と経緯を話し、それをビデオに撮っていく。
彼は走馬灯のように思い出を辿る。
ハワードの弟ボビーは天才だった。小さい頃から才覚を現し、やがて世界の人々が争いを起こさぬ、感情を抑制する物質を開発し、世界に広める。が、それには思わぬ副作用が…
これって、、、有り得ない話だ、と言い切れないところが怖い。
ハワードの弟ボビーが開発した物質は、本当にそんなのがあればぜひとも使いたくなる素晴らしいもの。
だがその新薬を話す時、ハワードに協力してほしいと詰め寄るボビーはどこか狂人めいていておそろしい。家族が和やかに食事する時も、場の空気を読まず戦争を起こす大元の話をする様子にも、異様なものを感じた。とにかく彼は、ひとつのことに疑問を持つとそこから目を逸らせない。
物語は成功と、後に発覚する副作用、それにより引き起こされた人類の悲劇を語り、ボビーの遺言によりハワードがドキュメンタリー番組として全てを告白し、録画し終えて幕を閉じる。
見終わった後、物語なのにそれらを実体験して早送りで見たような気がした。
背中が薄ら寒くなるような物語である。
5、ロードウイルスは北に向かう
著名なホラー小説家リチャードは、健康診断の結果再検査することになる。自分の身体に不安を抱えながらボストンでのサイン会が終わった後、車でメイン州に帰る。途中、ガラージセールで一枚の不気味な絵を買う。
道中、その絵はどんどん変化し、彼を追って来ていることがわかり、、、。
これはもうね。原作がすっごく怖くて、映像化されたらどーなるんだ?!と思っていた。
感想は、原作ほどおどろおどろしさがなくて綺麗にまとまっている感じ。あまり怖くはない。
逆に原作を読まずに見たらかなり怖いかもしれない。
数多のひとが訪れるガラージセール。私もアメリカに居た頃は、よくガラージセールを覗き、ジャンクを買ったもんだった。だが何気に買った品が呪われていたらおそろしい。
病気の心配とかいろいろ要素はあるが、リチャードがあの絵を買ってしまったことが一番の原因だと思う。
呪いの品を手に入れてしまった、ってこと。
あんな怖い絵、みんな敬遠してたのになぜ引き寄せられたのか。
主人公リチャードを演じた俳優さんは特典インタビューで、著名なホラー作家でメイン州に住んでる設定なんて、まるでキング自身のようだと言っていた。そして、最初ボストンでは多くの人々に囲まれて喧騒の中にいるのに、北上するに従ってどんどん人が少なくなってゆく。
キングの物語特有の怖さが、物語が進むほどじわじわくる。
6、フィフス・クォーター
刑務所を出所したウィリーが、ようやく家族の元へ帰って来た。その夜、昔の刑務所仲間が重症を負い彼の元へやってくる。彼は大金が隠された場所を記した地図のピースを持っており、ウィリーにそれを託す。
この話はもうね、謎解き?というか財宝探し。
サスペンス要素が濃くて殺るか殺られるかの息詰まるような緊迫シーンが連続して起こる。
ウィリーは長い刑期を終えてようやくシャバに出られたというのに、またヤバいことに巻き込まれ、まったく運の悪い奴だと思った。更に死んだ友人を近くに埋めて、宝探しをしようというんだから。
だが、他のピースを持つ奴が同じように全ピースを集めようとしてウィリーの家を襲うから、もう逃れようがないのだろう。
で。この話、最終的にハッピーエンドなのだろうか?? 本当はどうなって終わったのか、原作を読んでみないとわからないな。
(8つの悪夢Ⅲに続く)