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ドクタースリープ

これ、随分前に映画版を見て小説も読んだのに、記事に上げてなかった。
スティーブン・キングの作品、ドクター・スリープ。
あの「シャイニング」から30年後の物語だ!

オーバールックホテルの惨劇のあと。ダンはアルコール依存症を引きずりながら町を転々と放浪していた。
途中、何気に降りた街の小型機関車に惹かれ、住みつくようになる。
ホスピスで働きながら、死期が近づくと不思議にわかる猫に誘われて患者を看取るようになり…
彼はドクタースリープと呼ばれるようになった。
そんなとき、彼と同じ「輝き」を持つ少女からのコンタクト。
一方、ダンのような特殊能力を持つ者の生命を喰らう邪悪な集団が彼らにじわじわ迫る。
ダンは敵を、オーバールックホテルに誘い込む。 最後の決戦の場として。


※※※


これ、アマプラで映画版を見たけどすごく良かった‼️
そのあと原作を読み、また感動し。
映画と原作のラストは違っているけれど、どちらも素晴らしい作品なんである‼️😆
なんていうの?映画はクォリティが高い?そんな感じ(^^)
私が今まで触れた、キング全ての作品の中でダントツ一位、ドクター・スリープが好き。
おそらくそれは、ダンが介護士であり、ホスピスで働いていることが激しく共感できるからだろう。

彼のずっと昔から抱え続けてきた罪の意識。
アルコール依存から抜け出そうとする努力。
過去の経験からくるトラブルから回避しようとする気持ち。
だけどそんな消極的な彼に風穴を開けたのが、アブラ。
若く、純粋で、真っ直ぐな「かがやき」を持った少女。
彼女が敵を招き寄せ、それを逆手にとって「精神」に入り込む手管は素晴らしく鮮やかで爽快だ。
映画ではその「精神世界の中の敵との攻防」が緻密に描き出されており、見ていてわくわくする。
だがアブラの揺るぎない正義感と好戦的な性格は、当然だが危険を伴う。
敵はどんなに遠くても、「かがやき」を持つ者を嗅ぎつける。そして、居場所を探知する。

ニードフル・シングスもそうだったが、この物語も「精神世界」、「イメージ」を重視した作品だなぁと私は思う。(同じような設定がドリーム・キャッチャーにもあった)
ダンがディックから教えてもらったように、「悪いもの」を自分だけの「真鍮の箱」に封印する、それもまたイメージなのだ。
アブラがダンの中に眠っていた正義と使命を目覚めさせる。
そして巨悪に立ち向かう。
勇気と友情。機転。転換。利用。闘い。
物語の主軸とは別に、ダンの自分の中での闘い、そしてあっけなく解消される悩み。…

原作のラストは感動。
自分だから、できること。
「見送るひと」たるダンの慈愛と優しさに。
この物語は アブラ、そしてダンの成長の物語でもある。

小説の上下巻を並べると。

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