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寝酒

私は若い頃から寝付きが悪かった。
覚えている限りでは幼稚園のとき、「お昼寝」ってあるじゃないか。あれがさ、まずうまく眠れなかった。
プールだのの後は一休みできるから気持ちいいんだけど(←この考え方は大人になってからね(笑))一応決まりごとだから、横になって目は瞑るけど手足をびんと伸ばしたままの姿勢で覚醒していた。
子供はどこでもすとん、と眠れるかっていうとそうでもないのだ。

中学では、虐めだのなんだのや頭痛持ちで、夜はなかなか眠れなかった。
父が薬剤師だったのでなんかいい方法はないかと訊ねると、
赤玉ポートワインを一杯飲んで寝なさい
と言う。
たまたまそれがあったからだろう。
飲んでみると、なるほど寝付きが良い。
何日か続けていると、ある日瓶の中身が大幅に減っているのに父が気がつき、
水で薄めて飲みなさい
と言う。
えええー?と思ったが、やってみるとやはり水割りワインはまずかった(-。-;
飲酒があんまし癖になってもなーと子供心に思ったので、それから飲まなくなったと思う。←何より赤玉ポートワインの水割りはマズかったから(^_^;)
ある日クラスメイトが親の酒を学校に持ち込み、「オトナの味♪」なんて言って酔っ払っていたが、私はさして驚きもしなかった。
既に酒の効力を知っていたし、私にとっては眠れる水、くらいのものだったのだ。

今は普通に酒を飲むし、好みの酒もあるから私も成長したもんだ(笑)
だが、「寝酒」として飲んだのはあの中学の時が最初であり、それ以来「寝酒」を飲んだことはない。そしてそれが、私が酒を飲んだ最初だった。
酒に対する抵抗や、祖母が当時言っていた「飲むと心臓ばくばく」などはまったくなかった。
後に酒飲みと言われるようになったが、父は眠れない私にポートワインを勧めたのが飲酒のきっかけだとは思っていなかったろう。

それから何年も後に、赤玉ポートワインを口にする機会があった。
何年かぶりで飲んだそれは、甘だるくて不味かった。いや。飲酒のとっかかりにはちょうどいいのかもしれないな😁

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