改良メダカ「背曲がり」個体から子個体への遺伝に関する検証② ~検証の概要~
今回は、改良メダカ「背曲がり」個体の遺伝に関する研究の概要を
説明していきたいと思います。
背曲がり個体との出逢いは以下の記事をご覧ください(^^♪
本研究の目的は、奇形とされている「背曲がり」の発生要因を検討し、
「背曲がり」の発現を抑制できるような飼育環境の提案が
できたらいいなと思っています(^^♪
研究の背景と目的は以下の記事をご覧ください('◇')ゞ
現段階において、背曲がり発生の要因の大きな1つとして挙げられるのが
近親交配による遺伝的要因による発生というのが主流です。
しかし、「背曲がり」は遺伝するかもしれないし、しないかもしれない
という、ざっくりとした感じなのが現状です。
本研究における「背曲がり」発生要因の仮説
本研究では、「背曲がり」発生の仮説を次のようにしています。
背曲がりの遺伝形質を持った個体の後天的環境要因によって
「背曲がり」の発現率は変化する。
農林水産技術研究ジャーナル(1992)「魚類における分子生物学研究の現状」¹
著者の荒木氏は、ドイツのマックスプラント研究所が「魚類には遺伝的要素だけではなく、後天的要因によっても性決定が左右される魚種が存在する」ことに言及しています。
このことから、改良メダカも同様に「後天的要因」によって
「背曲がり」の発生が起こっている場合もあるのではないかと考えました。
2.マリンブルーメダカ背曲がり個体検証の概要
2.1 検証の材料と飼育方法
検証に用いた改良メダカの親は、マリンブルーという品種の改良メダカで、
背曲がりのある親個体は雌でした。
本個体の「背曲がり」の要因は、入手時点で「背曲がり」が発生しており
先天的なものなのか、後天的なものなのかの判断はできませんでした。
雄親個体に関しては「背曲がり」のある個体を用意できなかったため
マリンブルーメダカの「背曲がりのない」雄個体との交配をさせました。
飼育環境は、屋外で太陽光が午前中のみあたる
東側の壁沿いに飼育ケースを配置しました。
飼育ケースには、幅25cm、奥行37㎝、高さ11.5㎝のプラケースを使用
水量は約7L、低床は赤玉土、水草はアナカリスを使用しました。
交配の方法に関しては、
雄個体6匹、雌個体10匹(背曲がり含む)計16匹を混泳させて
自然交配してもらいました。
混泳による自然交配の理由は、ランダムな雄個体との交配をさせることと
できる限り「背曲がり」のある雌個体に負担をかけたくなかったためです。
採卵の方法については後日別の記事にて詳細を書きますが、
産卵床などを使った採卵ではなく、
「背曲がり」のある雌個体から直接採卵を行ないました。
著者:あすみ悠 修士卒社会人
Twitter:https://twitter.com/asumi_39
共著:杉山遥 生物学理学博士
Twitter:https://twitter.com/lab_new2
【引用参考文献】
1:農林水産技術研究ジャーナル(1992):魚類における分子生物学研究の現状
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010441715.pdf
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