”アフロ民藝”とは?「シアスター・ゲイツ展」
先日「シアスター・ゲイツ展」へ行ってきました。
正直全く知らず、「ちょっと時間あるし何かいい展覧会やってないかなー」と探していたところ目につきました。
全然現代アートへの理解ができていない私ですが、先日の美術館で発見した自分の新しい感覚にちょっと響き、(こちらの記事です↓)なんとなく今の気分で行ってきました。
まず、シアスター・ゲイツについて
とりあえず、常滑にいた、ということに親近感湧くw
そして彼の提唱している「アフロ民藝」とは?
なるほど、わかるようなわからないような。
なので観るほうが早いと思い早速鑑賞。
入り口はいるとすぐにむせかえるようなお香の匂いと床に引き詰められた常滑焼きのタイル。
このお香の香りは、シアスター・ゲイツが京都の香老舗 松栄堂の調合師と作り上げた、シカゴ、常滑の香りだそうです。
このお香、販売もしてましたよ。
その奥にはオルガンとスピーカー
ゲイツ曰く、「7人の姉、そして黒人音楽が私の現代アートの実践に与えた影響への敬意を表現しました」とのこと。
ここにおいてあるハモンドオルガンは黒人教会でゴスペルを歌う際によく使われるものだそうです。
その先には、取り壊される黒人教会で歌うゲイツの映像作品もあり、その歌声に魅入ってしまいました。
多方面に活動するゲイツの活動の一つ、2009年に設立した財団「リビルド・ファウンデーション」の活動も強い情熱を感じました。
次はゲイツの陶芸作品。
なぜ常滑?と思ったのですが、調べてみると衰退していく常滑市の窯業の中で、外国人の陶芸家に来てもらって、日本の陶芸を勉強してもらおうということがきっかけでゲイツは来日したそうです。
日常で使われるものへの美学や尊敬、「民藝」との出会いですね。
一つ前の記事でも書いた、最近私が気になる感覚、「土、素朴?、自然、力強さ、ユーモア、人間味、」もここに通ずるのかも。
架空の日本人陶芸家「山口庄司」にまつわるプロジェクト「ヤマグチ・インスティテュート」も、面白いこと考えるなあ、と。
最後はダンスフロアのようなスペースで、ネオンサインにミラーボール、常滑焼の徳利がずらりと並んだバーカウンター、そしてファンクミュージックが流れる空間。
ゲイツ曰く、「みんなでお酒飲んで踊ろう!」とのこと。
2時間くらいの鑑賞でしたが、ゲイツの活動の幅広さとパワフルさにまず圧倒されました。
それぞれの作品の根底にある、黒人であることの誇り、そしてどの時代、どの国においても職人に対するリスペクトを感じ、その背景まで考えを巡らせていくと、とても2時間では足りないなと。
1973年生まれのゲイツであっても、まだまだ根強い黒人差別や偏見を感じるからこそ生まれた「アフロ民藝」という言葉であると思います。
たまたま先日、NHKの映像の世紀で、「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」を見ました。 歴史や映画などで黒人の歴史や差別の空気感はわかっていたつもりでしたが、とてもショックでした。
今も続く悲しみや怒りの歴史の中でも、現代に生きるゲイツだからこそできる多様な表現なのかなと。
アーティストでもあり、活動家?という言葉も当てはまるような。
ほんと、人種も、国籍も、職業も、宗教も、何もかも超えてみんなで「飲んで踊れる」日が来るといいな、と思いました。
「美術館ナビ」のサイトに載ってた、歌舞伎俳優の片岡亀蔵さんと、森美術館のキュレーターの徳山さんとの連載記事が面白く、わかりやすかったのでオススメです。