【ブラジルファベーラ生活】おおらか過ぎる交通事情とアルコール事情
泥酔高齢者が運転手?!の大型トラック
先日からの近所の泥棒話で思い出す…それは火事場泥棒、と言えるのか分からない珍事。これも別のファベーラ地域でバスを待っている時に目にした光景。
バス停で待つ人たちがざわざわし始めた。何かと思ったら、高速への入口もある複雑な大通りのど真ん中で立ち往生した大型トラックが見える。
バス停にいた一人が通りに出て行きトラックのドアを開けると、ハンドルにうつ伏せになって微動だにしない運転手が見える。
しかし誰一人として救急車も警察も呼ぶ様子は無い。
となりにいたおばちゃんに聞くと、運転手は高齢者でいつもカシャーサ(40度ほどのサトウキビ酒)を飲みながら運転し、道で突然酔いつぶれて停車することで有名らしい。
まず、そんなことを普通に知っているおばちゃんにも驚いた。そして有名ってどういうこと!?高速を登ってしばらく行ったどこそこに住んでいる、という情報までくれた。
これは火事場泥棒?
かなり車体も長く古い型のトラックは道のど真ん中に停車したまま。運転手はハンドルにうつ伏せたままでかれこれ10份以上は経っただろうか。
突如トラックの方へ足早に向かって行く人影。開けられたドアに侵入したかと思うと走り去っていくお兄ちゃんの手には、運転手が車内で飲んでいたカシャーサの瓶。
それを自分の持っていた水のボトルに移し替え、瓶を草むらに投げ捨て去って行った。周りの人たちはそれを見て笑っている。
しかし、野次馬が大勢見守るなかそこまでしてカシャーサが欲しいのもすごい。火事場泥棒とはちょっと違う、これは何なのだろう?
そのあと泥酔高齢者運転の大型トラックは通報されもせず、帰路に着いた…
「ああまたか」でなんでも済む街
酔い潰れるほど飲んだ高齢者がカシャーサ片手に運転する大型トラックが立ち往生しても「ああまたか」で警察すら呼ぶ者も皆無。そして彼は常習犯であることすら許されている?おおらかさ。
こうこうこういう事があってさ、と人に話しても「サルヴァドールの運転手はみんな狂ってるだろ、わっはっは」くらいの反応しか返って来ない。
こういう信じられない光景が日常にゴロゴロ転がっている、危険もあるがテレビ番組なんかを見るよりある意味おもしろい。
というのもあってテレビを売り払っておよそ10年になっても、テレビ要らずのブラジルファベーラ生活。
アルコールに取り憑かれた人たち
しかし、ここまで飲酒運転を繰り返しているのならばいつか交通事故を起こす可能性は高いし、実際もう何度も事故っていてもおかしくない。
それでもまあよくあること、で済まされてしまいそうな気すらするのでシャレにならない。
去年には近所のアル中おっさんシュシューの飲み仲間が酔って大通りにフラッと出たところをバイクに轢かれ、結局翌日亡くなってしまった。
いつも陽気なシュシューもさすがに数日間神妙な面持ちだった。しかし、その後は普通に飲み出して今でも酔っていないのを見ることはない。
これだけおおらかなお国柄(サンパウロやリオなどの都会や経済的にも発展している南部については不明だが)でも泥酔するまで飲まずに居られなくなる、特に年配男性が多いのは何故だろう。
人をダメにする安いカシャーサ?
カシャーサを1リットル作るにはサトウキビを絞った原液がおよそ8リットルは要るらしい。
アル中気味の人たちが買い求めるカシャーサは500mlで100円ほどと非常に安く、大量のサトウキビ原液から蒸留されたものはそんなに安いわけがない。
ヤバい石油系のアルコールからできており、人をダメにするものしか入っていない、と苦い顔をして教えてくれたのはキロンボに数ヶ月滞在していた食品添加物に厳しいさすらいのアルゼンチン人あれはん。
実情はどうであれ、仮に泥酔トラックに自分が轢かれても「ああまたか」で済まされてしまいそうな気がするので、泥酔運転、ダメ、絶対。
2022-11-15 追記 :
カシャーサは恐ろしい、という印象に偏ってしまったため、日本でも飲めるカシャーサ51とブラジルの代表的カクテル、カイピリーニャについて↓