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ケーキの箱を持った人は、幸せを運んでる。
今日、仕事の帰りにケーキの箱を持つ人を見た。
混み合った電車内に、ケーキを守るように水平を保ちながら、抱え込んでいた。
私の近くにいるわけでもないのに、あまりに大切に抱え込んでいたので、他の乗客よりも目立って見えた。
昔からケーキを持って歩いている人を見ると、幸せを分けてもらえた気がしている。
もちろん、自分のケーキでもないし、知らない人だし、好きなケーキかもわからないけど。
どちらかというと、甘いものは苦手な私。
でも、ケーキの箱を見るとワクワクする。
そして、ケーキの箱を持っている人を見ると、勝手に嬉しくなる。
勝手にその人のこれからを考える。
その人は、子供の誕生日でケーキを買っているのかな。
もしかすると、恋人のご機嫌を直してもらうために買ってきたのかもしれない。
はたまた、いいことがあって、自分のご褒美でケーキを買ってるっていうのもいいな。
なんにせよ。
ケーキの箱を持った人は、幸せな時間が待っていることは確かだ。
そんな人を見るだけで、勝手に想像して、楽しんでいるお手軽な私。
だから、ケーキ屋さんの前を通ると買うわけでもないのに、ルンルンしている。
以前、友人との会話の中で、おじさんがケーキを買っているのを見ると
いろんな妄想していると言っていた。
その友人は、どんな人のために買っているのかを考えるのが楽しいと言っていたが、私はそのおじさんが自分の喜びとして、買っていたらいいなって言った。
友人は目をまんまるにして、すぐにキラキラしだした。
それもいい!また、いい視点を得たと言って、はにかんだ。
類は友を呼ぶことを実感した。
自分でも誰のためでも、ケーキを買っている事実を知るだけで心がポカポカするのである。
人のプレゼントを買うのは、楽しくはあるが、周りから見たら、ただの買い物なのかも判断はつかない。
そもそも何を購入しているのかなんて、袋の中から出さない限りわからない。
でも、ケーキの箱はわかりやすい。
なんて分かりやすい。
この人はケーキを買ったのは明白なのだ。
材質はちょっと丈夫な紙で、取っ手がある。
大事なケーキを守るための大切な城壁なのである。
今日、電車の中で見た人も、大事なケーキを守りながら抱えていた。
大切な時間のための、大事なケーキ。
勝手に私が喜んでいるだけで、幸せを感じさせてくれてありがとう。
この人が早く座れることを願って、私は電車から降りた。
もし、私と同じようにケーキの箱を持った人を見たら、嬉しくなる人は私と同じ穴の狢ですので、仲良くしてください。
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