こども食堂にできること
皆さんはこども食堂と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
食べられない子どもが行くところ?
実際、この地域でこども食堂をやって、気になる家庭は色々とありました。
ネットで調べれば、こども食堂を支援するNPOのページには「日本にも3食まんぞくに食べられない子どもがいます。」というキャッチコピーがおどっています。
現場の感覚としてもこれは確かに事実だと感じます。
親が節約のために食事を抜くところからはじまり、朝食を子どもも含め、満足に食べていないような家庭はざらにあるように感じます。
経済的な問題もありますが、親が忙しく疲れきっていて、食事を用意するヒマも気力もないという状況もあるようです。
では、こども食堂はこのような家庭にどのような事ができるのでしょう。
簡単に調理できるレトルト食品などを配るのも、方法のひとつかも知れません。
実際に私たちのこども食堂を含め、多くのこども食堂でAmazonのほしいものリストを作っているのですが、高確率で「パックご飯」がリストに上がっています。
お米ではなく、パックご飯なのです。
一方でこども食堂の取り組みを紹介するネットニュースなどには、自己責任論を唱えるようなコメントが目立ちます。
もちろん、そんな言葉は無視をするのが一番なのですが、ただ食品を配るという活動は対処療法であって、根本的な解決にはなりません。
食事を抜くほど困窮している家庭はただ収入が少ないというだけではなく、複合的な問題を抱えています。
昔から、お父さんがギャンブルにはまって、お金を使ってしまう。
お母さんが買い物依存症で、着る事もない洋服を次々と買ってしまう。
というような家庭はあると思います。
現在では、ネット課金やネットショッピングなどでお金を使う事ができるようになったので、他人からは家庭の生活状況が見えづらくなっています。
そして仕事もリモートワークや在宅勤務が増えました。
自宅に居ながら、バリバリ仕事をしている人と、ネットで浪費をしている人の見分けはつきません。
一見普通に見える家庭が機能不全家族となり、そのしわ寄せが子どもにいくということはよくあります。
こども食堂をやっていると、こどもは正直なので、遊びながらポロリと言った言葉から家庭の状況が見えて、心が痛む瞬間もあります。
ひとり親家庭の子どもに「お母さんが時々、お友達の家に行ってしまう。帰りが遅くて、お母さんと一緒の時間が少なくなって寂しい。」と話をされた事もあります。
あくまで民間のこども食堂が家庭の問題にまで、口出しをするわけにはいきません。
そこで私たちのこども食堂は「食事を提供する」という事に加え、「コミュニティを作る」という事を意識してやっています。
こども食堂は誰でも利用できますが、可能なかぎりオンラインコニュニティーに参加してもらうようにしています。
現代の忙しい親御さん達もオンラインであれば、気軽にコメントできます。
気になる子どもが居たら、ゆるやかに状況を共有し、地域で見守ったり、子育ての悩みを相談しあって、保護者が適度にストレスを発散できる場ができたら、理想だと思っています。
監視ではなく、助け合いの地域ネットワークを作りたいのです。
昔は町内会やPTAが担っていたような地域の結びつきを新しい形にできないかと思ったのです。
もちろん家庭の事情はそれぞれですが、普段からコミュニケーションを取っていれば、なにかあった時に助けあえるでしょう。
「あの子、公園でずっとひとりぼっち。何してるのかな。」
と気になっても、今は不用意に話かけると不審者扱いされます。
「あの子、こども食堂に来ている子だよね。」
となれば、
「今日こども食堂やってるよ。」
と声をかけられます。
そういった地域のつながりを作りたかったのです。
理想としては毎日、こども食堂が開催されていて、夜も必要であれば、そこに居られる場所があればよいのですが、現状ではそこまでできません。
むしろ、こども食堂が無くなっても、地域のつながりで子育て家庭が協力できる状態をつくれたら、と考えています。
地域のコミュニティを作るのには時間がかかりますが、何年かかってもきっと将来の財産になると信じて、今日も活動を続けます。