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銀座のクラブの係制度をご紹介「どうしたら売上になれますか」

前回は銀座の売掛制度(ツケ)についてあれこれ書きました。本当は売掛よりも係制度のことを書く予定だったのですが、係制度を話していく上で売掛がとても大事なのでそちらにも触れ出したら、あっという間に4000字になりテーマを2話に分けて書くことにしました。

今回は「銀座のクラブのホステスはどうやって売上げを上げるのか」「係はどうやって増えるのか」について書いていきたいと思います。
クラブの係制度は特殊です。キャバクラやラウンジから銀座で挑戦しようと転身してきた方が、まず初めにギャップを感じてつまずくところじゃないかなと思います。「思っていたのと違った」というあらかじめのギャップをなくす為に、これから転身しようと考えている方、最近クラブに移籍してどうしたらいいかわからない方にぜひ読んでいただきたいです。

クラブとキャバクラの違い

まずクラブでの売上に触れる前に、システムの違いから説明したいと思います。

クラブ/紹介制  一見さん不可
キャバクラ/ 指名制 一見さん可

クラブ/90分セット料金ののち30分ごとにテーブルチャージ
キャバクラ/時間制 1時間ごとにチャージ

クラブ/現金もしくはカード、そして売掛あり
キャバクラ/現金もしくはカードのみ

クラブ/指名料、同伴料なし 誰が同伴、来店予約をしても係や担当と呼ばれるホステスに売上がつく そのため当然バックはなし
キャバクラ/指名料、同伴料あり 予約、同伴したホステスに売上(バック)がつく 場内指名あり

大小店によって細かい違いがありますが、キャバクラとクラブの違いを大きく言えばこんなところです。以上のことから辞めていく子の理由として「私が同伴してもお客さまの売上がつかない」「アフターしても係が決まっているため次回の売上の見込みがなく全く特にならない」ひいては「頑張った分だけ売上がつくシステムがいい」ということで辞めて行ったホステスはたくさんいます。
これらを責めるつもりはありません。その通りだと思います。

ただ「なぜ今もそんな制度なのか、それじゃあ女の子は辞めてしまうじゃない」と思いますよね。私は働き方でクラブとキャバクラを分けて考え、ホステスはどちらが将来のなりたい自分に合っているのか、初めから目指す方向を決めて働くのがベストだと思います。

係システムってなんですか

新人ホステスがクラブに勤め始めると、まずはヘルプというお仕事から始まります。ヘルプはママや他のホステスが集客したお客様の席について接客することです。
自分の担当するお客様のことを銀座では「係」という言葉で言われます。北新地は「口座」です。お客様は係のホステスを一度決めたり、クラブは会員制なので初めて来店した際の窓口のホステスがいる場合は自動的にその女性が係になり、変えることができません。

そのため度々キャバクラ経験者のホステスや、クラブで遊んだことがないお客様でお気に入りのホステスができたお客様に「どうやったら係を変えられるのか」と聞かれます。また新人ホステスからは「どうしたら係を増やすことができるのか」「ママにはどうやってなるのか」という質問をいただきます。

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係は一度決めたら変えられないのはなぜ

お客様は一度決めた係を変えられないと述べましたが、なぜ変えられないのでしょうか。しかもお連れ様として連れて来られた場合は、自動的に知らないホステスに係が決まってしまいます。

これは私なりの考えなのですが、銀座のクラブは紹介制というところにあると思います。今は接待や仕事で使われる方がかなり減りましたが、以前の銀座は社用族、接待族で成り立っていた街でした。そして昔はクレジットカードがありませんでした。
接待となればお支払いはお席で接待先の方が見ている場面でするわけにはいけません。今でもお手洗いにたたれたお客様がこっそりキャッシャーにお支払いにいらっしゃることがあります。その時に便利なのは請求書払いです。
俗に言う売り掛けなのですが、クラブはサインひとつで信用で飲み行くことができます。毎回数十分かかるチェックをしないでサイン一つで常連さんが帰れるのは、手っ取り早いですよね。

さて、この辺りの売掛制度の詳しい説明は前回のお話になってきます。

前回、売掛=信用と書きました。売掛を払ってくれない方がいると紹介者まで辿って請求する場合もあります。こういったため、クラブでの飲食は信用で成り立っているので係制度がいつまでもあり続けると私は考えています。

極端な話、どこの誰だかわからない一見さんがふらっと入ってきて、1度目のご飲食でツケで帰られたらお店側は困ります。責任の所在をはっきりできるのが係制度であると言えます。

また、係制度は歳を重ねたホステスを守ります。
今でこそキャバクラも30代の方が割といますが、基本キャバクラは若いホステスの主戦場。18歳から20代の方が多く活躍しています。ところがクラブになると少し年齢層が上がり、30歳前後の方が多く働いています。
最近では20代のママも珍しくはありませんが、銀座のママと言えば30〜40代の人が多く、人気店のオーナーママになれば50代前後の方がメインで老舗では70代の方もいらっしゃいます。
ママになれば割と仕事は安定しているのですが、ママは役職ですしお店で2,3人ほどしかいません。バリバリ働いているメインの年齢層は20代後半から30代のホステスです。もともと銀座は社用族が多く、接待で仕事として使ってもらえるよう信頼されるホステスになるまで皆さんとても努力されています。


若い20歳そこそこのホステスにいちいち指名替えをされて売上がその日によってあっちこっち・・・となれば、ベテランホステスやママ職の仕事は成り立ちません。係を持ったホステスは日頃からお中元、お歳暮、お土産の手配といった経費をかけてお付き合いしています。

それに仮にアフターの手配となれば、ある程度ホステスの仕事経験が長くお店で融通が効く立場の女性の方が有利です。新人ホステスのお客様よりもママや売上のあるベテランホステスのお客様にいい女性がヘルプで優先的に采配されるのは仕方ないことです。

その為お客様も係とは別にお気に入りのホステスは置いておくのですが、お客様も公私を分けて銀座にいらっしゃっていますので、店の中で先輩ホステスの顔を潰すような係替えということはしません。

売上ができるホステスに一旦なったから、とあぐらをかくわけではないのですが、銀座の係制度は歳を重ねたホステスの仕事を守るいいシステムだと私は思っています。いい意味で銀座は上が詰まっているので、ある一定のポジションまで行けば仕事は安定していてキャバクラよりは長く働くことができます。

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係(=売上)を増やすには

ではどうやったら係は増えるのか。方法は3つです。
①辞めたホステスの係、もしくはお店の係を引き継ぐ
②自分の係のお客様が連れてきたお客様(よく枝と呼ばれる)にまたお越しいただく。お客様にお客様を紹介してもらう
③お店お辞めて移ってお客様を新しいお店に引っ張る

この3つしかないです。15年仕事してますが、これ以外のパターンは見たことがないです。

それぞれの特徴としてまず①ですが、これが最もポピュラーかと思います。頑張ってヘルプをして、認められて次の係にお客様からご指名いただく方法です。ただしデメリットとしては時間がかかります。
時間というのは、その売上の先輩ホステスやママがいつ辞めるかわからないからです。1年後かもしれないですし、5年後かもしれません。それまでずっと係は移動できません。先輩ホステスの引退もしくは退店のタイミングでしかこれは訪れません。

でもお店に居着いてくださっているお客様なので係を引き継いだ後もまたお越しいただける大チャンスです。その他はお店のお客様(店客と呼ばれる男性スタッフのお客様)の係を貰う場合もあります。あとはオーナーママも係をくれる場合もあります。
ただ中々この辺りのお客様は係をくれません。「俺はオーナーママで飲んでるよ」とプライドを持っているお客様も一定数いらっしゃいます。ホステスはすぐ辞めるしめんどくさいから、一生動かないオーナーママの方が安定していて融通が効くといった点が一番大きいかと思います。

男性スタッフに関しては「ホステスよりも付き合いいいし男飲みが好き」という方もとても多いです。この層はよっぽどじゃないと一ホステスは認めてくれないので係を狙っていっても難しいと感じています。
またこれは考え方によるのですが、ホステスの係で一度でもお越しになったお客様は「ママじゃなくてもいいんだ」ということで、ヘルプの頃の私は当時積極的に営業していました。ママしか係にしないというお客様に認めてもらうよりも、幾分係をもらえるハードルが低いと思ったからです。

そして②ですが、これも非常に大事でお客様の御紹介者様は全て自分のお客様というシステムがクラブなので、とても大事になっていきます。「お連れ様はもうこなさそう」と感じたり、「一人では来ないよ」と会話の中で聞いたとしても、一旦は連絡先を必ず聞かないといけません。
翌日お礼のご連絡をするというのも大事ですが、クラブは紹介でしか広がらないのでこの辺り枝の方にも営業することが大切になってきます。ここでマメにできるかどうかが売上のホステスになれるかどうかの分かれ道で、後々必ず生きてきます。かなり重要です。

そして③ですが、1年以上在籍したらどんどん移籍して組数を増やしてナンバーワンになるタイプ。このタイプはまぁ、滅多に成功しません。
というのも、個人的な分析なのですが例えば10組のお客様と連絡先をやりとりしていて、同伴もしているしアフターもしたり仲良くさせていただいているとしましょう。次に移ったら全員来てくれそうなものですが、実際来てくださるのは6割〜7割、6,7人という感じです。
それは先ほども書きましたが、クラブは係制度。お気に入りのホステスと担当にしたい(極論仕事で使いたい)ホステスは違います。するとお店を移っても着いてきてはくださいません。

度々私も辞めたホステスと仲良くしてくださっていたお客様から聞くのですが「Blairで働いていたから応援していた」というお客様が必ずいます。こういう方は銀座でたまに犬か猫で例えられるのですが、猫のタイプでお店に居着くタイプのお客様です。ホステス(人)についていく犬のタイプのお客様と、猫のタイプのお客様がいらっしゃるので必ずしも連絡をとっている方がついてきて下さるわけではありません。


そしてそのきてくださった6,7人のうち、必ず「ご祝儀で一回だけはきたよ」という方もいます。これだけでもありがたいのですが、コアな自分のファンじゃなくそういう「粋なお客さま」という枠です。

そして他にも「行ってみたけどお店の雰囲気が気に入らない、落ち着かない」という方も必ずいます。前のお店で係をしていたにも関わらず、「前のお店の雰囲気が自分にはあっていた」ということで足が遠のいて来て下さらなくなった方もいました。こればかりは万人に合う箱はないので、仕方ないと思っています。

以上のことから移籍したけどきてくださったお客様は1割減って大体5割で落ち着いたとしましょう。次に1年後ステップアップを目指して連絡先が10組増えたので、また新しいお店に移籍しようとします。すると同じ現象が起きます。
2店舗目で期待している10組のうち5割の5組と、1軒目からの5人のお客様の6割(3店舗目が雰囲気合わないなど来なくなる方もいるので)の3人ほどが着いて来てくださって、合計8組しかきてくださいませんでした。
移籍の際はヘルプと連絡を取っているので、確率でいうと移籍の際に来てくださってもお店に残るお客様も必ず一定数いらっしゃいます。ホステスとして相当な実力や魅了がないと、移籍を繰り返したって労力の割に思ったよりも増えません。倍々に増えていくものではないからです。

また、既存のお店の係に不満がある方や関係性が希薄なお客様の中には「お店を移ったら君を係にしてあげるよ」と必ず言ってくる方がいます。そういう人が一番危ないです。でも移ったところでその方が責任とって数字作ってくださるなんて限りません。まぁ、どこまでいっても飲みの席の会話ですからね。
自己責任、自分で見極めて売上はなんとかするしかないのが現状です。

まとめ

ということで今回は売上を上げるにはどうしたらいいか、係制度に触れながらお話ししました。一軒のお店で長く働いて、居着いてくださっているお客様を引きつぐのが一番堅実です。そのため自然と売上の女性はキャバクラよりは年齢が高くなる傾向があります。

キャバクラは短期でしっかり稼ぎたい方、クラブは中長期で見て長く稼ぎたい方に適しているとい言えますね。しかも売れっ子ママは30歳前後で月に1千万以上稼ぐ方もいます。
クラブだと40歳でも50歳でも働けるので毎月1千万、30歳から20年間稼ぐとしたら、息が長い仕事だと思いますし夢がありますね〜。まぁ、そこに到達するまでが努力とご縁の仕事なので簡単ではないのですが。
人と人との繋がりが濃いのもクラブの良さ。最近ではもし結婚出産というライフスタイルの変化があっても、ありがたいことにある程度の年齢のホステスに関してはお客様も理解がある方が多いので、長く働きたい方はクラブを目指してみる価値はありますね。

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