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【最北日記×天塩町】その2「天塩川ってどんな川?」

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皆さまこんにちは。
天塩町公認インフルエンサーの『しろまる最北日記』です。

天塩町のあれこれをご紹介していくこのシリーズ。———前回は天塩町の立地やアクセスについて解説させていただきました。

第2回目となる今回は、天塩を語るうえで欠かすことができない「天塩川」についてお話ししていきたいと思います。

🚣‍♂️

天塩川とは?

突然ですが、問題です。
日本で一番長い川は何川かご存知ですか?

正解は信濃しなの川です。

信濃川は埼玉・山梨・長野の県境にある甲武信ヶ岳こぶしがたけを源流として、新潟市の中心部から日本海へと注ぐ全長367kmの河川です。

日本海に注ぐ日本一の信濃川(新潟市 朱鷺ときメッセ展望台より)

次いで2番目に長いのが関東平野を流れる利根とね川。
3番目に長いのは北海道の石狩いしかり平野を流れる石狩川です。
ここまでの御三家なら知っている人も多いでしょう。

では、4番目に長い川は?

と聞かれると、
なかなか思い浮かばないのではないでしょうか。

記事の流れから察していただけると思いますが、
そうなんです。

日本で4番目に長い川……それこそが天塩川なのです。

(私も稚内に移住してから知りました)

天塩の市街地の目の前から日本海へと注がれる天塩川の全長は256kmあり、士別しべつ市と滝上たきのうえ町の境にある天塩岳を水源としています。川の名前はアイヌ語の「テッシ-オ-ペッ(やなの多い川)」が由来です。

天塩川は北海道の北西部を緩やかな流れで北上し、河口部が海岸線の直前で浜堤に沿って10kmほど南進する特徴的な地形をしています。川の流域は全12市町村におよびます。

ちなみに256kmという長さを東海道本線に当てはめると、東京から浜松程度の距離になります。長い。

天塩川の流域ってどんなところ?

天塩川の流域がどんな場所なのか、ざっくりと河口から遡ってみましょう。川が長すぎるため天塩のコラボ記事なのに内容が天塩町を飛び出してしまいますが、一旦ごめんなさい:;(∩´﹏`∩);:

では、出発!

天塩川の河口は天塩市街地の目の前にあります。

プロローグ回でも紹介していますので詳細は割愛しますが、河口近くの河川敷には「天塩川河川公園」という芝生緑地があり、ゆったりと流れる天塩川のクライマックスと海岸線に沿って伸びる長い浜堤を見ることができます。天塩町を訪れた際はぜひここへ!

河口から5kmほど遡ると、オロロンラインの道道106号線が通る「天塩河口大橋」が架かっています。

橋の付近では秋になると鮭の捕獲場が設置されます。
川面の向こうに対岸の幌延町にある風車群と利尻富士を見ることができます。

・ ・ ・

国道232号線がかつて国鉄羽幌線と交差していた跨線橋付近にある水辺には、国の河川事務所によって設置された野鳥を観察できるスポットがあります。

木々の奥に見える穴のあいた壁が観察ポイントです。
木の枝の間には巣箱も設置されていますよ👀
野鳥を刺激しないようにするために壁の穴からそっと水辺を覗きます。
白鳥やツル、ワシなどに出会えるかも……?

天塩川の流域には、このように水をたたえたままの三日月湖が多く残っています。野生生物の生息地および渡り鳥の餌場となっているほか、釣りや野鳥観察などのレジャースポットとして活用もされています。

観察スポット▼

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天塩町のお隣の中川町は、化石で有名な内陸の町です。

道の駅でクビナガリュウがお出迎え!

中川町佐久さくにある「中川町エコミュージアムセンター」では、クビナガリュウやアンモナイトなどの化石に加えて天塩川の自然や町の歴史に関する展示を行なっています。

廃校を利用して作られたエコミュージアムセンター(入館200円)

中川町と音威子府おといねっぷ村の間は川の両岸に山が迫り、国道40号線と宗谷本線と一緒に三者が寄り添いながら山中をくねくねと蛇行します。

この辺りは宗谷本線の中でも屈指の絶景区間で車窓から川面がよく見えます。夏は川下りや釣りを楽しむ人々、冬は一面氷結した白銀の世界を楽しめます。

列車の窓から見える冬の天塩川。
春先に水面の氷が割れる「大解氷」は圧巻です。

また音威子府村の筬島おさしま地区の河川敷には、幕末の探検家 松浦武四郎まつうらたけしろうが北海道という地名の原点である「北加伊道」と発想するに至ったとされる所縁の場所、「北海道命名の地」があります!

目立ちにくいですが、国道40号線の路肩に「北海道命名の地」を示す看板が立っています。
ここが北海道の原点!
解説です。

要約すると、
アイヌの人々は自らの土地を「カイ」を呼んでいたことから、

北 にある
加伊カイ(海) の
道 (五畿七道の名残り)

と名付けられたそうです。※諸説あり

・ ・ ・

お次の美深びふか町にある公園「びふかアイランド」も天塩川の三日月湖畔を利用した公園です。温泉、キャンプ、パークゴルフ、カヌーボートなどが楽しめるほか、敷地内にある「チョウザメ館」で希少なチョウザメを見ることができます!

敷地内にある「チョウザメ館」(入場無料)
鼻の下に伸びるひげが可愛めんこいチョウザメさん。明治時代の頃は天塩川にも生息していたのだとか。
美深まではチョウザメの養殖に力を入れており、管理施設を見学できます。

そのまま天塩川の流れを遡り続けると、流域の中でも比較的規模が大きな町である名寄なよろ士別しべつの市街地郊外をかすめてから岩尾内湖に至ります。

内陸の名寄市は天塩川流域最大の都市で、2人口は約24,798人(2024年11月)です。
天塩川の最上流エリアにある岩尾内湖。源流はさらに50kmほど上流に位置する北見山地の天塩岳付近となります。

岩尾内湖ここから天塩町にある河口までは約200km。これだけの距離を移動しても同じ都道府県内なのですから、北海道がいかに大きいかを改めて実感します。

しかも道内には、天塩川より長い全国3位の石狩川もありますからねΣ( ̄。 ̄ノ)ノ

天塩川の特徴

【かつては物流の要だった】

1926年に今のルートで宗谷本線てつどうが開通するまでの間、天塩川は道北の内陸地域に生活物資を届け、木材を運搬する重要な交通・物流の場でした。

流域に分布するアカエゾマツ(テシオマツ)は寒冷地ならではの木目が詰まった良質な天然資源であり、明治時代より「天塩材」として名を馳せます。一時の天塩材は水産物よりも出荷輸出量が多く、最盛期の天塩では木材を運ぶために天塩川の河口に百隻以上の帆船が停泊し、沖合で大型の貨物船が待機する物流の一大拠点であったといいます。スゴイ

天塩材は高級楽器の材料として、ヴァイオリンの表板やピアノ響板にも使用されていたそうです♪

【川下りの聖地】

物流の役割を鉄道と道路に譲った現在の天塩川は、河口から157km地点の名寄市風連ふうれんまでダムや堰堤などの横断工作物が存在しない川下りの聖地として親しまれています。

1992年に始まり、2025年ことし第32回が開催されるツーリング・カヌー大会「ダウン・ザ・テッシ-オ-ペッ」は、国内最長の川下り大会として、毎年道内外からたくさんのカヌー愛好者たちが集まります。

【野生動物の宝庫】

天塩川は全国4位の長さを誇りますが、その流域人口は8万人台で全国に109ある一級河川の中で79位と下から数えたほうが早いです。これは裏を返せばそれだけ自然豊かな場所を流れている証拠でもあり、様々な野生の生物たちに出会うことができます。

天塩町でも、

天然記念物 兼 絶滅危惧種の
「オオワシ・オジロワシ」

釣り人憧れの国内最大の淡水魚
「イトウ」

などの希少な生物たちに出会うことができます。

自然と動物が好きな人にはたまらない環境ですね。

幻の魚「イトウ」。漢字は「さかなへん」に「鬼」でイトウだそうです。イカつい。

めちゃくちゃ話が脱線しますが、青森県の鯵ヶ沢あじがさわという所では養殖の幻の魚イトウを食べることができます。

鯵ヶ沢町 汐風ドライブインにて

食べてみたくなった食いしん坊さんは行ってみてね(っ'-')╮=͟͟͞͞ 🐟

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———これらの天塩町と天塩川にまつわる内容は、天塩市街地にある「天塩川歴史資料館」で学ぶことができます。かつて天塩材を運搬するために天塩川を行き来した「長門船」を1/2スケールで再現した展示もあり、近代化産業遺産に指定されています。

入場料は200円。
4月下旬から10月末までの営業です。

高速バスの乗り場のすぐ近くにあります。
天塩川に興味が湧いた人はぜひ訪れてみてください。

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最北日記×天塩町 その2「天塩川ってどんな川?」はいかがだったでしょうか。

陰ながら国内4位という長さをもつ道北一の河川は、天塩と内陸地域の発展に大きく貢献したかつての物流の要です。現在は川下りや釣りなどのレジャーを楽しめる場所へと変化し、横断工作物のない自然豊かな流れが私たちに希少な野生動物たちとの出会いをもたらしてくれます。

今回は天塩町の範囲外の話題ばかりになってしまいましたが、次回は天塩の夕日について解説をする予定です。

(つづく)

天塩編 ②

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参考資料など▼

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