宋詞のこと
天涯客に限らず、中華ドラマ、小説等に引用される古典籍のうち、相当数を宋詞が占めています。この宋詞というもの、日本人には馴染みが薄いのですが、中国の方々にとっては馴染み深いもので、学校教育のなかでも沢山学ぶそうです。
この宋詞と称されるものは宋の時代に隆盛した韻文形式であることから宋詞と呼ばれているもので、実際には宋の時代以外にもたくさん作られています。これは先に曲があり、その曲に合わせて詞をつけたものです(ただし、曲の方は失われています)。そのため曲に詞を填めて作る詞ということで「填詞」とも言います。曲つきの詩文という点においては、楽府の流れを汲んでいると言えるのかもしれません。
宋詞は形式の種類が多く、字数も十六字のもから百字を超えるものまで様々あります。宋詞の場合、タイトルのように示されているのは詞の題ではなく曲のタイトルであり、これを詞牌と言います。この詞牌の内容は必ずしも詞の主題とは一致していないため、主題に合わせた題が別に付けられている場合があり、これは詞牌の後ろに書かれていることが多いです。
天涯客や山河令の中で言うと、柳千巧が大事にしている詞『生査子』は詞牌であり、これには独自の題は付けられていません。
また、宋詞は当初宴席などで曲に合わせて歌われることが多かったと見られ、それゆえ内容は唐詩などと比べて俗なものが多く、恋愛の詞も多いと言えます。ドラマ等への引用が多いのもこの辺りが理由として大きいのでしょう。
以下のサイトで簡潔に纏めてくださっているので、宜しければそちらをご覧ください。
https://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/sub6.htm
もっと詳しくお知りになりたい方は、参考文献に挙げている村上哲見氏の『宋詞の世界:中国近世の抒情歌曲』がお勧めです。