見出し画像

「帰ってきたドラえもん」では泣けなかった、あの頃

人によるとは思うけど、7、8歳くらいでは、まだ「さようならドラえもん」「帰ってきたドラえもん」は感動する話ということに気付いていません。

でも、違う理由で気に入っていて何度も読んでいました。

子供の頃、面白い話として好きだったのに、ある程度成長すると感動することに気付くエピソードは多いです。

ここでは子供の頃、感動はしないけど好きだったポイントを書いてみます。

「大人は感動する話」を、子供はこういう視点で見ているという参考になればいいかなと。

ただ後述しますが「おばあちゃんの思い出」は私にとって例外です。

さようなら、ドラえもん

単純に、「のび太が頑張ってジャイアンに勝つ話」として好きでした。

ストーリー全体にある哀愁をまだ感じ取れず、夜の雰囲気が怖いけど何か好き。

子供からすると真夜中に外に出かけるのは、いけないことをしている感じがするけど誰もいない町でこっそり行動するのには少し憧れもあって。

ボロボロになっていくのび太が怖くて可哀想で……。

よく出てくる、のび太がジャイアンにボロボロにされた姿は結構怖かった。

ドラえもんが泣いている理由が、あの頃はわかっていなかったと思います。

先に7巻を買ってもらっていたので、ドラえもんとはこれでお別れではないことを知っていた、というのもあるかも。

今はあの場面で私も泣きます。哀愁も感じるようになりました。

そして最後のページで机の引き出しがタイムマシンの出入り口ではなくなっていることに、今気付く……。

子供のとき気付いてなかったんだ、これ……。

帰ってきたドラえもん

「やられっぱなしだったのび太がやり返す話」として好き。

6巻より先にこっちを読んだので何故「帰ってきたドラえもん」なのか、ドラえもんがいないことになっているのかわからなかった。

ドラえもんの形の箱、いいなあ、欲しいなあ。

箱の中にピッタリと入っているウソ800と説明書のビジュアルに惹かれる。

開けたときにビンが飛び出してくる扉絵もお気に入り。

言った嘘が本当になる過程が失敗しないところ、のび太が余裕でやり返すところが爽快。ここがこの話の中で一番好きだったポイント。

その後の流れのために余計なトラブルが起こらない展開になっていることに、今となっては気付きます。

「いい話だなあ」でも、泣きはしなかったです。

のび太の結婚前夜

幼い頃、TVアニメで見てうっすら記憶にあって、その後25巻を買ってもらって「ああ、この話知ってる!!」

ひみつ道具「正直電波」の形状がすごく好み。

アニメ版での電波が放出される場面の印象が強くて、それもあってこの道具が気に入ってるのかも。

のび太が大声を出して、しずかちゃんのパパが「部屋の中が騒がしい」の場面がすごく面白くて、声出してるからもっと驚けよ!変に思えよ!と、心の中でツッコんでいました。

大人になったしずかちゃんと、しずかちゃんの成長過程が描かれているのが好き。

この頃はまだ、しずかちゃんのパパの言葉の意味はわかっていません。

今はあのパパの言葉は全部沁みる……。

そして藤子・F・不二雄先生の娘さんに対する思いを感じます。

ぞうとおじさん

個人的に一番泣ける話はこれです。

「日本は戦争をしていた」ことを子供の頃にドラえもんで初めて認識した人も多いかもしれない。アニメではあまり描かれないので原作読む人限定の認識かもしれないです。

「疎開」という言葉はすでに3巻の「白ゆりのような女の子」で知っていましたが、ここでも出てきます。

ただこれ、小学校一年生の時に私の学校に劇団がやってきて演じた「ぞうのトンキー」、その後「小学一年生」か「小学二年生」に「かわいそうなぞう」の漫画が載っていて、それらに似ている!!というのが第一印象でした。

これらの話と「注射器の針が通らない」「毒入りのジャガイモを食べさせようとしても食べない」くだりが共通していて「あ、知ってる!」

ドラえもんとのび太が怒った顔をしてジャガイモをあげているコマが凄く面白かった。

「人間は死にかけたとき生まれてからのできごとを思い出す」

走馬灯のことですが、ここで初めて知って、

??人間って、そうなの??と思った記憶があります。

当時小学校二年生ぐらいで見たあのラストのコマに、読む度になんだかゾワゾワするような、寒気がするような感覚になって、「この感覚、何だろう?」それを「鳥肌が立つ」と呼ぶことを、もう少し成長してから知ります。

この、ゾワゾワする感覚になるのが好きで気に入っていた話です。

たぶん、この話には涙してはいないけど「感動」していたんだと思います。

大人になってから読むと、感動するけど「ゾウもだけど、人も助けた方が良かったのでは…」と、余計なことを考えてしまいますw

おばあちゃんの思い出

これは私自信の生い立ちが大きく関係しますが、私はのび太のおばあちゃんにまつわる話にはどうしても感動できない、共感できないんです。

父方の祖母と同居していて、私と弟に理不尽な罵詈雑言を大声で浴びせかけて、泣きわめく私達を見て嬉しそうに高笑いするような祖母で、母も何度も泣かされていました。

祖母を避けるために何度も引越しをしましたが、それがきっかけで学校から帰ると私一人で、ドラえもん読み放題な環境になったのは結果として良かったのかどうなのか……。

「こんなにいいおばあちゃん、いるわけがない」

読むときにどうしても、こんな引っかかりがあって泣くことが出来ません。昔も今も。

母方の祖母は優しかったのですが、それでも嫌な思い出の方が勝ってしまいます。

それぞれの育った環境によって感じ方が違ってくることを痛感させられるケースです。

母方のおじいちゃんっ子だったので、同じ内容で登場人物がおじいちゃんだったら大泣きしていたかも。

暗くなるので私の生い立ちを詳しく書くのはドラえもん関連が一通り終わってから……。

こういう家庭事情の話もするのでSNSは匿名でやろうと決めていました。


こうやって思い出して書いてみると人によって生い立ちも関係することに気付きました。

世間一般では良い話でも、自分だけ共感できない部分も当然あるだろうな、と。

一つの作品をモデルケースにして、個人的にこれはトラウマでダメ、共感できない、そういった体験や感想も収集すれば、これはこれで何かのデータとして使えるかも……?と、想像します。


ここまで書いておいて、実は私が鉄板で泣いてしまうのは「夢をかなえてドラえもん」を聞いたとき、特に二番、というのは内緒。