思い出はチェーン店の近く

思い出はチェーン店のそばにある。ほかの人はわからないけど私はそう。

小学4年生のとき、はじめて大人なしで、子どもだけで外食をした。スーパーに入ってるスガキヤだった。
そのあと今と比べると画質が最悪なプリクラも撮って、ちょっと悪いことしてる気分で楽しかった。

中学生のとき、たまにお母さんがお弁当を休憩する日、
ローソンでおにぎりと甘いパンをひとつずつ買って
両方楽しむのがお気に入りだった。
ちょっと奮発してミルクティーを買う日もあった。

高校生のころ、ミスドの100円セールがまだあって、
フォークソング部のみんなでよく寄った。
飲みものはみんな、水一択だった。

当時の彼氏はよく食べるのにお腹が弱くて
やよい軒のステーキ定食やなか卯の牛丼を食べてはブルーになって、そのたび励まさないといけなかった。

テスト前は決まって、友だちと近所のマクドナルドに集合した。
早朝5時からの、アホマック(当時名づけた)もした。

親友とパフェを食べにびっくりドンキーに行くのに、
結局匂いにつられていつもハンバーグディッシュを食べた。

専門学校の時の彼氏はその日実家の車で学校に迎えにきてくれて
途中でくら寿司を食べた。まだ夕方だった。
彼はSNSに熱心なほうじゃなかったけど、わたしの写真を撮るのが好きだった。

そのときの彼氏はわたしに元気がないときいつも
ファミリーマートでお菓子やアイスを買ってくれた。
そのたびに本当にうれしかった。

カラオケのバイト前にポイフルをくれたり
バイト終わりに駅前のフェンスにもたれて一緒にピノを食べたり、
ちょっとがんばらないといけないアパレルのバイトの日は
百貨店で買ったケーキをお店に届けてくれたりした。

わたしはこの間まで、梅田から一駅のオフィス街で仕事していた。
仕事の日のランチは、チェーン店に行かなかった。
というよりチェーン店がない。

スパイスカレーや前菜の豪華なパスタ、顎のはずれそうなハンバーガー、どこも気合の入った個性的なお店が多くて、ちょっと高いけど毎日いろんなものが食べられて楽しい。

でも眠くなった午後は、
事務所にコーヒー豆もあるし、近くにロースターもあるのに、
セブンイレブンでコーヒーを買った。

会社を辞めたところだけど、超明るくてレジ打ちの速い店員さんがカップを渡してくれて、ホットコーヒーのボタンを押してボーッとするこの数秒のことを、そのうち懐かしく思う気がしている。


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