Aduibleでたまたま出会った1冊をお供に、未来から過去を眺めて
はじめに
みなさんこんにちは。asukaです。本日は、私がAudibleでたまたま出会った本から、過去を振り返って得た教訓についてつらつらと書き記していこうと思います。半年ほど前のことですが、私は初めてAudibleに登録をしてみました。Amazonのサービスで、書籍内容を音声で聞くことができるものです。
それまでの私は、
読書といえば目で追うもの!最高のインプット効率!
とばかり考えていたのですが、このサービスを見た時に
自炊中や洗濯中、筋トレ中などに、耳だけが空いているタイミングを
活かす形で読書をするのも悪くないな
と考えるようになりました。初月は無料ということもあって、お試し感覚でサービスを使ってみることにしたのです(完全にマーケティングに嵌められてますね・・・)。そしてその初月無料の対象となっていたのが、岩田松雄さんの書かれた『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』でした。
書籍の概要
著者の岩田さんは、日産自動車からキャリアをスタートし、米国留学を経てコカコーラの役員やスターバックス、アトラスのCEOを歴任された方で、まさにビジネスパーソンの羨望の対象となるような方です。だからこそ、この書籍の至るところに記されていた、「低姿勢なリーダーシップ」にはイメージとの乖離を感じずにはいられませんでした。簡単にまとめますと、岩田さんの次のような言動・考え方はとても新鮮でした。
飲み会などの仕事以外の場では、上下関係を嫌い、誰に対しても対等な人間として向き合う
売上と顧客への価値が発生している現場を何より大切にし、忙しい中でも足繁く通い、現場の人とのコミュニケーションをとる
「どこにでもいるような普通のおじさん」を自認しているように、岩田さんは大企業のCEOに似つかわしくないほど低姿勢で、部下と同じ視点に立って仕事を進めていました。確かにそのような上司なら、部下を理解し、しっかり評価してくれそうですから、まさに「ついていきたい」という感情を引き起こすのだろうと納得しました。
振り返ったこと
この本を読み終わり、真っ先に考えたのは、
もっと早く読んでいたら、あの時の言動や結果も
変わっていたかもしれないな
というものでした。あの時、というのは私がスタディサプリの専属大学生コーチとして、高校生5名の勉強コーチングをしていた時です。スタディサプリはかなり有名ですのでご存知の方も多いかと思います。そのサービスの一環として、高校生の勉強全般(勉強内容、勉強計画、モチベーション管理など)の活動に伴走する大学生コーチングサービスというものがあります。私はそのサービスでコーチを初めて経験することになりました。
5人のうち、2人は比較的意欲が高く、自走することができている状態でした。ですので私からのフォローアップもそれほど必要なく、安心してみていることができました。しかし残りの3人については、受験までの期間に余裕があるからか、自発的に勉強をすることができませんでした。もちろんこれは本人たちの意思の問題でもありますが、同時に私の彼らに対する向き合い方の問題でもあったな、と今になって感じます。コーチとして彼らに向き合い、彼らの勉強に「伴走する」という役割を十分にこなすことができなかったな、その3人には申し訳ないことをしたな、と感じます。
岩田さんの書籍の文脈に沿って整理すると、私の寄り添い方には次のような問題点がありました。
高校生と大学生という「上下関係」を維持してしまった
高校生からしたら、受験で結果を出した大学生は遠い存在です。自分のロールモデルの一人として、丁重に扱ってくれます。アドバイスした際には何一つ反論せずに、「そうなのですね、勉強になります。ありがとうございます。」と言ってくれます。そのような扱いをされることについては、私も悪い気はしませんから、その環境に甘えて「上下関係」を壊すことができませんでした。
毎週上がってくる結果報告だけをみて良し悪しを判断していた
週次で勉強の進捗・結果を共有してもらっていましたが、その背景にある「実際の現場(勉強している時間)」で何が起きているのか、何が課題なのかを深掘りできなかったということが問題だったと感じています。会社で例えるなら、B/SやP/Lの報告数値だけで事業部の実態を決めつけ、現場のどこで余分なコストが発生し、どこで利益を逸失しているのかを把握しない、といったところでしょうか。定量的なものだけでなく、定性的なものまで包括的に理解するということができていませんでした。
もし当時、この書籍を読み、次のように動くことができれば、生徒さんの勉強意欲を喚起し、目標達成に近づくことができたのでは、と思います。
高校生と大学生という「上下関係」を維持してしまった
→1人の対等な人間であることをしっかり示す。高校時代の話や失敗談などをオープンに話し、身近な存在であることを意識してもらう。信頼関係を構築し、「少し年齢が上の、なんでも話せる友人」ポジションを築く
毎週上がってくる結果報告だけをみて良し悪しを判断していた
→勉強中にどのようなことを課題に感じているのか、といったことを深掘りし、結果に反映されていなかった過程もしっかり理解しようとする。「目標としていた勉強時間は達成できたが、集中してる時間は半分ほどだった→集中が続くような時間配分・科目選択のアドバイスをする」といった、結果だけに固執せず、過程からも課題を発見し、処方箋を迅速に出す。そのような姿勢で信頼を勝ち取っていく
メディアや伝記に登場するようなリーダーは、「とにかくトップダウンで引っ張る」強いタイプが多いので、潜在的にリーダーかくあるべし、と思い込んでいた節がありました。だからこそ、岩田さんのように「周りと視点を合わせる」「現場をしっかり見る」ようなボトムアップ型のリーダーシップは非常に新鮮で、同時にとても魅力的であると思いました。
もちろん、常に「完全ボトムアップ型」が常に最適であるわけではないことには注意が必要だと思います。例えば企業が赤字続きで、キャッシュがショートしそうな有事では、リーダーはトップダウンで迅速に物事に取り組む必要があるでしょう。ボトムアップ型とトップダウン型をうまくブレンドさせることが重要だと感じました。
どう活かしたか
最後に簡単に、私がこの経験をどう活かしたか、についてお話しできればと思います。私は長期インターンをしています。以前取り組んだプロジェクトにて、私はインターン生のリーダーを務めました。その際、プロジェクトの遅延が生じました。その時、真っ先に浮かんだのは
「岩田さんならどうアプローチするだろうか」
ということでした。そして、私は直感的にこのように感じました。
まずは現場を見て、問題をしっかり把握するだろう。
現場の人間と同じ目線に立ち、問題の根っこを見るだろう
別に企業の命運がかかっているわけではありません(そのようなことはまずインターンに任されません笑)。少しばかり時間がかかっても、遠回りになっても問題ないだろう、そう判断しました。ですので私は早速「現場」に赴き、インターン生が感じている課題を聞いてみました。すると、
インターン生同士の稼働時間帯にばらつきがあり、
進捗共有や結果共有がうまくできない
という課題を見つけることができました。これを解決すればプロジェクトはしっかり進む。そう確信を持つことができましたので、私は進捗や工程の可視化を可能にするガントチャートをNotionで作成し、それをプロジェクトの起点にすることにしたのです。まさにボトムアップ的な構想から生まれたこの施策によりプロジェクトは上手く回りだし、最終的に約2,000万円の売上増加に貢献できました。トップダウン的に、「とにかく時間を捻出して頑張れ」では決してチームのシステムに根本的な問題があることに気づけなかったでしょう。書籍の内容を生かして上手くいった事例として、とても印象に残っています。
日も短くなり、冷たい風が喉をさすこの頃は、少し感傷的になることがあります。そんな時にふと過去を思い出し、書き記しました。ご覧くださり、ありがとうございました。またお会いしましょう!