LINE APIを用いて、英会話フレーズのメモアプリを作ってみました。
はじめに
みなさんこんにちは。asukaです。
今回は自作の「英語表現メモアプリ」をご紹介しようと思います。
アプリとは言っても、App Storeなどで入手できるような高度なものでは決してなく、LINE Botのような形で気軽に作れるものです。LINEさんの技術力に感謝です。
なぜ作ろうと思ったのか?
まずなぜこれを作成しようとしたのか、その目的について紹介させてください。ずばり、「自分の使えるフレーズの引き出しを増やし、コミュニケーションの質を高め、会話を楽しみたい!」というのが今回のアプリを作成したきっかけになります。
現在私は大学生で、英語学習に力を入れようと頑張っています。特に「スピーキング」を伸ばしたいと強く思ってます。
確かにこれまでにTOIECを勉強し、905点を獲得することはできました。しかし、このテストはあくまで「リーディング」と「リスニング」の力を測るものであり、どうしてもスピーキングやライティングを鍛えることができません。ですからTOEICの勉強をした後でも、実際に外国人の方を喋る際には、「これを言いたいのに伝え方がわからない!」という悔しさを毎回感じていました。今も英会話アプリなどで学習をしていますが、「自分の使えるフレーズが増えていっている感覚がない」という課題を抱えました。英会話アプリなどはストーリー性がある会話が展開される仕様が多く、ストーリーをどんどん進めたいというせっかちな自分にとっては、「わざわざ前のストーリーに戻りたくない」という思いがあり、復習ができていない状態でした。しかも、私は英会話アプリのだけで学習をしているわけではありません。Kindle Unlimitedを利用して英会話フレーズの本でも勉強しますし、外国人の友達との会話の中でも勉強をします。つまり「複数のチャネルから仕入れたインプットを、一つの箱にまとめておき、適切なタイミングで復習したい」という欲張りな願いを叶えたくなったのです。さらに、「できるだけ気軽に、わざわざ自分から勉強机に向かわなくてもいつでも復習できる」仕組みを作ることこそが、語学学習では大事だと考えてるようになり、どうすればこれらの欲張りな願いを叶えることができるのか色々思案しました。その結果、LINEアプリを作成することになったというわけです。
何を作ったのか?(機能)
次に機能の紹介をしてきます。とはいえかなりミニマルな形なので、以下のような3つだけです。
覚えたいフレーズを辞書(という名のスプレッドシート)に登録する機能
登録したフレーズを隙間時間に学習できる復習機能(自発的な復習用)
特定の時間帯にフレーズを送信してくれるリマインド機能(受動的な復習用・復習の仕組み化)
順に画像を交えながら解説していきます。
まずは1の機能から。
英会話アプリや書籍で学習をしていたり、友達と会話していたりする中で、「会話に使えそう!」というフレーズを発見することが学習の第一歩。そんな表現を見つけたら、すかさずLINEを開きます。今回は「英語学習データベース」というアプリを作成しましたので、そちらのトーク画面に遷移します。
遷移すると、下には二つのリッチメニュー(公式LINEで見かける、タップするとアクションが発生するあれです)が用意されています。今回は左の「Register」を選択します。
タップすると、自動的に「登録」というメッセージが発信されます。その後、アプリの方から、「英語を入力してください」というメッセージが届きます。指示に従い、登録したいフレーズを英語で入力します。今後は「続いて和訳を入力してください」というメッセージが届くので、それに従いフレーズの和訳を登録します。最後に「登録が完了しました」というメッセージが届けば登録成功です!
続いて2の機能の紹介です。ここからがこのアプリの本質です!1の工程を繰り返すことで、データベースにどんどんとフレーズが蓄積されていきます。それらをLINE上で呼び出し、定期的に復習できるように仕組み化したのがこちらの機能です。具体的な復習のやり方を説明していきます。まず、電車を待つ時間や料理の空き時間など、「復習したい!」という気持ちになったら、こちらもやはりアプリのトークルームに移動します。そして今度はリッチメニューの左側の、「Study」を選択します(自動的に「学習」というメッセージが発信されます)。
そうしますと、アプリの方から、登録されているフレーズの中からランダムに一問を出題してくれます。今回は「〜に共感する」という日本語を英語のフレーズに置き換える問題ですね。頭の中で思い出し、それを実際に口に出します。答えを確認したいときには、先ほど送信されたフレーズをタップするだけ。タップするとアプリの方が自動的にフレーズを返してくれます。以上のように、「Study」をタップするだけで、半永久的に復習を行うことが可能になるわけです!
最後に3の機能を紹介します。実はこれが私が一番実装したかった機能であり、このアプリの最大の強みであると自負しています(理由は機能紹介の後で述べます)。
こちらは、2の復習機能を全自動化してくれる機能です。あらかじめ設定した復習期間毎に、メッセージとしてフレーズの復習問題を送信してくれます。
2との違いは自分で「Study」を押して復習するか、勝手にLINEアプリの方が復習問題を出題するか、というものだけですので、その後の復習の方法は2と全く変わりません。それではなぜ私がこの機能を実装したかったのか。その理由は、
やる気がなくても自動的に復習できる仕組みを構築したかったから
LINEというプラットフォームで完結させることで、学習のハードルを下げたかったから
この2点に集約されます。
まず1点目の、「やる気がなくても自動的に復習できる仕組みを構築したかったから」について。これは多少ズボラな性格が垣間見えるような理由ですが、自動的に復習ができる仕組み作りは学習の上で非常に重要に感じるのです。「勉強を頑張ろう!」と意気込んでみたものの、数日経つのその威勢は何処へ・・・ということってよくあるじゃないですか。そんな時、強制的に復習のメッセージが一問単位で届くことで、やる気がなくても、友達にラインを返すついでに復習する、というサイクルを生むことが出来ます。加えてこのアプリの優れている点は、ある種の「ナッジ」を利用していることにあります。ナッジとは行動経済学の用語で、簡単にいうと「人が意思決定する際の環境をデザインすることで、自発的な行動変容を促す仕組み」です(下のリンクがわかりやすいかと思います)。
今回のアプリのケースでは、「未読が溜まっていくのが気持ち悪い」という無意識的な心理を利用しています(私だけですかね!?)。定期的に復習が送られてくるため、サボってしまうと10件以上未読が溜まってしまう、ということが発生します(私の場合は夜間も送信されるようにしているので、起きた頃には4,5件の未読は溜まっているような状態になります)。
つまり、
「未読の数字が大きくなってくると気持ち悪くなるので、必然的にトーク画面を見る→見たからには復習をついでに済ませる」
という好循環を生む仕組みになっているんです!
続いて2点目の、「LINEというプラットフォームで完結させることで、学習のハードルを下げたかったから」について説明します。上で説明した3つの機能は、正直他のアプリをインストールすることでも実現可能だとは思います。優秀なデベロッパーの方が作成した、高性能なアプリも多数存在しているでしょう。しかしその場合、「英語学習のためだけに存在するアプリがある」「英語学習をしようという気持ちにならないと、そのアプリを開く必要性がない」という状態に陥ります。前述したように、「ラインの未読が溜まると気持ちが悪い→いやでも開いてしまう」という行動経済学的な「ナッジ」を利用して復習の仕組み化を実現しましたが、もしこれが他のアプリでしたら、「このアプリからの通知が溜まっても別にいいか」と感じてしまうでしょう。いかに日常生活に英語学習を溶け込ませるか、という観点において、自身がよく使うプラットフォーム上で学習を完結されられる、というポイントは非常に重要であると感じます(実際に、このアプリではスプレッドシートなども使用していますが、使用者は一切触れる必要がありません。ライン上でトークするだけで良いのです)。
どのように作ったのか?
使用したものは以下の通りです。
LINEデベロッパーツール
GAS(Google App Script)
LINE Message API
Googleスプレッドシート
PowerPoint(リッチメニュー画像作成用)
特にGASとかAPIなどは「?」となる方もいらっしゃるかもしれませんが、初心者でも簡単にアプリを作ることができるためのツールです。
GASを用いることでスプレッドシートを自動で操作し、フレーズの登録や問題の抽出なんかを行うことが出来ます。そしてそれをLINE Message APIを用いてLINE間で送受信する、といった感じですね。GASは非エンジニアの私でも簡単にコーディングできますし、下の写真のようにリマインド機能を簡単に実装できちゃうので気に入っています。使用制限等がありますので汎用的に使えたものではないですが、個人利用規模なら大して気にならないです。技術ログではないのでここらへんの話は割愛します。
実際に使ってみての感想や改善点
最後に使用感について述べようと思います。
全体としては非常に満足しています!目的に対して、機能がしっかり手段となっている感じがあります。やる気のない時でもフレーズの復習を自動的に行うことができ、復習の回転を上げることはできている感じがあります。
強いて改善点を挙げるとすれば、自動で送信できるメッセージ数が1000→200に改悪されたことでしょうか(無料プランの場合)。LINEから送信されたメッセージに対しては影響がないのですが、自発的に送信するメッセージの数が大幅に制限されてしまいました・・・(つまり、フレーズの登録や自発的な学習は自分からメッセージを送るので影響がないが、自動復習はアプリ側が自発的に送信しなければならないので影響がある、ということです)自動復習の可能性が制限されてしまったのは悲しいですね😭
ここら辺の解決策はまたおいおい探っていきます!
以上、英語フレーズ学習LINEアプリの紹介でした!最後までご覧いただきありがとうございました!