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リンを制限して腎不全の進行を抑える:⑫リノパワー

ねこさんが腎不全だと診断されるとまず腎不全用の療法食に切り替えることを獣医さんに勧められるかと思います。ねこさんの腎不全療法食の特徴は低たんぱく低リンのものであるということ(あとは低ナトリウムだったり)。腎不全が進行するとねこさんは尿からリンを十分に排出できず、体内のリンが高くなるため、それと相関してカルシウムも高くなり、体のあちこちで石灰化を起こしてしまいます。もちろん腎臓もそのダメージを受けるので、腎不全のねこさんで血中リンが高い場合は予後が悪くなってしまいます。

コマさんはまだ療法食を勧められる数値ではありませんが、そもそも食のストライクゾーンが激狭なのでおとなしく療法食を食べてくれるとは思えません。リンは美味しさに直結しているので仕方ないのかもしれませんね。また、たんぱく質は尿毒症症状が出ているのであれば制限の必要がありますが、そうでないなら、そもそもねこさんはたんぱく質の要求量が高い生き物なのでたんぱく質は制限する必要はありません。そこでうちでは血液検査の値を見ながら普段の食事は変えずにリン吸着剤を使っています。リン吸着剤には大まかに2種類、カルシウム系と鉄系のものがあり、コマさんは血中カルシウム値が高めなので鉄系の吸着剤を使っています。それがリノパワー。

熊本にあるUKアニマルメディカルの獣医さんが作ったサプリメントで、リンを吸着するクエン酸鉄に加えて尿毒素を吸着するキトサンが配合されている成分良好な吸着剤です。味は無味無臭なので使いやすいかと。

鉄系リン吸着剤ではレンジアレンが広く使われていましたがなんとこの夏終売に!病気の子の命綱のようなサプリメントでしかも代替の効かないものを突然終売にするなんてあまりに非情だと思ったのですが、後継のリンケアという商品が発売になったようです。コマさんも愛用している乳酸菌のマイトマックススーパーを販売しているヘルスビジョンさんが引き受けて下さったのですね。どうかこの情報が困っている方に届きますように!

あとは掛かりつけの獣医さんにオススメされたのが、プロネフラというリン吸着剤。こちらはカルシウム系なので、コマさんのようにカルシウム値の高い子にはどうなんだろうと思いつつ、リノパワーが無くなったタイミングで1本使ってみているところです。次の血液検査の結果次第ですかね。液状で専用のシリンジを使って食事の際に飲ませますが、お魚の香りで好きな子は好きそう。コマさんはまあ仕方ないといった感じで飲んでいます。プロネフラにもキトサンが入っています。

食事については療法食しか与えないとか逆に療法食は与えないとか、極端な方法を選択するのではなく、検査の値とその子の特性や普段の様子を見ながらその時々で試行錯誤するしかないのかなと思っています。うちは今のところは掛かりつけの獣医さんと相談の上で、たんぱく質はこれまで通りしっかり与えつつ、リンを制限することで腎臓の温存をしていきたいなと考えているので、こういった吸着剤を使う選択をしています。


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