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ソーセージを挟むなら

「パンを切っておいて」

目の前にあるのは、手のひらにちょうどおさまるくらいのまぁるいフランスパン。

さあ、どう切る?

澄んだ空気の美しいある朝、わたしはパンに切れ目を入れる作業を仰せつかった。

わたしはパンを切るといったらホットドッグのような切れ目を入れると「思い込んで」いた。相手もそうだろうと疑わずに、迷わずすっと、まぁるい少しかたいパンの表面に切れ目を入れた。そこに美味しいジョンソンヴィルのあつあつのソーセージを挟むのだ。

さぁ、切れたよ、とまぁるい切れ目の入ったパンを渡す。

すると、どうだろう。

「あぁ、そういうふうに切ったんだね、ありがとう」と少し残念そうな、それでいて寂しそうなそんな顔をした。バーガー型に切るものだと思っていたという。

私たちのコミュニケーションはいつも、そんなふうだ。全人類がホットドッグ型を望んでいると思っている私と、バーガー型がいいあなた。たいていお互いの当たり前は違っている。

そこで悲しみが生まれないように、きちんと聞くべきなのだ。

ホットドッグ型がいい?バーガー型がいい?

同じ切れ目のパンを食べることより、今日は相手がどんな切れ目のパンを食べたら幸せなのか、嬉しいのかを知ることの方が、大事なのだ。

ソーセージの挟まったバーガー型のパンを美味しそうに頬張っている顔を見ながら、私はホットドッグ型のパンを食べよう。

時には互いのパンを交換して、「こっちのほうがおいしいね」なんていって笑い合うのもいい。次はサンドウィッチ型にしようかという新しいアイディアが生まれるかもしれない。

とりあえず、美味しくパンを一緒に食べることだけが、ゴールなのだ。

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