#同じテーマで小説を書こう 神の食べ物

「シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタムについて何を知っているかだって?」

「ヒェッヒェッヒェッ!お前さん、その食べ物のことをどこで知ったんだい?」

「話したくない…ね。まあいいさ、こんな婆さんの所までわざわざ聞きに来たんだ。駄賃代わりに話してやるさね」

「んん゛…!…はるか昔、セイレキという時代、まだ神々が生きていた時代、シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタムという神がいた」

「その神は、豊穣の神であるとも、料理の神であるとも言われていた」

「シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタムは他の神々を労うため、カンナヅキという、神々が一か所に集まり会議を開く時期が有り、会議が終わった後一日だけあるという休日に、その食べ物を振舞ったというのさ」

「あん?なんで自分の名前をそのまま食べ物にしたのかだって?んなもの、ただの婆が知っているわけないだろう?」

「話を続けるよ。神々はその食べ物の味を大層気に入って、次の年も食べたいとなったのさ」

「それが慣習になって、毎年出てくるから、その食べ物を食べたいがために会議に出た神もいたという話さ」

「その食べ物は滋味深く、食べれば若返るとも、不老不死になるとも、死者に食べさせれば黄泉の国から帰ってくるとも言われていたのさ」

「そして、神々の時代も終わりを迎えようとした」

「人々の信仰心が無くなり、神々は一人、また一人と姿を消していった」

「そしてシュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタムも消える時が来た」

「シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタムは己の消滅と共に、その食べ物が失われてしまうことを、大層悔やみ、それの作り方を石板に残したのさ」

「しかし、権力者や王たちは、その食べ物の作り方を独占しようと相争い、世界中が大きな戦いの渦に包まれた」

「その戦いの結果、石板は砕かれ、世界中に散らばってしまった」

「これが、アタシの話せる限界さね」

「さて、話は終わったが、お前はこれからどうするのかい?」

「平和な時代を終わらせ、人々を狂わせた神の食べ物」

「それを知って、お前はどうするのかい?」

「…ヒェッヒェッヒェッ!食べたいと来たかい!」

「ならば行くがいい!小僧!」

「まずは、アキハバラ雷電遺跡、通称冥土の口!そこに、石板を探している男たちがいる!」

「そいつらの仲間になりな!それが、石板を集める近道になるはずだよ!」

「………はぁ…行きおったか」

「はてさて、あの小僧は、石板を集めきれるのかね?」

「石板を狙うものは多い、邪神を信仰するものたちや、今だ復活の時を狙う邪悪な秘密結社もいる」

「だのに、なんでアタシはあの小僧にこの話をしたのかね?」

「………それこそ、神のみぞ知る、というやつなのですかね?シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタム様」