アスエコ未来教室第2回 ”お金と社会づくり” 公益財団法人みんなでつくる財団おかやま 石田篤史さん
2021年6月25日に、第2回アスエコ未来教室が開催されました。
第2回となる今回の未来講師は、公益財団法人みんなでつくる財団おかやまの理事、石田篤史さん。
活動の内容
今回の未来教室のプログラムは以下の通りでした。
1.オープニング
2.目標説明
3.ゲストトーク(石田さん)
4.質問セッション
5.クローズセッション
緊急事態宣言が解除され、約2か月ぶりとなった今回の未来教室。
オープニングでは、4月に引き続き2度目のアイスブレイクを行ないました。
今回のアイスブレイクは、名前リレー。12人の中学生と4人の大学生スタッフ、アスエコスタッフが円になり、皆の名前を呼んだあとに自己紹介をします。
2か月ぶりに会った参加者みんなのことを思い出す時間でした。
また、「未来教室の五か条」や未来教室での過ごし方も復習しました。
その後、目標説明では、今回の未来教室での目標について説明を聞きます。
今回の目標は3つ。
・社会の問題に興味を持つ
・自分にできそうなことを考える
・お金の力を理解する
「どうしてこの目標が大事だと思う?」という問いを受け、自分なりの考えをグループで発表しました。
・お金がないと生きていけないから。
・社会の問題とお金には関係がありそうだから。
・お金のことを知って、社会に貢献するため。
・キャッシュレスなどが出てきて、お金そのものの価値が変わっているから。
・社会の問題に興味を持って、自分にできそうなことをすると社会が変わると思うから。
以上のような回答が、中学生から出てきました。
それぞれの目標についてだけではなく、複数の目標にまたがるような回答があり、中学生の考えに驚きました。
ゲストトーク
今回は、公益財団法人みんなでつくる財団おかやま(通称みんつく)の理事である石田篤史さんによるゲストトークが行なわれました。
石田さんは、2012年に設立された「みんなで作る財団おかやま」の理事を務めています。
もともと公務員として働いていたため、お金の専門家というわけではありません。
ゲストトークでは、みんつくのこと、お金のこと、時間のこと、の3つを中心に話してくれました。
・みんつくのこと
石田さんは、みんつくについて「自分がやってよかったと思うことを増やすための仕組みづくりをしている」と話します。
みんつくは市民、企業とNPO法人などをつなぐための存在であり、必要な人に必要な資源を循環させるそうです。
今回、例にあがったのは大学生による子ども食堂の設立の話でした。人の繋がりやお金、情報などの、設立に必要な資源をみんつくがつないで支援することで、設立までのスピードを早くすることができます。
この話の中で”クラウドファンディング”という言葉が出てきたときに、中学生同士、言葉の意味を教え合っている姿がありました。お互いにわからないところを補い合いながら話を聞く姿が印象に残っています。
・お金のこと
お金の使い方について、今回は4つの観点から皆で考えました。
1.使う(消費)
2.貯める
3.投資する
4.寄付する
上記の4つの観点から、「自分なら何にいくら使う?」というテーマでワークをしました。
2.貯める の観点で中学生から出てきた意見がとても興味深かったです。自分が困った時のために貯めておく、と話す中学生もいれば、自分以外の人が困っているときに貸すために貯める、と話す中学生もいました。
筆者はお金を貯めるというと自分のための行為だと考えていたため、他者のためにお金を貯めると考えた中学生がいたことに驚きました。
今回、石田さんがお金について話す際に何度も口にしていた言葉がありました。
それは、「お金はツール」という言葉です。
お金はそのものに価値があるわけではなく、お金だと思うことで価値が生じます。社会では、ものと交換するためのツールとしてお金が使われている、という意味です。
ツールであるお金を、みんつくは、支援として必要な人につなぎます。
そのために使う方法が寄付です。
寄付をすることで、自分の好きなことに対するアクションができ、相手も自分も幸せになれる、と石田さんは話します。
また、中学生と一緒に話を聞いていた筆者も驚いたのですが、寄付であれば必ずしも必要な額ぴったりを出さなくてもいい、というのです。
寄付であれば、自分の期待感などを込めた金額を出すことができます。自分でその事業などへの価値を決めることができるそうです。
そのため、石田さんは、誰かのため、社会のため、ではなく、自分が「こうなったらいいな」と思うことを大切にしよう、と話してくれました。
・時間のこと
時間のことについて話す際、石田さんは、有名なコンビニの看板を例に挙げてから話を始めました。
看板の色はみんな知っているけれど、その看板に描かれているものが何か、どうしてそれが描かれているのか、と聞くと知る人が少なくなる、というのです。
突然コンビニの看板について質問され、驚いた表情を浮かべる中学生も少なくありませんでした。
しかし、質問されたことで、コンビニについて考え、考えたことで覚えることができました。
これこそが、興味を持つことだ、と石田さんは言います。
また、石田さんは「社会に役立つことをしたい」という中学生に向け、このようなことも話してくれました。
野球の大谷選手は、人々に感動を与えてくれて、社会の役に立っている。
でも、彼は社会の役に立つためではなく、自分が好きだから野球を続けていた。
自分が好きなことをちゃんとやると、それが興味に繋がり、知識にもなる。
だから、社会の役に立つために何かをするのではなく、自分の好きなことをきちんとやってほしい。
世界の中心はどこか?という質問に対し、すぐに「世界の中心は自分である」と答えた中学生がいました。
世界の中心が自分であるからこそ、”特別”は自分で作るものだ、と石田さん。
今日をどんな時間にするかを決めることで、行動が決まる、また変わることもある。
だから、今日の時間を特別なものにすると決め、自分史上最高の時間を過ごそう!と、力強いメッセージを参加者みんなに届けてくれました。
質問セッション
今回の質問セッションで出た質問と、それに対する石田さんの回答の一部を紹介します。
Q. 正しいお金の使い方とは?
A. 自分が納得できるお金の使い方をすること。また、きちんと納得するために、自分の中の判断基準を養う必要がある。
Q. お金と友情、どちらを優先する?
A. 友情を優先する。友達と自分のどちらのために稼ぐか、と聞かれれば「両方のために稼ぐ」と答える。
Q. お金と時間、どちらが大事だと思う?
A. 圧倒的に時間の方が大事。「100億円あげるけど、明日死んでしまいますよ」と言われてしまっては100億円をもらった意味がなくなってしまう。
Q. 人前でうまく喋るために心がけていることは?
A. 大人数の前でも、ある一人に向けて喋ること。喋る練習をすること。言葉を正しく使うこと。正直に話すこと。
言葉を正しく使って、正直に話すことで、その言葉には魂が宿る。魂が宿った言葉に乗った自分の想いが伝わってくれるはずだと考えて話している。
ここでは紹介しきれませんが、ほかにも、これからの自分たちのためになることをたくさん話してくれました。
最後に
第2回目となった、今回の未来教室。
前回よりも、一人一人が深く考え、ほかの中学生と考えを話し合っていました。
次回は中学生がどのような姿を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。
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