猫のポーズ🧡💛
深い森の奥に、しなやかで美しい毛を持つ子猫のミケが住んでいました。毎朝、ミケは決まって日が昇る前に目を覚まし、日の光を待つのです。朝の冷たい空気が大地を包み込むころ、ミケはまず背中をぐっと丸め、優雅に「猫のポーズ」をとります。鼻先を伸ばし、ふわりと前足を前方に伸ばすと、体中の筋肉がほぐれ、心地よい風が彼女の周りを吹き抜けました。
「ふぅ…今日も一日がはじまるにゃ。」
すると、ミケの「猫のポーズ」をじっと見ていた森の仲間たちが、一匹、また一匹と現れました。
最初にやってきたのはウサギのトト。耳をぴょこんと立てて、興味津々な表情で聞きます。「ミケ、それは何をしているんだい?すごく気持ちよさそうに見えるよ。」
ミケは背筋をまっすぐにして、ふんわり笑いました。「これはにゃ、『猫のポーズ』っていうんだ。朝の空気を体いっぱいに吸い込んで、気持ちを落ち着けるんだにゃ。」
「やってみてもいい?」トトはわくわくして前足を伸ばしました。
「もちろんだにゃ!やってごらん、トト。背中を丸めて、体を伸ばすようにゆっくりやるんだにゃ。」
トトはミケの真似をして、一生懸命背中を丸めましたが、どうもうまくいきません。「うーん…むずかしいなぁ。」何度も試してみるものの、ぴょんぴょん跳ねてしまいます。
そのとき、木の上からリスのチッチが楽しそうに見ていました。「そんなに難しそうなら、ぼくも手伝うよ!」彼は一瞬で木から飛び降り、軽快に地面に着地しました。そして、リスの特技であるしっぽを使って、器用に「猫のポーズ」をとります。
「見て見て、ぼくもできたよ!」チッチは得意げにしっぽをぴょんぴょん振りながら、誇らしげに見せびらかしました。
「すごいにゃ、チッチもなかなかの柔軟性だにゃ!」ミケは目を輝かせました。
すると、今度はキツネのフウが姿を現しました。彼は賢くて、いつも冷静ですが、今回の「猫のポーズ」にも興味津々です。「ふむ、これはただのストレッチではないな。ミケ、これは一体何のためにするんだい?」
ミケは目を細めて答えました。「これはね、体を柔らかくするだけじゃないにゃ。心も落ち着けるのにぴったりなんだにゃ。日々の忙しさで疲れた心と体を癒す時間を作るんだにゃ。」
フウはその言葉に納得し、慎重に「猫のポーズ」をやってみました。背中をゆっくりと丸めて、深く息を吸う。「なるほど、確かに心が静かになる気がする。」
その日から、森の動物たちはみんなで「猫のポーズ」をするようになりました。朝のひととき、太陽が昇る前の静かな森で、ミケを囲んでリスやウサギ、キツネたちが優雅に体を伸ばし、ゆっくりと呼吸を整えます。誰もがそれぞれのペースで、自分自身を大切にするための時間を持つようになったのです。
ミケはそんな光景を見て、嬉しそうにしっぽを揺らしながら思いました。
「みんなも気づいたにゃ。自分を大切にする時間が、どれだけ素敵なものか。これで、毎日がもっと楽しくなるにゃ。」
そして森の中に、静かで穏やかな朝の時間がいつまでも続きました。ミケと仲間たちは、今日もまた、心地よく「猫のポーズ」を楽しむのです。