デザイナー同士で学びを共有し合う仕組みを作りました
こんにちは。クックパッドの新規事業「たのしいキッチン」でリードデザイナーをしています辻(@cooktsuji)です。
今回は、2020年9月からクックパッドに在籍するデザイナー向けに新しく取り組んだ「デザイナー同士で学びを共有し合う仕組みづくり」について書きたいと思います。
1. デザイン会という横断会が抱えていた問題😫
クックパッドには、社内の全デザイナーが隔週で参加する「デザイン会」という会が存在します。
デザイン会の歴史は長く、2012年頃からデザイナーの人数や社内の組織編成に合わせて形を変えながら継続されています。各事業で取り組んでいるトピックを含め、所属チームで得た知見共有・情報共有をするというのが主な趣旨です。
そんなデザイン会ですが、最近次のような問題を抱えていました。
①デザイナー全員分の知見や日々取り組んでいる内容を把握できない・活かしきれない
現在社内のデザイナーの人数が30人を超え、以前と比べると事業数・プロジェクト数も増えてきました。最近入社したデザイナーに話を聞くと「隣の部署のデザイナー、実は顔を見たことあるぐらいでちゃんと話したことがないです」といった声が挙がってくるほど、部署をまたいだデザイナー同士のコミュニケーションが減ってきている危機感がありました。
②今自分が知りたい情報を得られにくい
事業フェーズもサービスごとに異なる為、デザイン会で他のデザイナーから共有されるトピックが自分の状況に合ったものとは限りません。今取り組んでいる施策やプロジェクトに関連した過去の知見や考え方などが知りたいのに、なかなか情報を得ることが難しくなっていました。
そうした背景から、デザイン会の目的を「所属チームで得た知見・情報共有をする場」から、「個の学びを集結させ、成長し続ける場」という目的に変更しました。
2. どうやって「個の学び」を作るのか🤔
デザイナー30名、それぞれ得意なことは違うし、今までのバックグラウンドや仕事の内容・役割もバラバラです。
多種多様な人がいる中、どうすれば一人一人の学びへつなげることができるのか?という課題に対し、様々な視点からアイデアを出しました。
いろんな学びと成長をサポートできる環境にする
それぞれが学びたい、知りたいをデザイン会という時間の中で実現できる仕組みづくりができないかと調べている中で出会ったのが、Googleが取り組んでいるG2G(Googler-to-Googler)と呼ばれる社員同士のトレーニングです。
G2Gは「従業員間での学習プログラムにおいては、実体験から得た知見を直接同僚から学ぶことができ、また、知識を伝える側の従業員も、教えることによって成長する」とあり、まさにやりたいことにドンピシャな取り組みでした。
G2Gを参考に、デザイナー同士で学びを共有しあい、そこから成長できるような体制が作れないかと具体的な構想へ落とし込んでいきました。
3. G2Gを社内に合わせた仕組みへと作り変える🛠
G2Gを真似してクックパッドの今の組織に適用しても、デザイナーの人数も違うしカルチャーも異なるので上手くはいきません。クックパッドに適した形に変える必要があります。
G2Gのどのエッセンスを残し、どのように適用するべきなのかを探るため、他社に同じような取り組みをしている事例はないか引き続きリサーチを進めました。
そうして見つかったのが、TakramのT2Tです。
T2Tについては以下のpodcastで語られています。今回、T2Tの進め方や過去に実施された例など大変参考にさせていただきました🙏
グループ学習から効果的な学びを得るための要素
G2GやT2Tの事例を参考に、クックパッド独自に置き換える際に大事な要素は何なのかを自分なりに分析してみました。
💡教えられる人 / 教えて欲しい人をマッチングさせること
→自分の中で自信があるもの、他人に教えてほしいとpushされたものに関しては、人前で話すことが苦手な人でもある程度前向きに話すことができます
💡自発的に選択できること
→自分で選択すると、受け身で参加するのではなく、意思を持って参加することができます
💡興味・関心が同じ人を集め仲間を作ること
→同じベクトルの人たちを一つのグループにすることで、その場で他の人がした質問や議論にも興味が持てる状況を作れます
これら3つの要素を取り入れたグループ学習の仕組みをクックパッドではC2C(Cookpad to Cookpad)という名前で試してみることにしました。
4. C2Cの内容📝
G2GやT2Tと異なる大きな点が、実施頻度と同時開催数にあります。
実施頻度:隔週デザイン会の中で実施
時間:20分〜30分
テーマ&ファシリテーター選定:自主的に話したいもの。なければ推薦する(デザイナーとして経験が深いリードデザイナーや師匠を優先して推薦)
同時開催数:3テーマ(それぞれのテーマはバラバラ)
進行の仕方:各テーマごとに内容はファシリテーターにおまかせ。テーマ毎に異なるzoomに参加する。slackスレッドをテーマ毎に立て、参加者はそのなかでコメントをしたり議事録を残したりする(あとですぐ見返せるように)
ポイント①:今ある会議体の中に組み込む
理想は自発的に、教えたい!教えて欲しい!と起票して互いに参加者を募り実施することではあるんですが、デザイナー全員が置かれている環境が違うので何もしないとコミュニケーションがそもそも生まれないだろうなと思い、定期的に機会が訪れるようデザイン会の中で実施することにしました。
ポイント②:3つテーマを用意し、選択できる状態を作る
同時に3テーマ開催してるのは、興味あるテーマがみんなバラバラであるという前提に立った上で、3つの異なるテーマのうち、いずれか1つぐらいは興味持ってもらえそう。3つから一つを自分で選択することで、積極的に参加してもらえそう。という理由から複数開催にしています。
ポイント③:ファシリテーターの負担をできるだけ軽減する
参加者側の体験だけでなく、テーマの語り手あるいは進行係であるファシリテーターにも気を配ります。当初1時間を超える時間設定も検討しましたが、時間が長くなるに連れて進行内容や資料のボリュームが増え、1回あたりの負担が大きくなるのではと考え、準備負担をできるだけ軽減するために20分~30分としました。
その他、今のデザイン組織に合わせた細かいチューニングをいくつかしています。
5. 導入後の変化【事例も紹介】👀
これまでにC2C内で実施されたテーマの抜粋です
・ワンハンドUIはホントに良いUI?実際の利用者アンケートから考えてみよう
・バーナーリストで1日のタスクをコントロールする方法
・発信苦手人間が、登壇やnoteの準備をどうやっているか
・20分でさくっと学ぼう!文字組みのキホン
・料理写真の編集の流れと、ここだけやれば!のTips
・コンポーネントにする前に。デザインレビューが楽になるFigmaの使い方
・週30本の配信テストでわかったSNS広告“勝ちクリエイティブ“の法則
様々な視点からの学びが良い刺激になり、日々の意識変化にも繋がりつつある
例からわかるように、デザインやサービスに関するテクニカルな内容から、日々のタスクコントロールの話題、情報発信の仕方など様々なテーマが実施されてきました。
毎日の業務とは別に、定期的にいつもと違う視点からの学びが得られることはとても刺激になります。参加者からも「今日聞いた話、今進めている施策で早速試してみます」「自己流で学んできたので、改めてしっかり教わると多くの学びがありました」などの声が上がってきており、C2Cで得た学びを日々の業務に活かすという、いい循環が生まれつつあります。
slackThreadを使ってテーマ単位で話している様子
また、デザイン会への参加姿勢を見ても、自分に必要なもの・興味あるものを選択してC2Cに参加できるので、以前よりも質問や議論するシーンが増えたように思います。
6. さいごに🖋
今回ご紹介したデザイナー同士で学びを共有しあうC2Cもまだ始めたばかりです。デザイナーだけにとどまらない、職種を超えた仕組みへとつながるように改善し続けたいと思います。
学びの形成という視点以外で、まだまだ解決したい課題は沢山あります。今後もデザイン組織づくりに関する様々なアイデア・取り組みが登場するかと思うので、せひデザイナーマガジンをwatchしてください!👇
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