タスマニア島オーバーランドトラックを歩く - 計画と事前予約編
2024年12月、オーストラリア・タスマニア島にある全長約65kmのロングトレイル「オーバーランドトラック」を歩いてきました。この記事では、これから歩く予定の方や、いつか挑戦してみたいと思っている未来のハイカーの皆さんに向けて、情報をまとめます。
計画と事前予約編
装備と食料編
実際に歩いた感想とオーバーランドトラックの楽しみ方編
の3部構成でまとめる予定です。
装備と食料については、他のロングトレイルや2日以上の山行にも応用できると思います。
トレイルを歩く権利を獲得する
1. パーミットを取得する
オーバーランドトラックを歩くには、パーミット(許可証)が必要です。特にオンシーズン(10月1日~翌年5月30日)に歩く場合、レンジャーによる確認があるため、事前取得が必須です。
取得は以下の公式サイトから行えます。
パーミット料金は大人1人あたり295ドルと安くはありませんが、これは自然保護やトレイル整備のための大切な費用です。気持ちよく歩くために、前向きに支払いましょう。
オーバーランドトラックは南半球では数少ないロングトレイルで、世界中からハイカーが訪れます。そのため、特にベストシーズンの予約は難しいことがあります。
もし、希望の日程が取れなかったとしても、諦めずにキャンセル枠を狙いましょう。定期的に予約ページをチェックするのがおすすめです。
どの時期に行くか悩ましいと思いますが、過去に3度歩いたハイカーによると、2月~3月が最も良い季節だと言われています。気候も安定しており、景色が一段と美しく感じられるそうです。
2. ETAを取得する
オーストラリアへの入国には、短期滞在ビザであるETA(Electronic Travel Authority)の取得が必要です。パーミットを取得したら、ETAを申請しましょう。
スマートフォンアプリを使えば、5分ほどで簡単に申請が完了します。
以下のリンクからアプリをダウンロードして、パスポートを準備した上で手続きしてください。忘れないうちにやっておきましょう。
Apple Store
https://apps.apple.com/jp/app/australianeta/id1527982364
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=au.gov.homeaffairs.eta&hl=ja&gl=US
計画を立てて、予約する
オーバーランドトラックを歩く権利を得たら、具体的な計画に移りましょう。以下は私が実際に歩いたスケジュールの一例です。参考にしてください。
1. オーバーランドトラックを歩く日数を決める
オーバーランドトラックのメインルートは、スタート地点のロニークリークからゴール地点のシンシアベイまでの約65km。アップダウンもそれほど多くないため、ゆっくり歩いても5泊6日で歩けます。
ロングトレイル経験者や体力に自信のある方であれば、1泊2日や2泊3日での完歩も可能かもしれません。しかし、メインルートだけを急いで歩くのは非常に勿体ないです。
オーバーランドトラックには、複数のサイドトリップ(寄り道ルート)があり、どれも見所に溢れています。事前に気になるサイドトリップを確認し、全体のスケジュールを決めましょう。
ハット(山小屋)間の距離やサイドトリップの詳細は、以下のサイトで確認できます。
おすすめのサイドトリップ
1.Cradle Mountain Summit
トレイル初日にアプローチ可能な山で、多くの登山客が訪れる人気のスポットです。日本の北アルプス・奥穂高岳を思わせるゴツゴツした岩場をよじ登る箇所があります。
2.Barn Bluff
Day1またはDay2にアプローチ可能な、オーバーランドトラックの象徴的な山です。クレイドルマウンテンと同様に岩場があり、トレイル序盤の目印的な存在です。
3.Mount Ossa
タスマニア島最高峰(標高1617m)の山で、Day4頃にアプローチ可能です。季節によっては美しい高山植物に囲まれた花畑が広がり、晴天時には絶景が楽しめます。道もよく整備されており登りやすかったです。
4.Lake Will
メインルートから30分ぐらいで行ける湖です。前日までの天候次第ですが、水が透き通るほど綺麗なので泳げます。湖越しにバーンブラフが見え、ピクニックなどをすると楽しいと思います。
残念ながら私は前日に雨が降ったので濁っていました。
5. 滝めぐり
滝を見ることができるポイントはいくつかあります。どれか1つでも見に行けるとタスマニア島の自然の力強さを感じられます。
6.Pine Valley Hut
メインルートから大きく外れるため、追加で1泊が必要です。残念ながら私は事前にこのハットのことを知らず、訪れることができませんでしたが、多くのハイカーが「オーバーランドトラックで最も美しい場所」と絶賛していました。また機会があれば、ぜひ訪れたい場所です。
2.交通手段の手配
バスの予約
トレイルヘッドへの公共交通機関はバスのみです。タクシーを手配することも可能ですが、ローンセストンやホバートの町からクレイドルマウンテンまでは車で約3時間。タクシー利用は高額になるため、事前に乗り合いバスを予約するのが現実的です。
私は「Overland Track Transport」を利用しました。セダンサイズのミニバスで、乗車定員は約8人です。事前に予約しておくとローンセストンの宿泊先まで迎えに来てくれ、途中でトイレ休憩や朝食の時間も設けられていました。
往復同じバス会社を利用する場合、不要な荷物を行きのバスで預け、帰りのバスで受け取ることもできます。トレイル前後に観光を楽しみたい方には便利なサービスです。
ガス缶やちょっとしたギアもバスの中で購入できます。
フェリーの予約
トレイル最終日には、セントクレア湖をフェリーで渡るか、湖畔沿いに15km歩くかを選べます。
フェリーの運行時間:9:30、13:00、15:30
15:30の便でもその日中にローンセストンやホバートに向かうことも可能です。
定員:1便あたり15名程度
注意事項:フェリーは事前予約が必要です。メールで問い合わせしましょう。
予約は以下のリンクに記載のメールからできます。予約時、クレジットカードの番号を送信する必要があり少し抵抗があったのですが大丈夫でした。
補足情報:
予約なしでも、フェリーに空きがあれば当日乗船が可能です。ただし、事前に山小屋の無線機を使って連絡を入れる必要があります。無線は電話より音質が悪く、英語が堪能でないと難しいかもしれません。(僕は何を言っているのか全くわかりませんでした…。)一緒に居合わせたハイカーに助けを求めるのも一つの手です。
3.トレイル前日、最終日の過ごし方
ローンセストンかホバートからバスで移動し、その日中にトレイルを歩き出すことも時間的に可能ですが、トレイル前日は、ビジターセンター周辺で時間を過ごすのがおすすめです。クレイドルマウンテン国立公園には、日帰りハイキングを楽しめるルートがいくつもあり、ウォンバットやワラビーに出会えることもあります。
特に「クレイドルマウンテンロッジ」は大きな敷地を持つ宿泊施設で、ラグジュアリーな滞在が楽しめます。1棟宿泊ができるので、大人数で泊まる場合はお得だと思います。
クレイドルマウンテンロッジの他にも、ドミトリータイプの宿などもあるので予算に応じていくつか選択肢があります。。シーズン中は国立公園に多くの人が訪れるので早めに予約を済ませておきましょう。
ゴール地点のセントクレア湖にも高級ロッジがあります。ステーキなどのご褒美メニューを楽しむことができるそうなので、トレイルを完歩した後にぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
4. 飛行機のチケットを買う
トレイルの計画が決まったら、航空券を早めに購入するのがお得です。おすすめはオーストラリア最大手の「カンタス航空」です。
シドニー空港では、国内線と国際線のターミナルが滑走路を挟んで離れているため、移動が必要です。通常はバスや電車を利用し40分ほどかけて移動しますが、カンタス航空利用者限定のターミナル間を移動する専用バスを利用すると、20分ほどでスムーズに移動できます。
自分だけの旅を楽しみましょう
ここまでの情報は、私が事前に知っていたらさらに旅を楽しめたと思うポイントを中心にまとめました。これを参考に、自分らしい計画を立てて、タスマニア島の大自然を存分に楽しんでください!
質問があればコメント欄で気軽にご相談ください。この記事も随時更新していきます。