三人は何が違うのか／ココ・マリン・すいせい
桐生ココ・宝鐘マリン・星街すいせい、と名前を並べれば、これはホロライブつよつよ三人衆だ。この中の誰か一人にでもいいから口げんかで勝てるという人は手を上げてみて下さい。そんな人がいるのなら尊敬の念が止まらない。
この三人は似たようなパラメータ分布を持った人たち、ようするに同類の三人組だ、と、私はわりと長い間思っていました。何が同じかというと、ものすげえ高度な知性と能力をもっていて、それを隠そうともせず、はっきりと誇りに思っているという点です。
その共通点があまりにもはっきりしているので、私はこの三人を同じラベルのついた引き出しに入れていたのだけど、「じゃあ何が違うのか」という点についてはうまく説明できていなかった。それを説明できそうな軸をちょっと思いついたので、今からそれを書きます。
繰り返しになるけれど、この三人の共通点は「自己能力の高さの自認」です。ようするに、「私ってものすごく頭が良くて能力が高いわ」と自分で思ってるってことです。
単に自分で思ってるだけじゃなくて、そいつが掛け値なしの事実だからすごいよね。世の中にはこんなに頭の良い人がいるの……って毎度驚かされっぱなしだ。
桐生ココ会長は、デビューごく初期に、「この人には自分と同じ匂いを感じる」という人物として、宝鐘マリン船長の名前をあげた。
なぜ同じ匂いなのかについては、私はこう理解している。「この二人は、とんでもなく頭がよく、その頭の良さを駆使してあえて道化をやっている」という共通点があるからだ。キャラクターはまるきり異なっていても、そのキャラクターを実現するための構造はきわめて似通っている。だからココ会長は、「船長はたぶん私の同類」と直感したのだろう……というのが私の理解だ。
ところがココ会長は、おそらく同じくらい高度な頭脳とプライドを持った星街すいちゃんを「同じ匂い」の人としてあげてはいない。
もちろん、なんかのはずみでたまたま名前があがらなかっただけかもしれない。
が、「すいちゃんと私は別の分類だ」とココ会長は思っている……と考えるほうが自然なような気がするのです。
その違い。「ココすい」の間の決定的な差異って何なのか、というと、それは自己肯定感の有無なのだと思う。
すいちゃんは、みなさんご存じのとおりむちゃくちゃに歌がうまくて、テトリスはプロ級だし、トークも魅力的で、踊れて、ゲームの達人。たぶんやろうと思えばたいていのことをうまくできる人だ。だけどすいちゃんは、そういうところをあまり「よりどころ」にしていない。なんと星街すいちゃんは、
「私って、私であるだけでものすごくねうちが高いわ」
と思ってると思うのです。
仮にすいちゃんから、前述のような高度な能力を奪い去ったとしよう。それでもたぶんすいちゃんは、あの自信たっぷりな、プライドの高そうな感じが一切変化しないと思う。
（私は、星街すいちゃんのそういうところをほんとうにまぶしいと思って見ている）
ココ会長もそうなんじゃないの？ と思う人がいるかもしれないが、私は、ココ会長はそうではないと思う。
ココ会長は、自分に自信を持っている。しかしそれは、自分が持っている高度な能力に対する自信なのであって、もし仮にそれが失われたら、たちまちへにゃへにゃになってしまうだろう。
（実際、ココ会長は、自信のない分野に関してはそうとうへにゃへにゃだ）
ココ会長はたぶん、
「私の能力にはねうちがあるが、私という存在それじたいにねうちがあるとは自分ではとうてい信じられない」
という内面をかかえていそうだ。
……というのが私の理解なのです。
そういったことを一言で言うと、「星街すいちゃんは自己肯定感が高く、桐生ココちは自己肯定感が低い」。その差がキャラクターの手触りにでているし、ココちがすいちゃんに「同じ匂い」を感じなかった理由もそれであるだろう。
じゃあマリン船長はどうなのか、というと、すいちゃんとココ会長の間くらい。どっちかというとすいちゃん寄りにみえる。なので、ハタからみると、むしろすいちゃんと船長が、同じ引き出しに入る二人のようにみえる。
いや、というか、船長がすいちゃん寄りなのではなく、ココ会長の自己肯定感がずばぬけて低いというのが正確なような気がする。
（極低）ココ-------------------------（低）-マリン（中）-すいせい（高）
みたいな。
この「桐生ココ会長は自己肯定感が低い」という認識をもったうえでふりかえってみると、かなココハウスでかなたんとの間に起こっているいろいろなことが簡単に説明できると思っています。長くなりましたのでそれは次回以降に。
（注：この文章は「私の頭の中の」ホロライブメンバーについて話しているもので、フィクションの一種だと思っていただけると助かります。現実の本人のことをこうにちがいないと決めつけるものではありません）