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一なる世界

マギー・ハイドは、シンクロニシティをⅠとⅡに分けて説明している。

相対的で客観的に観察できるものをシンクロニシティⅠとして。
絶対的で客観的に観察できないものをシンクロニシティⅡとして。

これは ユング自身の過渡期と結論の違いとも言える。

ユングは統計的な方法が占星術を通じて、
シンクロニシティを明らかにしてくれると思っていた。

だが、彼はその最晩年に到ってシンクロニシティⅠを否定した。

彼の結論は "一なる世界" だった。

ユングは心理学という入り口から、量子物理学でいう超弦理論に到り、
量子の碩学たちと同様、仏教と易に傾倒するよりなかったとも言える。

関連するマギー・ハイドの著述において、最も興味深く、
核心に迫っているのは、彼女が生徒から試された事例である。

ある初心者の女性が、
自分が計算したチャートを読み解いてくれというのである。

何も読み取れなければ、
占星術は何の役にも立たないものであるから勉強をやめるという。

つまり、そのチャートは非常に重要で例外的な事を示している筈だと。

マギー・ハイド曰く、それは あまりにも判り易いチャートだった。
殆どの占星家が同じ結論に達するようなものであり、事実それは的中した。

先天的な健康問題と、手術などに関するものだった。
そのホロスコープは、その女性の子供のものだった。

だが、である。

そのチャートは間違って計算されていた。

にも関わらず、このチャートは「正しい」チャートとして機能した。

角度を変えながら分析すると、多角的に正しさを立証した。

驚くべき詳細さで、その女性自身のチャート計算への不安や、
占星家自身が女性に試されている状況をも示していたのである。

しかも、これは、ある瞬間という、
何かが生じた瞬間の "時間" ですらなかった。

現実には存在する筈のない時間と惑星配置だったのである。