見出し画像

祭りの前日

今週末…というかもう明日だけど
明日、明後日と自分が住む町では毎年恒例の秋祭りが催され
開催エリアは旧市街地エリアほぼ全域となっている

旧市街地エリアがどのくらいの広さかと言うと
約1.6平方キロメートルってなっているから
まぁかなりの広さを使って祭りをするわけだけど
この祭りの日、私ら住人はある使命を果たさなければならない

それは、28日朝5時から29日夜8時まで
住人が路上に駐車している車を一斉に移動させて町中に車がない状態にする
という使命だ

移動対象となる路駐車

もちろん、市はバスや路面電車で15分ほどいった郊外に
そのための駐車場を確保していて
各自が持っている路上駐車許可証を携帯していれば
そこまでの交通機関乗り放題になるという特典はある

あるのだが、根っからの不精人である私は
郊外に停めて戻ってきたり取りに行ったりするのが
もう億劫で仕方がないので
毎年ギリ旧市街地エリアから出たところに駐車場所を目ざとく見つけて
家から徒歩10分圏内のところに車を停めることに成功している

町中に停めている車の台数が一体どれくらいなのか把握はしていないが
おそらく500台はくだらないと考えられる
僅か数十台しかない停め場所を巡っての椅子取り合戦が
秘密裏に行われていて
その勝者に毎年なっていた私なのだが
昨年、調子に乗っていた私は痛い目に合う

祭りの前日、仕事から車で戻ったのが遅い時間となってしまい
めぼしい駐車場所はすでに近くの住人に停められてしまって
駐車場所を1つも見つけることができなかった私は
それでも郊外の指定駐車場所まで行くのが面倒で
商用車用の一般車両駐車禁止となっている場所に停めてしまったのだ
祭りは土日だし商用車は週末こないだろうと高をくくっていたのだ

日曜日、それでもちょっと車が気になって
もし他の場所が空いていたら移動しておこうかな~と
軽い気持ちで車を見に行ったら…

ない!ないないないない!!!
車がなーーーーーーーーい!!

忽然と消えた車に動揺が隠せず
青い顔をしてトボトボ歩いていると
露店でブリキの看板を売っていた知人が
「どうしたの?」と声をかけてくれた

く・・・くるまが・・・なくなってる

どこに停めた!?と私から場所を聞くなり
店番を私に任せ、チャリに乗って現場へ急行し現場検証しに行った知人は
しばらくして戻ってきてこう言い切った
「やっちゃったね、あそこ停めちゃだめなとこじゃん。レッカーされたんだよ」

盗難じゃなくてレッカーか
はぁ。。。まだましかなぁ。。。

しかし続く知人の言葉に凍り付く
「レッカー代高いよ、俺は500ユーロ払った」

(あんたもやられた事あるんかい!)
というツッコミが一瞬頭に浮かんだのもつかの間
500ユーロと言う金額が脳天を直撃して真顔になってしまったのは
今でも記憶に新しい

膝から崩れ落ちそうになるのをこらえ絞り出した声
マジっすか、それマジっすか・・・

「残念だけどマジ。なーんであそこに停めたのさ、まだ他の場所なら違反金だけで済んだのに」

早く取りに行かないと、駐車料金が日ごとに加算されるという
レッカー先輩の助言に従い
とっとと警察に連絡し、レッカー業者の連絡先を教えてもらい
翌日朝一で車を取りに行ったときの朝日の眩しさは忘れない

という痛い失敗を教訓に
今日は朝から駐車可能エリアをぐるぐる回り
停車していた宅配業者のお兄さんが車を動かしたと同時に停めるという
完璧なる駐車をこなしてチャリで事務所へ来た
(郊外へ持っていかないのだから教訓になっていない気もするが)

昨年のレッカー代を苦々しく思い出しつつ
渋い緑茶で一息つく仕事前




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?