【伝統的占星術における昼夜】
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「フィルダリアを使う場合、昼夜がわからない方ではどうすれば良いか?」という質問を頂きました。
フィルダリアは昼夜だけで、その人の人生で強調される惑星と時期がわかるというものです。
フィルダリアに限らず、伝統的占星術では昼夜がめちゃめちゃ重要です。
昼夜を見ないで占断することは、不可能といっても良いでしょう。
でも、わからない、そんな時は本当に困ります。
そんな時にどうすれば良いか?
私なりの答えを実例を元にご紹介しましょう。
これはジョージ・ルーカスのネイタルチャートです。
(誕生日のホロスコープ)
ジョージ・ルーカスは言わずと知れた、スター・ウォーズの監督ですね。
注目して頂きたいのが、太陽の場所とAcと書いてあるポイントです。
太陽は丸の真ん中に点のマークです。
AcはAscとも書かれることがありますが、アセンダントと言って、東の地平線ですね。
太陽が東から西に向かうことからわかるように、全ての星は一日で右回りに360度一周します。
さて、ジョージ・ルーカスは昼生まれでしょうか?夜生まれでしょうか?
Acが太陽よりも右回りの方向にあります。
ですから、地平線の方が太陽よりも上にあることになります。
つまり、夜の生まれと考えられます。
これはジョージ・ルーカスのネイタルチャートです。
(誕生日のホロスコープ)
ジョージ・ルーカスは言わずと知れた、スター・ウォーズの監督ですね。
Acが太陽よりも右回りの方向にあります。
ですから、地平線の方が太陽よりも上にあることになります。
つまり、夜の生まれと考えられます。
そして、昼夜の区別のことをセクト(Sect)と呼びます。
これが伝統的占星術ではめちゃめちゃ重要です。
なぜなら、昼生まれと夜生まれでは、強調される吉星と凶星が異なります。
吉星は昼の惑星の木星がその良さを発揮します。
夜であれば、夜の惑星の金星が良さを発揮します。
ですから、その人のホロスコープでセクトの吉星が何かを見れば、その人が得意とするものがわかります。
逆に夜の場合。
夜の凶星は土星です。
昼の凶星は火星です。
これらの惑星を見ることで、その人が不得意なものがわかります。
ですから、セクトはとても単純ですが重要です。
なぜ昼夜でそういった違いが出るのか?
それは惑星の基本的性質であるホットとコールドに影響を与えるからです。
昼であれば木星の暖かさがより増し、夜であれば金星の穏やかさが増すからです。
逆に昼であれば、火星の激しさが増し、夜であれば土星がその冷たさを増します。
伝統的占星術では、昼夜の区別のことをセクト(Sect)と呼びます。
これが伝統的占星術ではめちゃめちゃ重要です。
なぜなら、昼生まれと夜生まれでは、強調される吉星と凶星が異なります。
その具体例と注意点をジョージ・ルーカスを例にお話ししようと思います。
ジョージ・ルーカスは映画監督を目指す以前。
実は、カーレーサーを目指していました。
しかし、18歳の時に瀕死の事故に遭います。
レース中に車から放り出され、木に激突したのです。
生死の境をさまよいますが、その時が彼の人生の大きな転換点となります。
「どうして私は存在するのか、それを探し求めて、それを全うしよう」
そのように考えるほどの出来事でした。
その後、彼はレーサーを辞め、映画監督として大成功を収めます。
もちろん、カーレーサーとしての経験は、スターウォーズにも活かされます。
例えばエピソード1:アナキン・スカイウォーカーのポッドレーサーのシーンです。
このような彼の経験は、占星術的に考えてみると、
第12ハウスの支配星である火星が第3ハウスに入っていることで説明できます。
日常的な旅(第3ハウス)、第12ハウス(自分が原因の厄介事)、火星(痛い思い)が絡んでいるからです。
次回は、もう少し詳しくここについてご説明しましょう。
まず、プロフェクションを見ていきます。
(拙著の「プロフェクション」P.439参照)
プロフェクションは、その「歳」に強調される場所や星がわかるテクニックです。
ジョージ・ルーカスの場合:
0歳:第1ハウス・牡牛サイン、金星(牡牛サインの支配星、第1ハウスにある)、水星、太陽(第1ハウスにある)
1歳:第2ハウス・双子サイン、水星(双子サインの支配星)、土星(第2ハウスにある)
2歳:第3ハウス・蟹サイン、月(蟹サインの支配星)、火星(第3ハウスにある)
・・・
と続いていきます。
そして、12歳の時はぐるっと一周回って0歳と同じところが強調されます。
つまり第1ハウス・牡牛サイン、金星、水星、太陽ですね。
これは、24歳、36歳、48歳・・・と12年おきに回ってきます。
すると、事故の起こった18歳時に強調されるのはどこでしょう?
指でホロスコープを押さえながら数えていくと、6歳と同じ場所。
第7ハウス・蠍サイン、火星(蠍サインの支配星)が強調されることがわかります。
どのように強調されるかの判断は、馴れないとなかなか難しいですが、火星が強調されることはわかります。
つまり、彼が痛い思いをする事が予想されます。
次にご存知の方も多いトランジットで観察します。
これは現代も伝統もやり方はあまり変わりません。
彼がカーレースで事故をおこしたのは、1962年6月12日です。
天文暦を見て火星と金星の位置を確認しましょう。
トランジット:1962年June12
火星は牡牛サインの10度です。
金星は蟹サインの23度です。
生まれの火星と金星の場所も見ましょう。
生まれ:1944年May14
火星は蟹サイン25度です。
金星は牡牛サイン11度です。
非常に面白いことに、それぞれの星がトランジットと生まれで入れ替わっています。
ジョージ・ルーカスの生まれのアセンダントは牡牛サインですから、その支配星は金星です。
彼自身を表わす金星がトランジットの火星に害される。
逆に本来ならば、彼を害する生まれの火星はトランジットの金星で和らげられる。
何かしらの害が彼を襲う。
でも、それは本来の悪さよりはましになるだろうと読み取れます。
実際に起こったことは?
事故に遭ったけれども一命は取り留めました。
これまでの話からわかることは、火星が彼にとってとても重要な意味をもつ惑星ということです。
ようやくですが、ここから昼夜についての重要な話に繋がります。
これまでの話からわかることは、誕生日のチャートを見ても、プロフェクションやトランジットで見ても、「火星が彼にとって重要な意味をもつ惑星」ということです。
そして、昼夜(セクト)というのは伝統的占星術ではとても大切です。
例えば、セクトの凶星はその人に重大な試練を与えます。
また、不得意な物事を見るときもセクトの凶星を見ます。
つまり、昼生まれであれば火星が悪さをしますし、夜生まれであれば土星が悪さをします。
ジョージ・ルーカスのホロスコープを見ると、太陽(丸に点のマーク)はACの左回りにあります。
これは、東の地平線(AC)よりも太陽が下にある状態です。
ホロスコープでは日の出前ですから、ジョージ・ルーカスは夜生まれとなります。
すると、土星が悪さをするはずです。
しかし、実際に彼に起こった出来事からすると、明らかに火星が強い意味を持っていました。
ここで大きな矛盾が起こります。
一体、ジョージ・ルーカスは昼生まれなのか夜生まれなのか・・・
こんな時に役立つのがプラネタリウムソフトです!
これはステラナビゲーターで作った彼の生まれた場所での星の見え方です。
ちょうど南の辺りに月が見えていますし、東の地平線付近にうっすらと金星が見えます。
水星は地平線より上なのですが、残念ながら太陽の光が強くて見えません。
この時点では確かに日の出はしていません。
しかし東の地平線をみると、太陽の光がすでに差し込んでいます。
これを「薄明」と呼びます。
実際に目で見てると、彼は昼生まれとなることがおわかりでしょう。
なぜなら、この時間はすでに太陽の影響があるからです。
つまり、ホロスコープでは夜生まれですが、昼生まれとして読んでいくのが良いことになります。
実は、昼生まれと夜生まれの判断では、昼を多めにとる占星術師はいます。
ジョン・フローリーも5度程度は昼を多めにとったりします。
結果として夜生まれよりも昼生まれの割合が増えることになります。
なんだか不公平に感じるかも知れません。
しかし、こういったちょっとした曖昧さがあるのが生き生きとした占星術だと思います。
なんでも機械的に決まるならば、味気なくないですか?
長々と続きましたが、言いたいことが言えて今週はすっきりです。
お付き合いありがとうございました。
週刊伝統的占星術日記(第250-256回)より
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