仕事と占星術・芸術家と6ハウス
本稿は音声配信の要約です。
職業と占星術
古典占星術は転職やビジネス開始の「タイミング」や「環境の選択」に関しては優れた指針を提供できますが、多様化・細分化した職業のマッチング判断はかなり難しいと考えています。
たとえば、自分はデザイン業務に25年ほど携わっていました。デザインといえば「美」、それも金星や天秤座、牡牛座が象徴する感覚的優位性が大切と考えられています。確かに必要かも知れませんが、実際の業務では、計画性、締切、仕事上の守秘義務など、あらゆる職場に共通する能力が欠かせません。また、お客様の要望をヒアリングし、目標を明確化し、デザイン化するうえでの言語化スキルも大切です。つまり、純粋にデザイン作業だけではなく、対話や思考の時間が多くを占めるのです。
こうした背景から、仕事を「業種」ではなく、「どんな環境で働くか」という観点で考えることは、ひとつの鍵だと思います。
芸術家の歴史的な位置づけと6ハウス
「アーティスト(芸術家)」という職業について、現代占星術では創造性や楽しみを象徴する5ハウスと結びつけられています。しかし、歴史をひもとくと、職人やアーティストは6ハウスに分類される可能性が見えてきます。
西洋社会では、ルネサンス以前のアーティストは「職人」として扱われ、作り手の名前が残ることは希でした。アリストテレスの時代には、手を動かす仕事は奴隷と同じく「卑しい仕事」とされており、技術を持つ職人は「労働者」でした。こうした「手仕事」「直に手を動かす作業」を軽視する傾向はルネサンス期まで続きましたから、ルネサンス期までの観点からは、芸術家は5ハウスではなく6ハウスに位置づけられていたと考えられるのです。
こうした考え方は、手を使う労働と創造を区別する視点として現代にも通じ、芸術家の位置づけを再考する視座を与えてくれます。
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