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ホラリー占星術ってなに?

ホラリー占星術は占星術の一分野です。未来の出来事を予測し、特定の質問に答えることを目的としています。占星術のなかでは、特に当たり外れが明瞭な占いです。

どんな質問ができるの?

「この仕事に就けるか?」「Aさんと結婚できる?」といった、はっきりとした答えが欲しい質問に適しています。一方で「来年はどんな運勢か」「どの仕事が私に向いている?」のように幅の広い質問には向いていません。

どうやって占うの?

① 質問をする:できるだけ具体的な質問をします
② チャートを作る:占星術師は「質問を理解した瞬間」のチャートを作成します
③ 星の関係を読む:惑星同士がどのような関係にあるかを見ます
④ 結果を解釈する:惑星の関係性から質問の答えを導き出します

何を見るの?

月:質問した人や質問そのものを表す天体で、ホラリーでは特に重要な天体です。
表示星:質問者と質問を表す星を見ます。たとえば「私はこの仕事に就けるか?」という質問なら「私」を表す星と「仕事」を表す星を見ます。
ハウス:チャートに設けられた12区域で、それぞれ異なる意味を持ちます(例:対人は7ハウス、お金は2ハウス)。
星同士の関係:星が仲良く配置されているか、対立しているかなどを見ます。

一般的なホラリー質問に対応するハウスの意味(出典「ホラリー占星術 実践ガイド」p.46)


星同士を「アスペクト」と呼ばれる関係性で読む

占い例がみたい

「Aさんと結婚できる?」を例に挙げましょう。結婚を含め対人関係の質問は、アセンダントと7ハウスのルーラーを見ます。もしアセンダントのルーラー、または月が7ハウス・ルーラーに接近アスペクトを組み、互いにリセプションがあるのなら質問の答えは「結婚できる」です。(「リセプション」は星同士の仲の良さを測る方法)

アセンダント・ルーラー☿と7ハウス・ルーラー♃はトラインを完成させる
(さらに二つには強いリセプションがある)

次は「結婚できない」または「難しい」ケースです。結婚成立には、アセンダント・ルーラーの太陽と、7ハウス・ルーラーの土星が好ましいアスペクトになければいけません。でもふたつは「オポジション」という緊張感の高い関係性です。間もなく完成するオポジションは結婚の破談を表しています。

アセンダント・ルーラー☉と7ハウス・ルーラー♄はオポジションを完成させる
(リセプションは不在)

上記は簡略化したチャート例です。実際には、他の天体との関係性も考慮しますから、もっと複雑です。でも基本的にはこうした「完成へと向かうアスペクト」からホラリーチャートを読み解いていきます。

ホラリー占星術は最古の占星術なの?

ホラリー占星術が最古の占星術と言えるかは今も議論の最中です。

どんな歴史があるの?

鳥の出現や雷などの自然現象から答えを導く占い(神託)は、最も古いタイプの卜占(ぼくせん)と考えられています。卜占的な占星術は1世紀のシドンのドロセウス著「占星詩」第五巻「質問と始まり」に掲載されています。でも、その後の著名な占星術師(2世紀のプトレマイオス、ヴェティウス・ヴァレンス、4世紀のフィルミクス)らはホラリー占星術について何も書き残していません。さて、キリスト教がローマ帝国の国教になると、科学、哲学、数学、天文学、占星術の研究がアラビアとペルシャ(現イラン)へ移ります。時代は7〜9世紀。ここはホラリー占星術の体系が学問として再整理され、高度に理論化された地です。さらにその後、占星術の舞台はヨーロッパへと移り、アラビアでの研究成果がラテン語に翻訳されました。天文学史で有名なコペルニクス、ガリレオ、ティコ・ブラーエ、ケプラーもルネサンス期ヨーロッパの大学で天文学と共に占星術を学びました。17世紀、初めて英語でホラリー占星術解説書(「クリスチャン・アストロロジー」)を著したのがウィリアム・リリーです。でも、その頃から占星術は科学のカテゴリーから外され、知識人・文化人らの支持を失い、下火になっていきました。19世紀末になると神智学思想やインド哲学と共に新しい占星術が復興します。古典的なホラリー占星術が息を吹き返したのは1980年代。リリーの没後から300年後のことでした。


12サインとルーラー、12ハウス、メジャー・アスペクトの知識がある方向けに、古典的なホラリー占星術を教えています。

ホラリー占星術の教科書を翻訳しました。中級者向けです。


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