古典占星術で、逆行の話題をしないのはなぜ?
「逆行」は見かけ上惑星が逆方向に動く天文現象で、占星術クラスタでは人気のある話題のひとつです。
ある講座で質問がありました
「古典占星術では、逆行の話題をあまりしないように思います。何故でしょう」
なるほど、もっともな疑問です。確かにそうかも知れません。
いくつか理由を考えてみましょう。
(アンケートを採ったわけではありませんから、以下はあくまでも自分の想像です。)
理由その① ブースターとブロッカー
古典占星術の中核に、惑星の力をアップするブースター、ダウンさせるブロッカーという考え方があります。ブースターは惑星を強化し、ブロッカーは惑星を衰弱させるオプションと考えてください。
惑星の順行と逆行の関係はそれぞれ、
順行=ブースター(強化)
逆行=ブロッカー(弱化)
となります。
ホラリー占星術では逆行が突発的な変化、予想が難しい展開などを表すことはありますが、古典では逆行を単に判定基準のひとつとして見る傾向があり、たとえば、障害や事件が起きる、見直したりやりなおす、などの意味付けや解釈は概して薄めです。
理由その② 留
逆行とは別に、留(ステーション)があります。
惑星が完全に停止した状態に見える「留(りゅう)」は、著作にもよりますが、良くないブロッカーとして扱われます。
留は順行から逆行、逆行から順行に移る境目で起きます。実際、観測をしていると、それまで毎日動いていた水星や金星は1日だけピタっと停止し、まるで惑星の活動力も停止したかの様に見えます。(火星、土星、木星は普段の動きが遅いため、観測上それほどのインパクトはありません)
逆行は確かにブロッカーですが、少なくとも移動しており、物事が動くことを示しています。でも留が示すのは物事の完全停止です。ですから、自分はホラリー占星術では「留」に注目することが多いです。
理由その③ 他のブロッカーが多い
逆行は複数あるブロッカーのひとつです。
そのため、古典占星術のレンズを通してチャートを眺めると、逆行にこだわる理由がそれほどないのかも知れません。
その他の逆行以外のブロッカー例
6-8-12ハウスにある
凶星とのスクウェアやオポジション、コンジャンクション
速度が遅い
セクトが違う(例:昼チャートで昼の惑星♃が地平線の下にある)
東西が違う(例:金星が太陽よりも黄道上で先行している)
光が見えない(例:太陽の15〜17度圏内に入ると惑星の光は弱まるか、見えなくなる)
コンバスト(例:太陽から8度〜8度30分内)
まとめ
描写的な解釈は薄く、弱体要因として捉えている
惑星が止まって見える「留(りゅう)/ステーション」
いくつかあるブロッカーのひとつだから
あくまでも想像ですが、古典占星術でことさら逆行を話題にしない理由は、こうした背景にあるのではないかと思います。
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