サイクロン掃除機を3Dプリンタで作ってみた
はじめに
SNSで3Dプリンタでサイクロン集塵機を作っている人の投稿を見ました。
どうやってモデリングするんだろう?と思い、FreeCADで四苦八苦しながらモデリングしたらなんとかできて、そうしたら実際に印刷して機能するのか見てみたくなって、作ってみたら結構いい感じにできちゃいました。
その後、ならばと思って弐号機や改良版を作ってみましたが、なかなかこの初号機を越えられません。ビギナーズラック恐るべし。
設計方針
ネットでいろいろ見てみるとほとんどのものはたとえばこの動画のような感じで、サイクロン集塵機の水平に出ている管にゴミを吸うホースをつなぎ、垂直に出ている管を掃除機に繋いで使う形です。サイクロン集塵機はそこそこデカく、掃除機とは別体でどこかに置いて使う感じです。
私は部屋の掃除に使っている掃除機をサイクロン化してやろうと思い、ホースと床掃除用の管(以下、直管と書きます)の間に取り付ける形にしました。こんな感じです。
方針1:ホースと直管の同軸を保つ
いままでのようにヘッドを押したり引いたり回したりして掃除することを考えると、ホースと直管の同軸を保ったまま間にいれないと、3Dプリンタで作るサイクロン集塵機部分にモーメントが掛かって折れちゃうから同軸は保とうと考えました。
方針2:軸を45度傾ける
掃除するときおおざっぱにみて直管は床と45度くらいの角度になっているので、サイクロン集塵機部分を鉛直にするには、直管の軸とサイクロンの軸を45度傾ける必要があると考えました。
方針3:管の内径は27mm
直管、ホースの内径を測ったら27mmだったので、これを踏襲します。
方針4:ゴミを溜めるケースは透明ケース
近所のCanDoで見つけたCOMPO LOCK ロングM1000mlを使いました。
方針5:KP3Sで印刷できるサイズ
うちの3DプリンタKP3Sで印刷できるサイズ180x180x180立方に収まる部品サイズにしました。
できあがり
途中経過は飛ばしていきなり完成形です。
サイクロン部とコーンの2部品で、サイクロン部はこの造形方向でブリム付き、ビルドプレートにタッチをサポートで印刷しました。ビルドプレートの対角線上に置いてギリギリ180x180に入ります。愛用のマットブラックPLAで10時間強の印刷時間です。私の過去一番くらいの大物部品です。
CADデータ
STLファイル
3Dプリンタをお持ちの方はSTLをダウンロードしてプリントできます。
サイクロン部
コーン部
FreeCADデータ
修正が必要な方はこちらをご利用ください。
ビギナーズラック
「はじめに」の最後に「ビギナーズラック恐るべし」と書きました。なにがラックだったのか補足します。
45度傾けた点
「設計方針」の2番目に挙げた45度傾ける理由は、直管が床と45度、サイクロンを鉛直だと、直管とサイクロンの成す角は45度、でした。
吸気の勢いがあるのでサイクロンは鉛直にしなくても機能することに気づき、弐号機は並行にしました。しかしサイクロン部での圧力損失が大きくなり吸引力が落ちました。つらつら考えて思い至ったのは、直管のヘッド側(吸気管)〜サイクロン〜直管の掃除機側(排気管)の曲げRが影響していると言うことです。サイクロン部で見ると吸気と排気の方向は直交するので、吸気・排気とも直管となるべく大きな曲げRで(つまり滑らかに)つなごうとすると45度が有利だったと言うことです。
コーンの内蔵
ネットでいろいろ見ると、サイクロン上部の螺旋形状の下はコーン形状になっていて、コーンの下に集塵ケースを付けているのが多いです。コンパクトにしないと使いづらいよね、くらいの考えで集塵ケースの中にコーンを埋め込みました。
コーン下端の穴から集塵ケースに出た埃は集塵ケースの下に溜まると思っていたのですが、ケースの上にせり上がりそこでくるくる回っていました。
最初、上に上がるとコーンも汚れるし、上がらないほうがよいのでは?と考えた、上がらないようにするにはどうしたらいいんだ?とちょっと試したのですが、考えを改めました。
集められたゴミはケースの上に上がったほうがいい。
なぜそう考えるようになったかと言うと、稼働中はコーンのサイクロン側と集塵ケース側で圧力が拮抗して安定しますが、掃除機を止め、再稼働したとき、サイクロン側が負圧になり集塵ケースに溜まったゴミがコーン下部の穴から吸い出され、掃除機側に排出されてしまう可能性があります。このときいち早く回転が始まり、さらにコーン下部の穴より上にせり上がってくれれば吸い出されることはありません。なので、せり上がったほうがいい、と考えるようになりました。
なぜせり上がるのか、本当の理由はわかってないのですが、2つ考えました。
推測1:ケースは上が太いから
樹脂成形で作られたケースなので抜き勾配で開いた側、今回の使い方では上側が太いです。回転して遠心力が生まれるとゴミは外へ行こうとし、その結果径の大きい上にせり上がってくる、と言う推測です。
推測2:上の方が流速が速いから
上はコーンとの隙間が狭いため流速が上がり(←ほんとか?)ゴミがより舞い上がりやすくなり上に上がってくる、と言う推測です。
まあ、この推測が正しいのか、間違ってるけど他の理由でせり上がるのかは不明ですが、せり上がってくるのは事実で、それはゴミの流出防止に有利なようです。
とりあえず、初号機製作談はここまで。
気が向いたら続編を書くかもしれないし、書かないかもしれません。
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