日記【デニム】


 別に日記を毎日書かなくちゃいけない決まりなんてない。書きたいことがある時に、書きたいことをかけばいいのだ。

 今日は歩いてセカンドストリートまで行った。予算三千円で二、三本普段履きのズボンを買う予定だったが、いざお店に行ったらふと三千円のデニムが欲しくなった。

 エドウィンの503という奴らしい。
 大昔のCMでブラピがギター弾きながら歌ってた奴だ。
 なんで俺がそんな年齢的に知ってるはずのないもん知ってるかと言えば「焼きたて!!ジャぱん」に出てくる黒柳の友達のキッドの元ネタがわからんすぎて前に調べたからだ。
 わかったからと言って何の感動もなかった。そもそもなんで黒柳のアメリカの友達がブラピなんだ。意味わかんねえよ。留年してるし。

 デニムだが、商品自体はいわゆる新古品という奴で、当時のタグもついていた。当時の定価だと八千円くらいらしい。今調べると同じ型は新品だと一万ちょいで売ってるのが見つかった。
 今買おうとしたら一万円ちょいするものが新古品で三千円でゲットできるとなると途端に心がグラついてししまい、買った。

 俺は安いものが好きだが、それ以上に定価より安く買えるものが好きだ。
 だから古本屋が好きだし、ゲームもできるだけダウンロードじゃなくてパッケージ版を中古で買いたい。
 だから、セカンドストリートに行くとわくわくする。俺はセカンドストリートが大好きだ。セカンドストリートが俺のメインストリートだと言ってもいい。

 だが、服の価値というのはよくわからない。
 俺が買った新古品のデニムも、モイちゃん(ウィッチウォッチ)が見たら鼻で笑うようなものかもしれない。
 肩をすくめて「おいおい、いい歳してそんなもんに三千円払ってご満悦か?頼むよ貧乏人のおじさん……😅」とか言いながらあのしゃらくさいシェアハウスのしゃらくさい晩飯の食卓で貧乏おじさんを嘲笑っているかもしれない。

 エドウィンって日本のブランドだった気がするし、なんか……リーヴァイスのほうがいいよね……歴史がさ……アメリカの……フロンティアスピリッツっていうかさ……みたいなのがあるのかもしれない。

 まあそんなの関係ないんだけど。
 俺に服の……それもジーンズの細かい違いだの価値だのなんかわからないし、そんなもんがわかる奴は世の中にも思うほど多くない。いわんや、人の服を指差して「安モンばっか着てんなオイ!」みたいなことを言ってくる大人をや。

 服の価値がわかるのは服好きのオシャレな奴(要は服のオタクでありファッションのオタク)なので、おそらく俺の人生にそういう人間が登場することはあんまり無いと思う。だから、俺は定価一万円くらいのジーンズを三千円で買ったという満足感を存分に履き潰すことが出来る。

 綺麗に履けばかっこいいシワがついたりするのかもしれない。
 だが、多分そういうふうにするにはポケットにスマホを入れたりしたら良くないのだろう。
 スマホも入れられないし、無線イヤホンのケースも入れられない。もしかしたら家の鍵すらも……

 利便性に乏しすぎる。
 そういう履き方は俺にはできない。よって、このブラピジーンズにかっこいいシワが刻まれることもきっとないだろう。

 持ち主が見窄らしく年老いていくしかない中でジーンズだけかっこよく歳を重ねられると思うなよ。
 身の程を知れ。ジーパンごときが…… 

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