CS-21工法 施工事例 ／ 新設 浄水池（天井スラブ上面）のコンクリート躯体防水
【工事概要】
工事名称：坂井地区水道用水供給事業 浄水池(土木)増設工事その１
工事場所：福井県坂井市
発 注 者 ：福井県 公営企業経営課
元請会社：(株)半澤組
工 期 ：2016年（平成28年）10月～11月
使用材料：コンクリート躯体防水材 CS-21
施工仕様：CSⅡ工法（150g/ｍ2×2回）
施工部位：天井スラブ上面
施工数量：約800ｍ2
【工法選定の経緯】
本工事は、竹田川流域の坂井地区２市（あわら市、坂井市）に水道用水を供給する坂井地区水道用水供給事業における浄水池の増設工事である。
増設される鉄筋コンクリート製 浄水池の天井スラブ上面の防水仕様は、当初の設計では、アスファルト防水となっていたが、工期に支障をきたす恐れがあったため、防水工事期間の短縮が可能な他の工法が検討された。
そこで、下地コンクリートの乾湿、および天候による影響を受け難く、工期短縮が可能な液体材料の塗布によるコンクリート躯体防水工法が選定された。
【使用材料選定の経緯】
コンクリート躯体防水工法に使用する材料には、下記の５つの項目を満たすことが求められた。
① ひび割れの発生が予測される鉄筋コンクリート造の天井スラブに対し、
水密性が確保できること。
② 水道施設であるため、材料の飛散などにより水質に悪影響がないこと。
③ 他の水道施設（配水池・浄水池など）での施工実績があること。
④ 立地環境条件（豪雪地）での使用が可能なこと。
⑤ 耐用年数は10年以上であること。
そこで、コンクリートの躯体防水として1994年から20年以上・100万ｍ2以上の実績を有する材料（CS-21）について、要求性能に対する性能の確認を行った。
❶ 当該材料は、塗布・浸透後も継続的に反応し、施工後新たに発生する微細ひび割れなどの空隙を充填する。この性能により、長期にわたり水密性を確保できる。
（ただし、コンクリート躯体防水を適用するための躯体条件などについて事前に協議が必要）
❷ 当該材料は、浸出試験【資機材等の材質に関する試験（平成12年厚生省告示第45号），水道用資機材の浸出試験方法（JWWA Z108）】の結果、該当省令【水道施設の技術的な基準を定める省令（平成12年2月23日 厚生省令第15号）】を満たす安全性が確認されている。
❸ 当該材料は、水道施設の配水池・ろ過池・沈殿池などの構造物において、上水道水（飲用水）が直接触れるコンクリートに適用された実績が複数ある。
❹ 当該材料は、東北・北陸新幹線において散水消雪（床版上に水を流して雪を解かす仕様）を行うＰＣ橋梁の床版防水に採用されるなど、積雪寒冷地における施工実績が多数ある。
❺ 当該材料を、新築時に駐車場の躯体防水として適用した複数実績について、10年以上経過後に実施した追跡調査の結果、防水性能が保持されている。
以上から、要求性能を満たす材料であると判断した。
また、当社においても当該材料のコンクリート躯体防水実績：商業施設の屋上駐車場などを訪問し、経年後の経過が良好なことを実際に確認した。
これらのことから、本工事におけるコンクリート躯体防水材として有効と判断し、発注者・元請業者に提案したところ、採用となった。
【工事上の留意事項】
躯体防水は、コンクリート躯体そのものを防水体とするため、コンクリートの品質管理が重要となる。
そのため、弱点となりやすい鉛直打継部を設けず、スラブ全体を一度で打ち終わるよう依頼し、打設に立会い、ひび割れの発生し易い開口部などに注意を払うなどの対策を行った。
【施工手順】
① 下地処理（高圧洗浄）
② CS-21（原液）塗布：150ｇ/ｍ2
③ 湿潤散水（水散布・塗布）
＊②・③繰り返し
【まとめ および 今後の展望】
当該工事は、防水工法の変更により、工期内に工事を完了した。竣工後に実施した目視調査、および発注者・元請業者へのヒアリングの結果、漏水などの不具合はなく、経過は良好である。
今後も、コンクリート躯体防水・表面保護・ひび割れ補修などに有効な当該材料を使用し、コンクリート構造物の予防保全による長寿命化に貢献していきたい。
アストン協会会員・太建工業(株) 太田浩之
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