屋上全景

CS-21工法 施工事例 / 新築屋上駐車場の防水工事

工事概要

工事名称:コープとうきょう 新ひばりが丘店 新築工事
発 注 者 :生活協同組合コープとうきょう
施工箇所:屋上駐車場(床、植栽、スロープ)、2階駐車場、手摺壁
使用材料:コンクリート躯体防水材 CS-21
施工面積:6,225m2
施工時期:2004年(平成16年)
施  工:(株)益田工務店(アストン協会コンクリート躯体防水研究会 会員)

画像1

工法採用の経緯

 従来の立体駐車場防水工法は、アスファルト防水もしくはウレタン防水が主流であった。
 これらの工法の短所としては①重量増、②工程増、③磨耗や紫外線による劣化―などがある。
 また、経年後に改修工事を行う際に、既設防水層の撤去および入念な素地調整が必要となるため、経済的負担が大きいことや環境負荷が大きいことも問題となっていた。

 本稿で紹介する物件では、従来の問題点を改善するため、新たな取り組みとしてコンクリート改質剤CS-21(コンクリート躯体防水材)による駐車場防水システムが採用された。
 この防水システムの特徴は、①ひび割れ発生の低減、②自閉性促進、③磨耗低減―などであり、長期的な視野から10年経過後の防水改修(再施工)が容易に行える。また、コンクリートの表面保護工として中性化・塩害・凍結融解に伴う劣化の抑制も期待できる工法である。
 さらに、産業廃棄物も容器以外は発生せず、無機質材料であるため環境負荷も少ないことも利点である。

使用材料の概要と特徴

 本物件に使用したコンクリート躯体防水材CS-21は、けい酸を主成分とする無色透明な水溶液で、防水工法的には、コンクリート躯体防水材、浸透性塗布防水材、無機質浸透系防水材などに分類されている。

 CS-21は国産の材料であり、経年変化のない止水効果を追求する現場の創意工夫の中で改良が加えられ生まれた材料である。
 CS-21の最大の特徴である水和反応活性剤は、コンクリートの未水和のセメントや空隙内に沈積しているカルシウム等の水和反応を促進させ、施工後発生するひび割れ等の空隙も自閉させる性能を有している。

画像2

 当該防水システムは躯体防水であるため、コンクリートの品質を管理する技術も要求される。そのため、アストン協会という組織においてアストン技士などの技術者を育成し、品質管理を行っている。
 また、躯体防水が可能な躯体条件および施工のチェックリストなども整備されている。

*新築時の防水10年保証における躯体条件などの詳細は、
 資料「コンクリートの躯体防水」をご参照ください。

施工手順

① 下地処理:高圧洗浄などにより、コンクリート表面の汚れを除去する。
② 材料塗布:希釈せず原液を使用
③ 湿潤散水:水を散布・塗布する
* ②・③繰り返し後
* 塗布工程完了後、別途、湿潤養生

画像3

現状の確認

 原時点で施工後4年経過しているが、漏水事故の経緯はない。
 また、目視できるひび割れが少なく、特に経年と共にひび割れが自閉作用により埋まっていることが確認できる事から、その後の物件においても設計仕様として発注されている。

画像4

*躯体防水工法の施工事例・施工実績については
 躯体防水研究会オフィシャルサイト施工実績 をご参照ください。
*躯体防水施工から10年以上経過した事例などの追跡調査結果については、
 資料「コンクリートの躯体防水 > P27-39 」をご参照ください。

今後の展望と問題点

 防水層の維持にとって過酷な条件の場合、コンクリートの躯体防水はライフサイクルコストの面から見ても理想的な防水と言え、今後の展望が期待されている。
 しかし、無機質浸透系防水材にも数多くの材料が存在するため、この躯体防水に耐えうる性能を有するか否かの評価基準の確立が急がれる。
 また、本駐車場防水システムは、躯体の品質確保と材料の反応特性を熟知した技術者の施工管理により品質が確保されている。今後は、同工法を広めるため、更なる躯体防水技術者の育成と標準化を進める必要があると考える。

アストン協会コンクリート躯体防水研究会 会員・(株)益田工務店 益田敦生

最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2009年2月号(P33-34)に掲載された「駐車場の無機質浸透系防水材による躯体防水の適用事例」の転載(一部再構成)です。
 コンクリート躯体防水材CS-21によるコンクリート構造物(駐車場・屋上・屋根・地下・水槽など)の躯体防水につきましては、コンクリート躯体防水研究会 ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。