CS-21工法 施工事例 / 新設橋梁の床版防水
工事概要
工事名称:平成12年度 広域営農団地農道整備事業 豊関2期工事
発 注 者 :山口県 豊田農林事務所
施工内容:橋面-防水,地覆-表面保護(275m2)
使用材料:コンクリート躯体防水材 CS-21
施工時期:2003年(平成15年)8月
工法採用の経緯
本工事では、在来河川上に新設された橋梁が先行施工されており、本舗装するまでの期間に他業者の切土盛土トラックや材料運搬車等の通行が予想されていた。
在来シート防水では舗装しなければ通行できないという不便さがあるため、当初設計より高価ではあるが、未舗装のままでも車両通行による破損の恐れがないコンクリート躯体防水材・浸透性塗布防水材が選択された。
この材料変更により、車両通行の円滑化、工期短縮、劣化しないという材料特性の品質安定性が確保された。
使用材料の概要と特徴
本工事のコンクリート躯体防水材・浸透性塗布防水材には、アストン社の
「CS-21」が採用された。
当該材料は、無色透明な水溶液であり、コンクリート表面に塗布することにより、既存の微細ひび割れなどの空隙を充填して表層部を緻密化し、施工後に新たに発生する微細ひび割れなどの空隙も充填する。この性能により、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制し、防水および表面保護(劣化抑止)効果を発揮する。
【 当該材料は、土木学会における分類では、
*表面保護工法 設計施工指針(案) >けい酸ナトリウム系表面含浸材
*けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案) >反応型けい酸塩系表面含浸材
に該当する。 】
施工手順
① 下地処理:高圧洗浄などにより、コンクリート表面の汚れを除去する。
② 材料塗布:希釈せず原液を使用
③ 湿潤散水:水を散布・塗布する
* ②・③繰り返し
追跡調査
本工法による橋面防水の施工後、約1ヶ月間 工事車両用道路として使用され、新たな防水層の設置を行わずにアスファルト舗装した後、供用が開始された。
現在、施工から5年半経過しているが、下面からの漏水も無く良好な状態である。
追跡調査時の外観観察で、地覆部の施工箇所と未施工箇所では表面に明確な差が現れていた。
今後の展望
当該材料は水溶液であり、在来シート工法に比べて
① 下地の平準度・凹凸の有無および頻度の影響を受けない
② 防水端部処理に左右されない
③ はく離が起きない
④ 湿潤状態でも施工可能なため脱型直後でも施工可能である
―などの利点がある。
本件のように、従来工法では仮舗装が必要となる場合だけでなく、既設橋の舗装全層打ち替え時の防水工にも有効である。
また、表面保護(劣化抑止)効果が、第三者機関による確認試験の結果が評価され、東北新幹線PC橋梁の床版防水に採用された実績もある。
当協会では、材料の反応特性を理解し、コンクリートの状態に合わせた最適な工法を選定できる専門技術者の育成を行うなど、技術の向上に努め、協会員による責任施工により品質を確保している。
環境負荷低減・ライフサイクルコスト縮減を実現する技術の開発と向上を行い、今後もコンクリートの長寿命化を目指したい。
アストン協会
最後までご覧いただきありがとうございました。
本記事は、防水ジャーナル2009年5月号(P120-121)に掲載された「無機質系塗布防水材による橋梁床版防水」の転載(一部再構成)です。
CS-21工法による躯体防水、表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。