『後宮の烏』アニメと小説の違い Part2 温螢くんのカッコよさが光る小説!
1 温螢くんと淡海くんの存在
『後宮の烏』で一番印象的なのは「宦官」の存在だと思う。寿雪の護衛を命じられた温螢くんと淡海くん、衣斯哈少年、あと衛青が宦官として登場するんだけど、彼らが背負っている過去は残酷でちょっとお~ってなった。
小説だと寿雪は宦官たちとの接点のほうが強かったなぁ。
特に温螢くんは衣斯哈を救った寿雪に「あなたは得難い人だ」と言って心から守ろうとするの。涙を流して震えながら自分の過去を吐露する温螢くんの姿に寿雪は怒りと庇護欲が掻き立てられる。私も掻き立てられたわよ…
「おぬしを痛めつけた相手の名を申せ」って呪ってやろうとする寿雪はめちゃくちゃかっこよくて、私も一緒に呪いの儀式に参加したくなった。
以後、温螢くんは寿雪のそばにぴったりで離れない。寿雪を守り切れなかった時はお部屋にもなかなか入ってこれないくらい落ち込んじゃうし、寿雪のそばにひざまずいてうなだれちゃう。
こういう超美形の青年が打ちひしがれる姿をアニメで全面に出したら女性の心は鷲掴みにされたんじゃないの?!って余計なことを考えてしまった。
路線が違うか…
ちなみにアニメ12話で寿雪が窮地に陥った時に剣で戦いに挑んだのは高峻だったけど、小説だとそれは温螢くん。幽鬼の前に立ちはだかって寿雪を守ったのも温螢くん。寿雪の手をとって立たせてあげるのも、付き添うのも、顔についた血を拭いてあげるのも、寿雪をおんぶするのもぜーんぶ温螢くん♡
高峻はいっぱい護衛を連れて加勢に現れるだけで~ まぁ、帝が戦うってないからね、危険なことはしないの。
そういうこともあってか寿雪も温螢くんにはとっても素直。差し出された手もちゃんとつなげるし、木の上から降りる時は温螢くんの大きく広げた腕の中に飛び込める。
あれ?高峻より温螢くんのほうが相性よくない?いい感じじゃない?って思っちゃった。
ちなみに温螢くんは憂鬱そうな顔ですら美しく、寿雪も衣斯哈少年も侍女の九九も見とれてたわ。
淡海くんはアニメだと高峻のスパイ&寿雪の護衛だけど、小説では皇帝直属の護衛部隊に属する弓の名手よ。蠱惑的ですんごく美しい青年なんだけど、彼もまた辛い過去を背負っているのよね。
小説3巻から登場する淡海くんの本当の目的は温螢くんが寿雪に傾倒するのを防ぐこと。衛青が命じたのよね、寿雪に絆されちゃった温螢くんを戒めるためにわざと相性の悪い淡海くんを任命したんだ。
でも、寿雪は「危ないことはするな」って身を案じてくれただけじゃなく、罪を着せられそうになった淡海くんを体を張って守った。宦官は人並みに扱われないって思ってきた淡海くんにとって、寿雪の慈愛は胸に染み入ったのよ。
そんなこんなで淡海くんもすっかり寿雪に絆されちゃって、「お前は尽くすだけで満足できても俺は寵愛が欲しい」って温螢くんとはライバル状態だよ。寿雪への忠誠心と愛情でごちゃまぜみたいな二人は小説だと高峻より光ってたんだよなぁ~
カッコよくてすっかりはまっちゃった。
2 寿雪の魅力
寿雪の魅力は慈悲深さと内に秘めた強さよね。相手が誰であれ、幽鬼であっても信念に従って救いの道を模索してあげるんだ。
小説4巻で宦官たちを巻き込む事件が起きるんだけど、二人の宦官の死を悼んで弔う寿雪に宦官たちがひざまずいて泣くのよ。
この辺り読んだとき、このままだといずれは後宮内に寿雪大好き軍団ができちゃうんじゃないのかな?って思ったら本当にそうなって騒動が起きた。
淡海くん曰く、寿雪が望めば後宮を支配できるだろうって。虐げられた人の気持ちがわかる寿雪は後宮で信奉の的になりやすい。高峻が寿雪を後宮から自由にしようと思ったのは、このままだと反乱の一因になりかねないって思ったからなんだよね。
寿雪の危うさと魅力が伝わる小説3巻と4巻は読んでいて一番おもしろいところだったわ。
3 衛青が寿雪を毛嫌いする理由
高峻の側仕えである衛青はアニメでも小説でも寿雪に手厳しい。
でも嫌味ばっかり言うのは寿雪に嫉妬しているからで、かわいいやきもちなのよ。
衛青はさぁ、高峻と友になりたいってずーっと思ってるのよね。それなのに高峻は鈍感で目の前で「そなたと友になりたい」って寿雪に大真面目な告白をしちゃう。自分にはお茶だけおいしいしか言ってくれないのに しょぼん…みたいなね。
だから寿雪にいっつも八つ当たりしてるのよ。
ちなみに衛青は寿雪とは母親を違えた異母兄妹。まぁ、それがわかったのに話の幅があまり広がらなくてね…
『後宮の烏』で残念だったところといえばまさに衛青のことで、これだけ重要キャラだったのに小説6巻から存在がうっすーくなったんだよなぁ。
さらに!衛青は宦官随一の美青年と書かれているのに美しさアピールがほとんどなかった!!
残念すぎるだろうっ!
アニメ続編ではぜひ衛青の美しさアピールお願いしたいです。
4 最高のエンディング 温蛍くんと淡海くん 九九の存在
『後宮の烏』はエンディングが最高でした!いわゆるハッピーエンドね。
自由を手に入れた寿雪は後宮を出てどこへ向かったのか…
それは海!
海を渡る商人になったんだよー でもって彼女のそばには温螢くんと淡海くん、そして侍女の九九が一緒だった!
ここを読んだとき、なんか胸がすんごく暖かくなったよ。
最後まで寿雪が守りたかったのはずっとそばにいてくれた彼らだったんだよね。船の上でじゃれあっている4人の姿が本当の自由を手に入れた若者たちって感じでよかったなぁ…
高峻と寿雪の別れはかなり切なくて目頭熱くなった…
最初に会った時と同じ言葉少ない会話しかできなくてね、高峻のほうが皇宮から自由になれないことを痛感するのよ。
高峻の深い友愛に寿雪は言葉が見つからないんだけど、それでいいような気がした。せつない別れだったけどね…
『後宮の烏』はアニメと小説で印象が違く、艶やかで可愛らしい寿雪とカッコいい温螢くんを見るならアニメで、大人っぽく複雑な後宮の世界観を楽しむなら小説がおススメです! 温螢くんのカッコよさも光るんで~
ぜひ読んでみてくださいね!
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