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『後宮の烏』アニメと小説の違い Part1 寿雪と高峻は一緒になるの?!

 2022年にアニメ化された『後宮の烏』ご覧になりましたか? 中華幻想譚なんてキャッチフレーズがかなり好みで見てみましたー。
けっこう複雑な内容でアニメだとよくわからんってところもあったので原作小説全7巻を読破してみました。
小説だと独特の世界観が楽しめてアニメの理解も深まったわ。ということで、アニメと小説の違いをかなりネタバレしながら書いていきます!
 
1  物語の舞台
物語の舞台は霄国。OPで出てくる世界地図みたいなの、海の真ん中にぽっかり浮かんだ島が霄国で周囲には他国や神々の国なんかもある。
アニメでは「後宮にいる烏妃とはなんぞや」って話がメインだったから中国のどこかの王朝の話?って思っていたけど全然ちがったー
 
物語はかなり複雑で奥深い。小説の1巻と2巻がアニメ全13話にまとまっているけどアニメを見ただけではよくわかりません…ってところが多いのよね。
烏漣娘娘と呼ばれる女神と対抗する神の存在、巫術師に新興宗教、前王朝とその子孫、さらに地方豪族と皇宮内の政治問題…と小説を読んでも理解が追いつかないくらい関連要素がてんこ盛り。
それよりも寿雪が関わる人たちとの展開を追うのが断然面白いかな、特に警護の温螢くん!小説では温螢くんの存在は帝の高峻より光ってました…! 

2 高峻と寿雪の関係
やっぱり気になるよね、二人の関係!帝である高峻と烏妃である寿雪は立場を越えて一緒になるの?!ってところ。でも恋愛には発展しないんだなぁ。この二人はそうだなぁ… 似た者同士、深い絆のある友ってところかな。

アニメだと高峻はすんごく寿雪に関心があって、寿雪の危機を何度も救う頼もしい男って感じだったじゃない?だからいずれは二人が…って淡い期待を抱いちゃったけど、小説だとその雰囲気は最初からゼロ。
高峻はアニメみたいに感情豊かではないし、寿雪をからかえるほど女慣れしている感じもない。
高峻は先代の皇太后に母親と友人を殺され、廃太子になって食事もとれないくらいの幽閉生活を強いられた経験があるのよね。弱さや感情はその間にすべて捨て去ってしまった…
皇太后を処刑した後も憎しみが消えないどこか影のある男なんだ。
 
それでも高峻が寿雪を自由にしたいと尽力する姿は「真の友」を目指したって感じかな。寿雪を想うからこそ、たとえ恋焦がれても一緒に生きることはできないって腹をくくった感じがするんだよなぁ。
それが明らかになるのは小説3巻後半~5巻辺りで、寿雪の救ってほしいって声にならない叫びが涙となって零れ落ちたとき、高峻は心に決めたんだと思うのよ。

それからは寿雪を自由にするために尽力してくれる。でも、寿雪が自由になることは二人の別れを意味するわけでお互いに複雑な感情が沸き上がって激しく口論したりもする。
高峻は「離れることはこの身を裂かれるほど苦しい」って寿雪の頬に触れて、寿雪もその手に触れて別れを決意するんだけど、ここは高峻と寿雪の生き方が違えた決定的な場面でちょっとウルっとした。

深い友愛みたいなものが高峻と寿雪にはずっと残るのよ。ちなみにこの二人、老後は囲碁仲間になる。なんか心温まるのよね。

3  胸がざわついた小説5巻 お世継ぎ問題
寿雪と高峻に恋愛云々はなさそうだなぁ…、いや、そのうち変わるのか?
なんて期待がバッサリ切り捨てられたのは小説5巻で明らかになる妃二人のご懐妊だったー

ここさぁ、あーーーってがっかりな声出た… まぁ、それが高峻のやるべきことなんだけどさ、寿雪に関心を向けながらも他の妃たちとちゃっかり関係を持ってたってわかるとなんか複雑よ。
淡海くん曰く「帝はそつがない」って。同時に二人の妃が妊娠したのも外戚関係を考慮したからでちっとも色っぽくない話になってる。新しい妃を娶る段取りもつけているし、小説だと高峻はけっこうしたたかな男なんですよ~

でもなぁ、アニメの高峻はかなり寿雪に夢中&イケメンに描かれてるからね、続編があるなら恋愛感情は一切ありません演出を加えないと世の女性を敵に回すんじゃないからしら? 寿雪、寿雪って思わせぶりな態度のわりに他の妃の相手もしてたのかぁ、へぇ、ふ~ん、そういう男だったのねって思う人、続出しそう。

それにしてもこの辺りを読んだとき胸がざわついてしかたなかった。
後宮って冷静に考えると恐ろしいところよね、同じ男の子供を妊娠した妃たちが「その後体調はどう?」「つわりもだいぶ和らぎましたの」ってニコニコしながら談笑してるんだもん。
この感覚… 理解不能。

そんな彼女たちを見て寿雪は決定的な違いを感じるんだ。妊娠して高峻からの寵愛を受けることに喜び、母となる自信に満ちていく彼女たちに対してまったく嫉妬がないといえば嘘になる。「この妃のどこに高峻は惚れたのだろうか」なんて思ったりもしてね。
でもそれ以上に、自分は彼女たちと同じにはなれない、烏妃は烏妃のままだって事実に虚しさを感じるのよ。

後宮から逃れたい、自由になりたいって寿雪が心から願ったのはこの時だったんじゃないかな。まぁ、私もそのほうが全然いいと思ったよ。

Part2では高峻より目立った温螢くんのことをいっぱい書きたいと思います!


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